黒砂台鍼灸あん摩治療院

鍼灸院の日常日記

イオン、PB商品82品目、製造所表示届け出ずに販売

2010-09-30 17:13:48 | 院長のひとり言
Yahoo!ニュースを見ていたらこんなニュースを発見。

イオン、PB商品82品目、製造所表示届け出ずに販売

ニュースはすぐに流れて消えるので内容はというと

イオン、PB商品82品目、製造所表示届け出ずに販売
 イオンは30日、同社のプライベートブランド(自主企画、PB)商品82品目について、食品衛生法で定められている「製造所の所在地」と「製造者の氏名」を表示せずに販売していたと発表した。製造を委託している工場が消費者庁に届け出るのを怠っていたほか、イオンも工場の届け出を確認していなかった。商品自体に問題はないが、イオンは該当する商品について店頭から撤去するとともに、消費者庁に届け出を行ったとしている。
 該当するPB商品は、煎茶(せんちゃ)やカップ入りスープ、スポーツドリンク、総菜類など。同社では、PB商品の製造工場について固有記号を設定。製造を委託した工場に届け出るよう求めていたが、連絡が徹底せず、32工場が届け出ていなかった。
 イオンでは「食品衛生上に定める表示基準を再度徹底し、顧客への情報開示を適切に行いたい」としている。

産経新聞 9月30日(木)12時25分配信記事を転載

詳しくない方には何をミスって怒られているのかわかりにくいでしょうね。これは製造所固有記号の未届け販売という法律違反です。
食品衛生法により、加工食品には基本的に製造者の所在地ならびに製造者の氏名(会社名)の記載を義務化しています。
このためこの法律に従うと製造者の記載と販売者の記載の両方を行わねばならない場合も多くなってきます。(製造者・販売者が異なる場合など)
ただし表示面積の問題などで双方の表示が難しい場合は、事前の届出を行った“製造所固有記号”を販売者の所在地・氏名に組み合わせた表示で例外的に許されています。

手元に有る加工食品を見るとよく判ります。
例として以下に表示例をあげてみましょう。

①製造所固有記号を使用しない場合
  商品名      マルチビタミンサプリメント
  原料名      ・・・・・・・・・・
  栄養成分表示  ・・・・・・・・・・・
  製造者      へっぽこ製薬
    〇〇県〇〇市・・・・・・・・
  販売者      黒砂台鍼灸あん摩治療院
    千葉県千葉市稲毛区黒砂台・・・・・

②製造所固有記号を使用した場合
  商品名      マルチビタミンサプリメント
  原料名      ・・・・・・・・・・
  栄養成分表示  ・・・・・・・・・・・
  販売者      黒砂台鍼灸あん摩治療院 F01
    千葉県千葉市稲毛区黒砂台・・・・・


上記の販売者の後ろの 「F01」という記号が製造所固有記号になります。
このような方法での記載であれば表示欄は少なくて済むし、また消費者の目から製造所を隠すことが可能です。
どちらかと言うと表示欄の減少目的よりも製造所を隠すというのが固有記号使用の大きな理由だったりします。
(このへんの話はダークになるので・・・後の方に少しだけ)

さて、販売者にとって非常に都合のいい製造所固有記号ですが、事前に消費者庁に届出を済ませて置かなければなりません。
なぜかというと、商品に関して保健所や消費者庁に問い合わせがあった場合、届出が済んでないとどこで作ったものか判らないからです。
このため事前の届出が絶対条件になっています。

さて、イオンさんは今回この届出をしていない商品を販売して怒られたようです。
「トップバリュ」商品に関するお詫びとお知らせ」にイオン株式会社からのお詫びと未届け商品の一覧が載っています。

ちなみに、新聞記事では原因については以下のように記載しています。

「同社では、PB商品の製造工場について固有記号を設定。製造を委託した工場に届け出るよう求めていたが、連絡が徹底せず、32工場が届け出ていなかった。」

上記転載記事一部より

食品衛生法によれば製造所固有記号の届けでは基本的には製造者側が行うのが普通です。ただし、販売者側で固有記号を決めるなどの都合によっては販売者側で届出を出すことも可能です。
「工場が届け出ていなかった」と記事では出ていますが本当に工場側のミスなのかは疑問が残ることです。
自分の経験で食品の製造を行ったケースでは工場側から矢のように「固有記号どうしますか?」なんて催促を受けていましたから。
また届け出が終わったら、届けで書類の複写を送ってくれていましたのでこんなミスは無いと思うのですが。
イオン株式会社のお詫びのページを見れば解りますが、各商品の製造所固有記号をクリックするとどこが作っているのか製造所が判ります。
結構大手の食品メーカーの記載も多いですから、未届けなんてミスはしないと思うのですがね。

PBの製造時には大抵の場合で包装資材等、販売者表示を行っている資材の手配は販売者側で行うケースも有ります。
各工場に任せるよりも資材手配を一本化したほうがコストメリットが大きいからです。イオンの各商品でどうかはわかりませんが・・・
そう考えるとイオン側のミスと考えるほうが自然なんでしょうが、どうでしょう。
少なくとも確認を怠っていたという点では言い訳出来ない管理不備と言えます。
まあ食品製造のプロも品質管理のプロもイオンには居ないということでしょうね。

しかしまあ、こんなアホなミスをすると迷惑をこうむるのが真面目にやってきた他社のPB品質管理担当や製造工場の担当の方々。
きっと今頃、全PBの固有記号届けの再確認をさせられていることでしょう。

担当者の方々の不毛な作業に合掌

続きにダークな話を少しだけ

「トップバリュ」商品に関するお詫びとお知らせ

このお知らせを詳しく見ていくと当該PB商品をどの会社が作っているのか丸分かりです。
見ていくと結構有名な畜産加工会社や製パン会社、調味料の会社などが出ています。結構面白いです。
これらの製造所は自社ブランドでも同様の製品を展開していますが販売価格はPBよりは高価なことが多いです。
製造所固有記号を使えば自社で安いPBをやっていることを消費者から隠すことが一旦は可能です。(詳しく調べれば判ります)そういう意味でも固有記号は便利な制度なわけです。
同じものならオリジナルよりも安いPBを買いたくなるでしょうし、消費者に安いイメージが定着すれば自社製品の価値を毀損しかねません。
また自社製品の販売でもPBの価格をベースに交渉される可能性もありますから隠したい情報のはずです。
そういう意味では今回のお詫びの掲載で製造所自体もダメージを受けるところはあるのではないでしょうか?



寒さと湿気とお灸の話1

2010-09-30 11:42:51 | 院長のひとり言
秋雨前線が日本にかかるようになったこの頃、本格的な秋の到来となってきました。

北海道と沖縄を除くと日本は温帯に属しています。(北海道は亜寒帯、沖縄は亜熱帯)
でも、南北に長い日本では季節風の影響などで各地での気候は異なり、北海道や沖縄を入れると6つに区分されることも。
(北海道、太平洋側、日本海側、中央高地、瀬戸内、南西諸島と分けられます)

世界的に見ても降雨量の多い日本ですが、その雨量をもたらしている一因が季節雨です。代表的な“季節雨”が“梅雨”と“秋雨”です。春夏秋冬の四季に加え梅雨で五季とか、秋雨も加えて六季なんて捉え方も出来るとする人もいます。

大雑把にいうと、この季節雨である梅雨も秋雨も温かく湿った南の風に冷たい北風がぶつかることで発生します。
梅雨の時期には暖かく湿った南の気団が北に勢力範囲を拡大するために梅雨前線は北上するような形になり、一方の秋雨前線は冷たく乾燥した北のシベリア気団が南下し、暖かく湿った小笠原気団にぶつかることで降雨をもたらしますが、揚子江気団を母体とする移動性の高気圧の活動のため、不安定で降雨開始時期や期間等に法則性が見られにくいのが特徴です。
また、梅雨の雨量は西や南に行くほど多く、秋雨の雨量は北や東に行くほど多いというように正反対となっています。梅雨は東南アジアから東アジアまで広く分布しますが、秋雨は日本にしかなく日本特有の季節雨ですね。

梅雨の時期でも、秋雨の時期でも北からの風が強くなると気温も下がる傾向になります。寒さと湿気が同時にくるのも季節雨の時期の特徴の1つとも捉えることが出来ます。

この寒さと湿気が同時に来る時期には足腰の痛みや違和感等も出やすくなっています。
東洋医学では病の原因を外因、内因、不内外因の三種に分けて考えます。このうち外因(外部より発病させる契機となるもの)には六淫(りくいん)といいます。
風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪(熱邪)で構成される六淫は主に季節の変化等によるものです。これら六淫は相互に組み合わせて病の原因になることもあります。

寒さも湿気も過ぎれば体にとって害をなす“邪気”となってしまうのです。特に“寒邪”“湿邪”は互いに合わさって害をなすことが多く、体の下部で滞るような痛みの原因ともなります。
「不通則痛」という言葉が東洋医学には有ります。「通ぜざれば則ち痛む」=寒邪により気血のめぐりが悪くなると痛みとなるという意味です。単に寒邪だけで痛みが起きているようならばまだ対処はしやすいのですが、痛みに動きがない、ニブく痛む、頭や身体や四肢がだる重いなどの症状がある場合は湿邪の関与も疑います。

こういった場合の治療では鍼のみでの治療ではなくお灸を積極的に組み合わせて使用します。赤外線で温めるという治療もありますが、個人的にはお灸の方が優れている気がします。お灸と赤外線治療器は温めるという意味では同じように見えますが、実際に使用してみると結構性質は異なっています。
このお灸と赤外線の違いについてこれから少しずつ書いていこうと考えています。

お灸の別名に“やいと”というものが有ります。主に京都や関西で使われる言葉ですが、焼処(やきと、やきどころ)が転じたものともいわれています。若造の考えですが、お灸の本質はここに有るような気がしています。