
鬼は日本語にはひろく定着したことばでした。何となく今は、他の単純なことばに置き換えられつつあります。憎たらしいモノもあれば、いとおしいモノがあってもいいんですけど、今は生か死かしか、二極化していて、どちらかしなないのかもしれません。
若い人たちは、あいさつのように「死ね」「ウザイ」なんですから……。鬼のことばを見直したいですね。そして、自分の心の中のオニに向き合えたらいいのになあ。
◇ 次の空欄に、鬼に関する言葉に適当な言葉を答えなさい。
1【鬼が出るか( )が出るか】……どんな恐ろしいことが起こるか予測ができないこと。
……びっくりしてしまう爬虫類(はちゅうるい)って何ですか?
2【鬼に( 棒(ぼう))】……手に入れると力が発揮できる道具・武器・活力の源。……鬼の武器って何ですか? いろいろな武器を持たされるけれど、力持ちだったんですね。
3【鬼の( )を取る】……めったにできないことを成し遂げて、とても喜んでいる様子をたとえる表現。
……戦国時代の武士は、敵の何を取ることが大切でしたか? 少し怖いですけどね。
4【鬼の目にも( )】……普段は気丈(きじょう)で強そうに見える人が、時には感情に動かされてとり乱してしまうこともある。
……取り乱したら出るものは? いや、うれしい時にも悲しい時に出るものですね。
5【( 年)のことを言うと鬼が笑う】……遠い将来のことを予測しても無意味である。気の早い人をいさめるときにも使う語。
……過去? 未来? 人は、ついつい安心したいからイメージトレーニングするんですね。
6【渡る( )に鬼はない】……表面的には冷たく、無情のように見えたとしても、困ったときには助けてくれる情け深い人が○○には、必ずいるものだということ。
……橋田寿賀子ドラマ! 本当なんだろうか? 逆のような気がしますね。不景気になると、アメリカみたいに赤鬼が王様になります。
7【鬼のいぬ間に( )】……気がねする人がいなければ落ち着くこと。……おうちの用事! 心をリフレッシュしなくっちゃ!
8【鬼の(霍(かく) )】……ふだん健康で丈夫な人が病気をすること。
……夏のカゼ? 皮肉で言うんだろうか、それとも普段はタフなのに、ビックリという感じかな。
9【鬼も( ) 番茶も出花(でばな)】……どんな娘さんでも、年ごろになると女らしい美しさが現れてきれいに見える。
……年ごろの女の子っていくつくらい? 20代後半? 30代半ば?
10【疑( )暗鬼(あんき)】……信じていないと、何でもないことでも疑わしく恐ろしくなること。……鬼の住む場所はどこ?
11【( )出鬼没】……自由自在に現れたり隠れたりして、所在がわからない。……それは鬼の友だち?
12【百鬼(ひゃっき)( )行(こう)】……多くの人が不正なこと・醜いことを平然と行い、だれも怪しまない無秩序な状態。
……妖怪の時間はいつ? 朝、昼、晩、夜のうちのいつでしょう。

[答え]……1・蛇(じゃ) 2・金(かな) 3・首
4・涙 5・来 6・世間
7・洗濯 8・乱 9・十八
10・心 11・神 12・夜
★ トンヤンクイ? トムヤンクン?ン?
トムヤムクンという料理があって、タイ語では「トム」は煮る(ゆでる)、「ヤム」は混ぜる、「クン」は海老の意味だそうです。タイ料理の奥深さを感じさせる、辛くて酸っぱいタイの基本の味。辛さの奥に香るスパイス、海老のうまさ、唐辛子の辛み、ライムの酸っぱさなどが合わさった味らしい(一度しか食べたことがありません)。
この「トムヤムクン」とよく似た音のことばで、日本人を表現したものがありました。 数十年前の中国で、日本人を呼ぶときに用いたことば「トンヤンクイ」(漢字で書く「東洋鬼」)。つい慣れっこになって「ああ、昔日本人はアジアの嫌われ者だったといことね」と歴史を勉強した人ならピンとくるかもしれません。
また、抗日戦争に燃える中国軍からは、また別に「シャオクオミン(小国民)」とも呼ばれたといいます。これは特に日本兵に対して使われ、「人の国に攻め込んできてわがもの顔の、あのチビたちなんかに負けるな!」と、自分たちの気持ちを鼓舞する意味もあったのかもしれませんが、使っていました。
「鬼」と言われ、「チビ」と言われ、「出っ歯」と言われ、「メガネ」と言われ、(「ハゲ」はオッサンだけでしたね。そして世界共通でした)、まあ昔のことだから、と日本人(特に偉いさんたち)は水に流そうよとするかもしれないけれど、心に刻んでおきたいとボクは思っています。