黒砂台鍼灸あん摩治療院

鍼灸院の日常日記

臨床治験の基本情報について2

2010-09-24 11:45:41 | 西洋医学について
「鍼のエビデンス」(医道の日本社)で臨床治験のアブストラクトを少しずつ勉強しています。
この本の中では「治験のデザイン」「セッティング」「対象となる患者」「介入」「主なアウトカム評価事項」といった項目で共通して治験の抄録が掲載されています。
「治験のデザイン」については以前まとめてみました。今回は「主なアウトカム評価事項」ついて少しだけ書いていきます。

「主なアウトカム評価事項」というと難解に思えますが、大雑把に言うと「何を評価項目として治験を行ったか」ということ。
この設計は治験の根幹にも関わる部分になりますので正確に見ていく必要があります。

特に疾患に対しての治験である場合、当該疾患の「診断基準」と「主なアウトカム評価事項」がリンクしていなければ治験としてのエビデンスは下がります。

ちょっと例えとして正確では有りませんが関節リウマチを例にすると

ARA(アメリカリウマチ学会)の診断基準(1987年)(注 2009年に改定されています 後述)
 1 朝のこわばり(一時間以上持続する)
 2 多関節炎(少なくとも3領域以上の関節の腫れ)
 3 手の関節の腫れ
 4 対称性の関節の腫れ
 5 リウマチ結節
 6 リウマトイド因子(リウマチ因子)陽性
 7 レントゲン検査で典型的な関節所見
以上7項目のうち4項目以上を満たせば関節リウマチと診断される
(1~4の項目については6週間以上継続していること)


というような診断基準があります。
で、リウマチの治験を行ったとして、上記項目から大きく外れるような「アウトカム評価事項」を用いて治験を行えばエビデンスは低くなるわけです。
例えば「自覚的な痛みの緩和」というのを評価事項として「○○療法はリウマチに有効」とするのはエビデンスレベルが低いわけです。
論文や治験を読み込んでいく際には広く用いられている診断基準との比較が重要になるわけです。
診断基準の多くの項目で評価を行っていればエビデンスレベルは高くなります。
治験をきちんと評価するには「治験デザイン」とともに「主なアウトカム評価事項」が大事なポイントになってきます。

エビデンスレベルの低い治験論文では患者のスコア化されていない自覚的評価などで構成されているケースも多々見られます。

鍼灸の研究治験でもエビデンスレベルの低いものは多々有りますし、こればかり例として取り上げるのはどうかな?とも思うのですが最近読んだホメオパシーの論文にもこういった診断基準に沿わない研究論文が有ります。
日本未病システム学会雑誌に掲載された
難治疾患(発達障害、潰瘍性大腸炎、アレルギー、癌)へのホメオパシー応用のケース分析と有効性検証
と題した論文ですが、論文と称するのに疑問を呈するような内容です。
読んでもらえば判りますが、すべて一般的な診断基準に沿った判定は行われていませんし、第三者による判定でも有りません。
発達障害を取り上げていますが、広汎性発達障害なのかアスペルガー症候群なのか注意欠陥多動性障害なのかすら書かれていません。
そうなると患者(家族が)思い込んでいるだけの発達障害の可能性すら否定出来ないわけです。
潰瘍性大腸炎にしてもそうです。軽度なのか中度なのか重度なのかすらわかりません。ヘモグロビン値が改善したとありますが前後の数値は載っていません。
アトピーについても同じくレベルが低い。患者の主観、保護者の主観や写真に関係者の評価を入れ総合的に判定したなんて書かれていますが、科学的なエビデンスには一切つながらない内容です。
癌に至っては臨床使用を開始したという事のみ。

この内容で掲載した日本未病システム学会雑誌もどうかと思います。

このように治験を読み込んでいく際には、結果だけでは無く、その治験の「アウトカム評価事項」が適切なのか十分なのかを考える必要があるわけです。
ネットや新聞を見ても「○○が??という疾患に有効!」なんてうたい文句は多く見かけます。果たしてそれがどの程度のエビデンスを持っているのかをキチンと見て行かなくてはいけません。

注記に2009年の関節リウマチ診断基準改定についての注釈を書いています。
前記の1987年の診断基準しかご存じない場合は参考にでもしてください。
メトトレキサートの登場や生物学的製剤(抗体製剤や受容体製剤)など急速に変化したリウマチ治療に対応するための診断基準の改定になっています。



アメリカ並びにEUのリウマチ学会で2009年(2010年より使用)に発表された新予備診断基準です。
ACR/EULARの新診断基準(2010年)
 1 関節浸潤 (0~5点)
 2 抗体検査(RF または 抗CCP抗体) (0~3点)
 3 炎症反応(CRP または ESR) (0~1点)
 4 症状持続期間が6週間未満か (0~1点)
6点以上で関節リウマチと診断する。


専門医の先生方のHP等で見れば判りますが、この改定の大きな目的は診断の迅速化です。
予備診断基準として初期リウマチ段階でリウマチと診断できるようにし、メトトレキサートの使用を早めることで関節破壊を予防するための基準です。
過去の診断基準では判定に時間がかかり、その間に進む関節破壊の問題が指摘され続けていました。
新診断基準により迅速にリウマチの診断はおり、早期治療により関節破壊の抑制には非常に有効となりましたが、問題も有ります。

まず、迅速な診断が可能になった一方で擬陽性が増える問題も指摘されています。(日本リウマチ学会
またメトトレキサートや生物学的製剤(抗体製剤や受容体製剤)の登場は劇的な改善を生み出す一方、副作用等の問題も残っています。
こうした先端治療を受けるならリウマチ学会専門医の先生による治療が良いとも言えます。

このことは鍼灸師としてもキチンと把握しておく必要が有ると考え、強引ですが診断基準に今回リウマチを取り上げました。
治療院への来院は女性も多く、私たち鍼灸あん摩の治療家はリウマチを抱える患者さんとの接触も多いはずです。
だからこそ新しい診断基準や新しい治療法に明るく有るべきだし、リウマチは「治らない病気」では無いことを知っておくべきでしょう。










ホメオパシーにつきまとうウサン臭さ

2010-09-22 12:02:36 | 院長のひとり言
過日の一件以来、自分も商売上最低限のことを知るべくホメオパシーについての文献や情報を収集してを読んできました。
結論としてホメオパシーの有効性については少し前に取り上げたLancetの論文に有るとおりだと思います。
その結論部分
「Biases are present in placebo-controlled trials of both homoeopathy and conventional medicine. When account was taken for these biases in the analysis, there was weak evidence for a specific effect of homoeopathic remedies, but strong evidence for specific effects of conventional interventions. This finding is compatible with the notion that the clinical effects of homoeopathy are placebo effects.」

要約すると
「ホメオパシーのエビデンスは弱く、西洋医学のエビデンスは強い。そして「ホメオパシー治療効果はプラセボ効果」という考え方に矛盾しない」
ということです。
Lancetの論文を読めば判りますが、“効果が全くない”という訳ではありません。95%信頼区間評価などから見て「意味のある治療効果とは認められない」ということです。

少なくとも安易に人に薦められるようなものではないという点がはっきり出ています。少なくとも自分は使用しませんし人にも薦めません。
もしも身内や大切な人が病気になり、ホメオパシーに傾倒して西洋医学を否定するようになるならば、全力で阻止します。
でも健康な人が「ファッション」や「雰囲気商品」として使用するのであれば止めはしません。少なくとも「プラセボ効果」はあるのですから。
「プラセボ効果程度」と理解した上で使用するのであれば、それはそれで有りではないかな?とも思います。
しかし、例え“ホメオパシーのプロ”と称する人間であっても自覚的・他覚的に疾患を抱えた人に対して治療として薦められるものでは無いと思います。


少なくとも「日本ホメオパシー医学協会」の発信情報を見てもウサン臭さのみが鼻につきます。

自分が過去に慣れ親しんだ健康食品の悪徳商法そのままの印象です。
「医学協会」なんて偉そうな名前をつけていますが実態は「健康食品販売会社の単なる広告塔」と何ら変わりはない印象。
「情報を歪曲させて誤解を誘うやり口」という点では非常に洗練されたと言ってもいいのではないでしょうか?

日本ホメオパシー医学の協会の普及啓発活動」というページを見てみましょう。
「1918年のスペイン風邪の伝染は予防接種が原因だった!」と予防接種や西洋医学に対する危機意識を仰ぎ、『スペイン風邪流行時のアメリカでの医師ホメオパスたちの証言集』でホメオパシーの有効性を暗示する。
メキシコでの豚インフルエンザ流行時には「メキシコでの豚インフル流行時のホメオパスからの報告」と題した報告を出したり。

このメキシコでの豚インフルエンザの大流行については、一方で「抗生物質の自己処方」や「ホメオパシーのみの使用」、「曰く有りげなビタミン注射」などメキシコのヘルスケアに対する取捨選択がウィルスの封じ込めの失敗の遠因となりパンデミックに継ったなったとの説も有ります。
出典はThe New York Times
以下に該当記事の一部を引用します。
「But one important factor may be the eclectic approach to health care in Mexico, where large numbers of people self-prescribe antibiotics, take only homeopathic medicine, or seek out mysterious vitamin injections. For many, only when all else fails do they go to a doctor, who may or may not be well prepared.」

The New York Times Published: April 30, 2009

また、「英国 新型インフル義務化否定、医師の半分、看護士1/3が接種拒否」なんて取り上げ方をするなど、恐怖の植え付けが上手です。
この新型インフルエンザワクチンの安全性の問題についてはアジュバンドの有無やその理屈が分かっていないと議論にすらなりません。
国産ワクチンと外国産ワクチンの差という点もこのあたりにあってキチンと考慮する必要があります。
ちょっとこのへんの話はずれるので別の機会に。

さらにもっと酷いのが『①「ホメオパシーは脳腫瘍のがん細胞を殺し、正常な抹消リンパ球を増殖させる;脳腫瘍の 新治療」 』という発表。
「アメリカ国立がん研究所、ベストケースシリーズレポートナンバー20:69-74、2008Prasanta Banerji, Donald R Campbellアメリカ国立がん研究所では、ホメオパシーが脳腫瘍の治療に有効であることを認め、昨年ベストケースシリーズとして発表しています。」

はっきり言って無茶苦茶です。
事実誤認というか、意図して行っているなら詐欺でしょう。
まず情報ソースとして付けられているPDF読めばわかるけどどこにも脳腫瘍の症例は出てこないのよ。肺がんと食道がんの患者の話だもん。
(英語が苦手でも開けてみてね、胸部のレントゲン画像やCT画像しか載ってないのが確認できますから)
学術団体と称するやからが英語の論文を読むことすら出来ない程度とも言えます。

なにより問題なのは、NCI(アメリカ国立がん研究所)が「ホメオパシーが脳腫瘍の治療に有効であることを認めた」という事実は一切ありません。

少なくとも「医学協会」と称する団体がこのような曲解をするのは如何でしょう?
ウサンクサイを通り越して「普及啓発という名の詐欺」と言うべきでしょう。
NCI Best Case Series Programについては厚生労働省でも「がんの代替医療における有効症例の調査研究」という同様のプログラムを実施しています。

そしてこの厚生労働相の方のページの最後にクリティカルな一言が載っています。

「なお、当該研究において審査の対象となったことが、がん治療としての効果を認めたことを意味しているわけではありません。その治療法の効果を評価するためには、よくデザインされた臨床試験でなされる必要があり、当該研究で集められた情報は、今後の臨床試験実施に向けた基礎資料としての位置づけとなります。」

NCI Best Case Series Programについても同様な但し書きが添えられています。投稿した症例が通ったということと治療効果には何ら関係は有りません。

もう開いた口が塞がらないというか呆れる限りですね。これらの情報をどうしたら「アメリカ国立がん研究所では、ホメオパシーが脳腫瘍の治療に有効であることを認め」という文章に出来るのか頭の構造を疑います。

「ウサン臭さが鼻につく」と断言する理由もわかってもらえるのではないでしょうか?

今回の記事の作成においては以下のページを参考にさせていただきました。
「tadano--ryの日記」さまのホメオパシーのエビデンス その1 その2
「kikulog」さまのホメオパシーはインフルエンザに効きません



豚センターリブ煮込み

2010-09-21 12:31:39 | 趣味のお料理
連休中に用事をいくつか済ませて、久方ぶりに料理をしました。作ったのは「豚センターリブの煮込み」。
センターリブって言い方はお肉のラベルに書いてありました。今まで業務用の食材店では豚肋軟骨と書いてありました。
豚バラ肉よりももっと胸側のお肉で、肋骨と胸骨がつながるところにあたります。

軟骨部分はコラーゲン豊富、かつ肉の部分はバラ肉に近く脂も多く旨い。じっくり煮込んで脂をしっかり抜けば老若男女を問わず美味しくいただける部位です。
しかも価格がとても安いので見かけたらチャレンジしてみてください。
以前は醤油でコッテリ煮込んでいたのですが、最近は塩煮ばかり。このほうが美味しいと思います。





まずは最終的な出来上がりの様子。
ちょっと撮影時のホワイトバランスが失敗して、ウマそうに見えませんが旨いです!
おかずでもつまみでも美味しく、かつタンパク源としても優秀です。目についたときに作って冷凍しておけば重宝する一品です。
膝が悪い、腰が悪いと言ってサプリメントのコラーゲンを摂るくらいなら、この煮込みも試してみてください。

実際の作り方や写真は続きでご紹介します。

作り方を書いていきます。

○材料
 センターリブ(豚肋軟骨) 日本酒 塩 昆布 しょうが
 出来れば肋軟骨は1kg以上が望ましいです。今回は2kgで仕込んでます。日本酒は1kgあたり1カップ以上。塩、昆布はいいものを使用してください


これはお肉屋さんで購入したパックのままの状態。ラベルが読めるでしょうがすごく安いです。


お肉を出したところ。白く見える部分が軟骨です。
取り出したお肉は流水で洗って血など汚れをのぞいておきます。


お肉を洗ったら下茹でです。大きめの鍋にたっぷりの水と大さじ一杯程度の塩を入れ水から炊いていきます。
(あく出しがメインになるので、経験上水から炊いたほうがいいです)


加熱してしばらくするとアクが出始めますが、アク取りなど気にせず炊いていきます。


鍋が沸き始めるとこんな感じになります。こうなってから5分間ほど沸騰させ、茹で汁を捨てて流水で肉を洗います。
この時に軟骨部分をよく見て骨の欠片等が有るようなら包丁でそぎとります。


これが下茹で・水洗いの終わった肋軟骨。真っ白に見える部分が軟骨になります。
この軟骨の部分はじっくり煮込むと透き通るようになってきます。この透き通ったコロが出来上がりの目安となります。


煮込み用の鍋に、肋軟骨を入れ、肉1kgあたり1カップの日本酒を加え、肉にかぶるまで水を足していきます。
昆布を加え、お好みで厚く切った生姜も加えても美味しいです。
味付けは塩のみ。この段階ではお吸い物程度の塩加減で大丈夫です。
火にかけ沸騰したらアクを取って、ごく弱火で15分ほど煮込みます。この時に煮汁の味見をして塩加減をお吸い物よりもやや濃い目に仕上げます。
この後は、シャトルシェフの保温鍋にぶち込んで保温調理を行ないます。
(保温鍋が無い場合は極々弱火で5時間以上煮こんでください)
シャトルシェフの場合、6~8時間ごとに再沸騰させ、16時間ほど煮込んだら完成です。
お箸で掴み上げると簡単に崩れるほど柔らかな煮込みに仕上がります。

ディジョンマスタードと一緒に食べるとホントに絶品。
スープも美味しいので取置してチャーハンやスープやカレーの隠し味に使用します

お出しの昆布は8時間ほどで取り出したほうが良いですが、柔らかな昆布が好きならいれっぱなしでも大丈夫。
自分はこの豚の味のしみた昆布が好きなので昆布多めで作ったりもします。

ちなみに今回の昆布は

日高昆布で唯一の特上浜となる井寒台産のもの。
ただし等級は低いので価格はそれほど高価では有りません。
塩はフランス産の海塩。ゲランドほど高価ではなくとも良い塩が有ります。
色が灰褐色と少し悪いのですが安価でありながらうまい塩です。
この二つの材料は良いものを使ったほうがいいです。

簡単に失敗なく作れますので試してみてはいかがでしょうか?

お灸に用いる大事な道具 秤の話

2010-09-18 09:58:04 | 治療院日記
同業の方で鍼灸の勉強会などでお灸の実演等を受けたことの有る方なら経験はあるかも知れません。
講師の先生方にお灸の大きさを聞くと、「大体このぐらい」という大きさの目安を示してくださる場合がほとんどです。

まあこれは、その施術者ごとのお灸の刺激量に差があることや季節や日々の気温、湿度等で微妙に変えているためというのもあるのでしょう。
でも、何十年も経験を持った先人とはちがうので、自分で行うにはちょっと難しいです。
このため、なんどもテストを行って自分なりの刺激に必要なもぐさの量を決めています。

このもぐさの量を測るのに使用するのが電子秤なんですが、あまりにも種類が多く、迷って結局自分で購入に至っていません。
ネットで検索すれば判りますが、お灸に使うようなスケールでも、安いものは数千円から高いものは数万、中には10万を超えるものも。非常に幅が広いです。

点灸は秤を使用しませんし、使うのは塩灸と隔物灸と灸頭鍼。
このため測るのはせいぜい0.5g~10gぐらいの間で、最小計量は0.1gぐらいで十分です。
(今使用している各種もぐさでは塩灸は5g前後、灸頭鍼は1.2gを標準としています)
でも父曰く、「安いのはばらつきが多く、当たり外れがでかいぞ」とのこと。
父は仕事というかボランティア柄というか、結構な数の秤を購入して使用したことがあるので、言葉が重いです。
そこそこ精度の高いものをと考えると結構難しいです。日本の精密機器メーカー製なら良いのでしょうが高価です。
結局父親の持っている格安秤の中でばらつきが少なく精度の良いものを拝借して使用しています。
それがこれ。



これが結構使い勝手がよく、値段も3000円ほど、できたら同じものを購入したいと思っているのですがなかなか機会が有りません。
(父はアキバの露天で購入したとのこと)

実際に使ってみると、本当に精度はいいです。
使用の様子は続きで




一円玉もきっちり1.0gが出ます。



10円玉も4.5gとなります。



500円玉も7.0g

ここまでの精度がでていれば十分にもぐさの計量に使用可能です。
使用する場所のそばには、1円玉と10円玉をおいて定期的に精度のチェックに使用していますが、TAREを利用後に狂ったことはないです。
メーカー名も何も表記のない怪しい秤ですが結構な精度で重宝しています。

ちなみに塩を測るときは

これを使用しています。
写真のとおり、1円玉を乗せても0g表示のまま。あまり軽いものの測定には向きませんが、100g単位の測定には十分です。
ちなみに塩灸の治療の時には煩わしくなるので量を書き込んだ専用のカップで測ります。

小物ですが結構重要なアイテムの1つとして重宝しています。

Amazonの返品は簡単?

2010-09-17 13:10:32 | 治療院日記
治療院で使用する小物などを通販で購入する際にAmazonを使用することが有ります。
プレミアム会員のため他社通販に比べ圧倒的な配送スピードで、どうしても使用頻度が高いです。

例えば、Amazonの配送センターにある商品であれば朝早く注文すれば夕方には着いたりします。

治療院の近くにコンビニがないのである意味コンビニ替わりに使用しています。
(最寄コンビニは徒歩だと10分、全然convenienceでは有りません)

これまで一切、購入品でトラブルが無かったのですが、昨日届いたもので初めてトラブル。結局返品をすることにしました。
(というか説明書通りにやっても一切反応せず、使えないのでしょうがない)

やってみて判ったのですがえらい簡単です。
購入履歴から返品を選択し、いくつかの記載を行うとその場で返送の指示が出てきます。
送付用の伝票も、処理用のバーコードもでるので記入も比較的簡単。
ご丁寧に郵パックのAmazon専用サービスで回収の依頼も可能。
5分かからずに再梱包も含めての処理が終わり、後は回収を待つだけ。他の通販サービスよりは簡便な感じです。
自前の配送センターを持つ強みというか、マーケティングなんでしょうね。

今回の商品はたかだか1,000円ちょっと。返品に膨大な手間がかかるなら諦めて、その会社で二度と通販なんかしないですよね。
まあ商品が動けばこんな手間はかからないのですが、もっと煩雑と思っていた返品作業が案外簡単だったのでAmazonを忌避する感情にはなりませんでした。
というか感心したぐらい。
「商品の不具合による顧客の悪感情を増大させない」に注力しているように感じるAmazonの返品システムでした。
「電話しなくちゃいけないのかな?」「返品の伝票記入めんどうだな」「時間かかりそうだな」「荷物コンビニまで持っていくのめんどうだな」
こういった不満や不安を明確に捉え、的確に答えているシステムですね。

ちょっと昔の話と最近のトラブル問題を思い出したのでそのへんは続きで

昔から時折感じることですが、アメリカの企業にはクレーム対策に優れてところが有ります。
これは向こうが訴訟大国であり、クレーム大国というのもあるのでしょうし、返品に対する一般常識にも大きな隔たりが有ります。
このあたりは、「[不思議の国アメリカ]何でもありの返品制度が築くゴミの山」という日経BPのITPROの記事を御覧ください。
まあ記事を読めば驚きますが、ちょっと行き過ぎのような気もします。でも、だからこそクレーム処理に対する対処に優れて行ったのかも知れません。

以前参加したマーケティングの講習会でアメリカのリスクコンサルタントが言っていた言葉があります。
「クレーム対策をコストと考えるのではなく、サービスと捉える考え方もある」
実際の例やデータを元にした講演でしたが、面白いデータがありました。
商品の不良にあたった顧客でもクレーム対応に心から満足すると、「より忠誠度の高い顧客」となるというデータです。
こうした「忠誠心の高い顧客」は浮気し難いというデータも有りました。

確かに自分の経験上もそうです。

一方でトラブルがあった時の対応で満足できなかった時は二度とその店には行きません。
日本では価格破壊というのが流行していますが、クレーム対策や品質管理もコストにして削減してしまっているケースがあるように思います。

最近、マスコミにもよく出る若い社長で有名な新興格安店でメガネを作ったのですがこんなトラブルが有りました。
安くてデザインも良いと言うことで評判のその店、興味もあったし、ちょうど社長の記事を見た直後だったから一度作ってみようと向かいました。

店舗は明るく店員さんも好感が持てるかんじ。
フレームを選択し、最初に行うのが今のメガネを渡してレンズの度を測定。
「そのままの度で作りますか?検眼しますか?」と聞かれたので念のため検眼してもらうことに。
30分ほど待って検眼後、結局レンズはそのままで大丈夫ということで相談してレンズの薄いのを選択。
しばらく待って会計に進んだのですが、ここ店員さんがレンズの種類をミス。
すぐに指摘して薄いやつに変更をお願いしたのですが在庫がなく取り寄せということで一週間後に取りに来ることに。
(まあ、このあたりは問題という認識もなく、間違っちゃったね、という感じでした)

一週間後、メガネを受け取りに行ってフィッティングしたところ明らかに現行のメガネと見え方が異なってます。
レンズの種類の差かな?とも思ったのですが、一応確認してもらうことに。
機械で新旧メガネの度を測ってもらったのですが、結構待たされたあとに店員さんがやって来ました。

「双方のメガネで度は同じなんですが乱視の度が異なっています」
どういう事?
「機械で(古いメガネを)測ったときに上手く測れていなかったようです」
でも検眼したよね
「検眼の時に乱視は出ていなかったのですが、体調によって変化することがあるので機械の数値の方で作りました」
(検眼の時にそんなこと一切聞いてないぞ 心のなかで)
「いかが致しましょうか?」
イヤ、いかがするも何も長時間付けるもんだからつくり直して
「取り寄せになるのでお時間がかかりますが」
えっ、また取りに来ないといけないの?
「宅配便でもお送りできますが」
送ってください

宅配伝票記入後
「測り間違いのデータはコチラで破棄してもよろしいでしょうか?」
いいけど問題は問題としてキチンと処理してね(オイオイ、証拠隠滅か?と心で思って一言だけ言いました)

結局出来上がったメガネは度もぴったりでフレームの出来も値段からは想像ができないほどよいです。
今もつけていますが、今後自分がここでメガネを作ることはないし、決して人にも薦めません。
メガネが体の一部のようになっている自分としては安心して任せられません。
非常に残念ですが、医療器具としてメガネを捉えることが出来ていないんではないでしょうか?
メガネの出来ひとつで体調が悪くなったりすることもあるのですから、もう少しガンバッテ欲しいというのが本音。

せっかくなのでこの件の問題点について分析していきましょう。

まず最初の問題点はレンズの度を測定する機械でミスが起きている点です。
データがプリントアウトされる機械ですから人為的な記入ミスとは異なる点で問題です。
この店舗ではどうやら全員に検眼は行っていません。
そうすると過去の顧客データまたは現在のレンズを測定してそのまま作成するケースがあるわけです。
ところが自分の時に、レンズの測定ではミスが起きているわけです。
そうすると自分が測定を行った同じ日にレンズの測定データを元にしてメガネを作った人は度がずれている可能性があるわけです。
つまり故障の有無を含め、レンズの度を測る機械の信用性を再度確認する必要があるわけですね。

第二の点は、わざわざ検眼を行ってレンズデータとの差異が出ているのに、対応を誤った点です。
レンズの測定で機械が間違うことも有ると認識していれば、再度の測定なり患者との相談なりが出来るはずです。
その場で行った検眼のデータでなく機械測定のデータを採用するならばそれなりの根拠が必要です。
機械の測定を信頼しすぎて、確認やコミュニケーションを怠ったヒューマンエラーとも言えます。
このあたりはキチンとマニュアル化してレンズの再確認なり、顧客へのインフォームを行う等の対応なりをきちんと入れるべきでしょう。

第三の点、これが一番自分が腹が立ったとこですが・・・
店員さんの「いかが致しましょう」以下の対応です。
今回の場合、今のメガネと同じ度で作るという契約に従ったものが出来ていない訳です。
この状態で顧客に「いかがでしょう」と聞くのは最もダメな対応です。
少なくとも
「申し訳ありませんが作り直しをいたしますのでお時間をいただけないでしょうか?」
と始めるべきでした。

格安店ですから数をこなすというのは解るのですが、いろんな部分で対応マニュアルが不十分です。
フレーム自体は非常に良いものが出来ているし。
せっかく好感を持てる店舗なのにもったいないと感じました。