地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

火山土地条件図(昭和新山)

2008-01-30 08:41:03 | Weblog
「火山土地条件図」を再度とりあげてみました。
それは、私の頭に生々しい記憶が残っている昭和新山をもう少し調べてみたかったからです。

昭和新山は、1943年12月から1945年9月までの2年間に17回の噴火で、平地に忽然と表れた山だそうです。
その、驚いたことの一つに、
噴火の時期(昭和18年:19439)が,太平洋戦争中でもあり、世間の動揺を抑えるために噴火の事実は伏せられ、公的な観測すら行えなかったことと、
当時、有珠山麓の麦畑だった地面から突如活動を開始し、火山が出来たことです。

それらのことが、生々しく伝えられているのは、例えば、
①、山が赤色に見えるのは、かつての土壌が溶岩の熱で焼かれて煉瓦のように固まったとか・・・
②、中腹には、河原にあるような丸い石が、溶岩で持ち上げられて、場違いに転がっているそうですとか、・・・
③、かつてはこの地域には「フカバ」という集落があったとか・・・この集落名は、鮭鱒の孵化場があったことによるとか・・・
④、胆振縦貫鉄道が通る のどかな田園地帯であったが、火山の隆起とともに集落は消滅し、その痕跡が鉄道の橋脚跡などに残っているとか、などなど・・・

また、当時地元の郵便局長だった三松正夫氏が、火山の徹底的な保護のため、家と農場を失った住民から、山になってしまった土地を買い取ったそうです。

この人は、北海道伊達町に生まれ、北海中学を中退後、壮瞥郵便局に勤め、郵便局長になった人で、アマチュア火山研究家でもあったそうです.

それにしても金持ちだったのですね。火山一つ買い取るなんて。



昭和新山(しょうわしんざん)は、標高398mですが、現在も温度低下と浸食などによって年々縮んでいるそうです。

上の地図のピンク色の部分は「潜在円頂丘」で、「粘性の高いマグマが地表に現れなかったもの」です。
赤い部分は、「溶岩円頂丘」といわれ、マグマが地表に現れた部分です。
粘性の高いマグマのため、ハデに爆発はせず、じわじわ盛り上がってきてドーム状になる火山です。等高線からも読み取れるように、帽子のようなこんもりした山ですね。現在も噴気活動をしています。



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2 コメント

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Unknown (風花爺さん)
2008-01-30 15:55:41
かなり専門性が高くなっているので、このところ着いていくのが苦しくなっています。

昭和新山は、面映いことですが、新婚旅行で北海道を回ったとき上りました。
地熱か何かの影響で、靴の底が傷むそうで、草履を履いて上ったと記憶しています。
今でもそうですかね。
もう45年も前のことです。
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本当です! (miy)
2008-02-01 17:53:09
地図がこんなに奥深かったなんてびっくりです!
やっぱりワタシはただ作るだけのヒトだったんですね~(-_-;)
で、風花爺さんに横レスですが…
有珠山のそばですよね。
数年前に1977年に噴火した有珠山にできた外輪山遊歩道に行きましたが、いまだにあちこちから煙が噴出しているところもあって自然のダイナミックさを体験してきました。なので本当に熱いんですよね~。
それを思うと靴の底が傷むというのも想像がつきます。
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