アメリカで働く臨床栄養士のブログ

内科ICU栄養士。食が大好きな一男一女のママ。日本と異なる医療・栄養事情、過去に書いた情報は既に古いことも…あしからず。

またアルブミン「様」になるかも

2010年11月12日 | お仕事
今こちらでは、低栄養(malnutrition)の診断を出すのが大流行?! 
それはもちろん診断名をつければそれなりのお金が入ってくるから。
火傷の患者さんとか、例外なく全員malnutritionの診断がついてます。
そうなると、その理由付けとして脚光を浴びるのがアルブミン。
病院の決まりでアルブミンが基準をみたしてなければprobable malnutritionと私も書かないといけなくなる流れ。
いくら病院経営のためだといえ、1つの指標だけを使って書くなんていやだ~。
ということで、malnutritionに関する病院のグループに入ることを希望しました。
でも、とりあえず今はウチの病院では書かなきゃいけないようだ。低栄養ってそもそも定義が難しすぎる。

肝臓病になったら肝臓の機能の変化のためアルブミン値が下がる。
肝臓病になると栄養の活用が難しくなる。
肝臓病はアルコール由来の場合もある。
肝臓病になると十分なたんぱく質が必要。
肝臓病になると体重が徐々に減っていく場合が多い。

アルブミンが低いから低栄養って言うのか、、
肝臓病だから低栄養って言うのか、、

病院も栄養士会とかもきっとこのmalnutritionブームは強くサポートするはず。
お金は入るし、栄養も注目される。

これはいいことなのか、わるいことなのか。






大学院の卒業研究のまとめ

2010年11月11日 | 大学院
今日も3人のアドバイザーとミーティング。75分も話したけど、あまり事進まず。qualitative research(質的調査)という方法をやってるんですが、カテゴリー・コード分類がなかなかスムーズにいかず。日本語の会話データを英語で分析・まとめという作業をしているんですが実に難しい。アドバイザーの一人はもともとスペイン語のデータから英語でまとめたりする作業をしているので、けっして容易ではない作業って分かってくれるんだけど、人によっては日本語と英語にどのような構造の違いがあるかも説明しても実感してくれない。これを説明する意味があるのかないのか…。栄養ではなく、言語の本質?!みたいなのと格闘中。どうなることやら。言語の問題にプラスして、個人の解釈の違いも当然出てくる。まあ、だからこそ少なくとも4人全員が納得できるカテゴリー・コード分けをしないといけないんですが。。。ホント大変な作業。でも、数字でp<.0005とやっちゃうよりは面白いかも。

看護師による診察

2010年11月10日 | 毎日のあれこれ
栄養とは関係ないけど、授乳中でも大丈夫な抗生物質がどうしても必要だったのでクリニックに行っていきました。予約無しですぐに診てもらいたかったのでURGENT CARE(予約なし飛び込み)に行ってきました。まずはテクニシャンに症状などを聞かれました。その後看護師(ナースプラクティショナー)に診てもらいました。

この、医師じゃない人に診てもらう制度ってホントに合理的だと思ってます。ちゃんとリスク分けをしているわけです。そのぶん医師は本当に高度なスキルが必要な患者さんに時間を掛けることができます。この看護師もきちんと、熱や痛みの有無、抗生物質を過去1ヶ月に服用したかとか聞きますし、もちろん実際に触診して痛みなどが無いかを調べます。そして、もしも○○みたいな症状が出てきたらすぐに救急に行って下さいとのことでした。薬と授乳などについても確認してくれました。

そして、無事に予想通りの診断がでて(これダメって言う人がいますが、自分の症状を分析するのは自然なことかと…)お薬を頂くことができました。もちろん、自宅に帰ってもう一度その薬の効果や授乳などの安全性を確認してから服用。一件落着。よかったよかった。

雇用形態の変更

2010年11月09日 | お仕事
これで何度目だろ~また雇用形態を変更することになりました。現在の私のポジションはPRN(必要な時だけ)。口約束で週に数回働いてます。病院はいつでも好きなときに私をクビにすることができるし、休暇手当てなどもありません。その代わりに時給が25%くらい高く設定してあります。

1月には大学院を卒業(でも無理かも…)する予定なので、それを見越して週に4日、30時間勤務に変更することにしました(1月からです)。PRNだとちょっと居場所がない…と感じることもあったんですが、これで自分の居場所がちゃんと確保できるようになるかな。職場は、私個人とアメリカ社会を結ぶ大切な場所なんです。

アメリカの健康保険制度

2010年11月05日 | 毎日のあれこれ
日本のマスコミ等で知っている人も多いと思いますが、アメリカの健康保険には、国による公的保険と民間保険の両方があります。基本的に民間保険は、客が自分で払ったお金で、自分の好きな保険プランを選ぶので質の高いことが多いと感じています。民間保険会社もビジネスですので、保険会社があまりお金を使わなくていいように一生懸命頑張っているようです(=病気の予防に力を入れている=客が病気になってお金を使わない)。

例えば、ウチの病院の従業員の多くは民間保険に入っていますが、ダイエットをして成功した人には、その体重をキープできた期間にあわせてご褒美がもらえます。1ヶ月目で1000円、3ヶ月目で3000円、6ヶ月目5000円みたいな感じです。保険会社からしてみれば、心臓発作を起こしたり、糖尿病や腎臓病になる人が減らせれば、エクササイズプランの無料提供やおこずかいのご褒美は安いものなんでしょう。。一石二鳥です。

私が妊娠しているときも、民間健康保険会社から何回も電話がかかってきました。そして、ちゃんと定期的に医者に行ってるかとか、ちゃんと食べてるかとか、体重はどうか?など色々聞かれました。サービスでもあるんでしょうが、やっぱり合併症なしに無事に子供が産まれれば保険会社のお金の節約にもなりますよね。とくに問題がなければ、保険会社は出産一回につき25~35万円くらいの出費ですみますが、何か問題があれば、これも何倍・何十倍の費用がかかります。これだって莫大な医療費が節約できてると思います。

そして便利なのが、民間保険会社による24時間の電話による病気相談。これまでに何度も利用しました。医者にいくべきかどうか分からないくらいの境界線でよく使います。専門家が、家庭での対処法や市販の薬の選び方などを教えてくれます。もちろん医者に診てもらうべきときは、24時間以内にすぐに行くように、ということもあれば、1週間たって症状が治らなかったら診もらうように、、などというアドバイスがもらえます。医者に診てもらうと高いのでこれも節約になるし、サービスになりますよね。

長くなってきましたが、最後にもう一つ。知り合いが民間保険会社でソーシャルワーカーとして働いてきますが、保険者の家に行って家の環境が安全かどうかを調べたりすることもあります。例えば、高齢者が転んで腰骨を折ると高額な医療費が必要ですので、それを出来るだけ予防したいという考えのようです。転びそうな場所は手を加えたりするみたいです。これだって高額医療の費用を保険会社が払うことを考えれば、安いもんでしょう。クライアントも骨折などのリスクが減らせて合理的なんじゃないかと思います。

ちなみに、ウチの長男が入院したときの費用もブラボーに高かったですが(1泊あたり100万弱くらいかな。特別な治療でしたが。)、民間保険会社が全部払ってくれました(ER費以外)。自腹は最初にERに行った時に1万5千円払った分だけかな。いや~健康って大切です。

健康でも、年に一度は医者にいき、年に2度は歯医者に行くように強く勧められていて、基本的にこれらは無料同然です。予防に力を入れるっていうのはいいなと感じます。健康だとコストも抑えられますよね。公的保険もこんな感じで出来ればコストが抑えられるのかな~。でも国と民間ではやっぱりどうしても体制とかも違うかな~。コストとベネフィットの分析とかね。