m o n o l o g u e

taddy // graphic designer / artist / poet

t i b e t

2008-03-18 | cafe_monologue



ここしばらくボクのココロの中に引っかかっているのは、チベットのこと。


今回のチベット騒乱では、中国側が武力行使し100名近くが亡くなっているようです。
中国共産党の発表では10名程度となっていますが、情報操作しているにすぎません。
現地に海外のメディアは入れません。
ウソで凝り固まった中国メディアの信用価値などゼロ。


おもしろいことに、中国政府は武力行使など一切していないと主張しています。
そうであれば、海外のメディアをシャットアウトする理由などどこにもないはず。
見られてまずいものがあるから、シャットアウトしているわけです。


チベットは、1950年代に中国人民解放軍の侵攻をうけて、中国に併合されてしまいます。
このことを中国では「解放」と呼んでいます。
「解放」などとはまったく馬鹿げた話です。


「セブン・イヤーズ・イン・チベット」などの映画でその時の様子が描かれていますね。
人民解放軍が若い僧侶に拳銃をもたせ、年老いた僧侶を撃たせているシーンが未だに記憶に残っています。


その後、50年間で120万人ものチベット人が殺害されてきました。
一時は2,711あった寺院が、70年代には8寺院まで激減。
同時期、僧侶の数も31万人から800人に。


チベットでは漢民族の移住政策が進んでいます。
これは、ナチスがユダヤ人やマイノリティーに対して行った「民族浄化」と同じ。
漢民族化を推し進めることで、チベットの文化や歴史、そしてチベット人自体を抹殺しようとしているわけです。
このようなことが、隣の国で現在進行形で行われているんです。


頼んでもいないのに、勝手にやってきて国を占拠した中国人たち。
彼らは我がもの顔で暴力と殺戮を繰り返す。
共産主義体制を押し付けて、自分たちの自由や権利、宗教や文化を奪い取っていく。
チベット語の使用は禁止されて、「愛国教育」を受けさせ中国化して行く。
ボクたちがチベットの人たちの立場だったら、どう感じ、どうするでしょう?


中国が国連の常任理事国であるせいで、国連も動けません。
国際的調査団を派遣さえできません。
海外からの批判の声に、中国政府は「内政干渉だ!」とヒステリックに反論しています。


内政干渉だなんてとんでもない。
中国が崩壊すれば、大量の難民が発生し、日本を含めた周辺諸国に逃げてくるわけです。
内紛になれば、戦争が勃発して周辺諸国に多大な被害をもたらす可能性もあるわけです。


世界は千年前の世界ではない。
おらが村で自己完結した世界ではなく、地球規模で物事が動く時代です。
一カ所で起こることは、次々と連鎖して他の所にまで影響を及ぼします。


そもそも苦しんでいる人たちの声に耳を傾けることに内政干渉なぞないことでしょうに。
何人たれ、人として自由に生きる最低限の権利を持っているはず。
それが行使できない人たちがいたら、正義の下に正すことが隣人のつとめでしょう。


これに対し、日本も含め、各国政府は弱腰の対応しかできていません。
なぜなら、中国とは経済的な利害関係があるから、おいしい蜜を吸い続けたいからでしょう。


しかし、目先の利益に捕らわれていると、最終的には自分のところにしっぺ返しがくることを分かってない。
曖昧な態度をとることで、間接的に人殺しに加担していることを分かっていない。
利益が人の命より優先されている現状に怒りさえ覚えます。


今回の件をオリンピックボイコットに結びつけるなという声もあります。
政治とスポーツは別だからと。
けれど、オリンピック自体がすでに政治化・ビジネス化してますよね。
中国も、今回のオリンピックを成功させることで、国威を世界にアピールしたいのがそもそもの目的ですし。
莫大なお金が動くから数々のスポンサーがつくわけですし。


それに、かたわらで人々が殺されているのを知りながら、スポーツを通して平和を語るなど本末転倒。
ボクが選手だったら、良心が痛んで参加できませんね。
イタリアの新聞(La Repubblica)が行った調査では、イタリア人の96%がボイコットに賛成とのこと。
台湾でもボイコットの声が上がり始めています。


チベットの人たちが、自分たちの文化と生活を守ることができることを祈るばかりです。
チベットの人たちが、自由に生きることができるようになることを祈るばかりです。
そのためにひとりひとりに何ができるか?
そのことをいろいろと考えさせる日々です。



taddy