地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

シェーナーの世界地図

2009-05-07 07:55:07 | Weblog
シェーナーの世界地図

マゼランの世界周航は1519~1522年ですから、その翌年に作られたのがこの地図です。
マゼランの就航航路も描かれています。大西洋からマゼラン海峡を経て、広大な太平洋に驚きながら喜望峰を回ってスペインに帰り着いたのです。
3年に亘る大探検旅行です。マゼランは企画者だから取り組むのはいいとして、他の乗組員たちは良くぞ同行したものです。多分、囚われの身の人たちで編成されていたはずです。今は思い出せませんが、何かの本で読んだことがあります。

さて、この地図も1507年のミューラーの地図と同じく地球儀に張るための展開図です。木版刷りだそうです。貼る都合からでしょうか、三船ずつ分かれて短冊が作られています。

マゼランにより、地球が中世の円盤状から、一回り就航できる球体であることを明らかにしたことから、地球儀の制作が盛んになったのではないかと思います。
ベハイムの地球儀が現存する最古の地球儀だそうですが、これはコロンブスのアメリカ大陸発見と年を同じくしています。1492年作です。

当時は、地球の大探検時代だったのでしょう。

この地図にも、もちろんオーストラリアやニュージーランドは書かれていません。
アメリカ大陸はミューラーの頃から比べ大分大きく、メキシコ湾を中心に形を成してきています。

しかし、その分、日本(チパング)を中心にするアジアが狭くなっています。航路から推して、日本海を通り朝鮮半島からヒィリピンを経過したのでしょうか。
マゼラン海峡がイヤに狭く描かれているのが気になりますが、現在よりも南極の氷は北にせり出していたようですね。相当寒かったのかも。

しかし、混迷した中世から、急に活気付いた大航海時代の活き活きした世情がうかがえます。

そして、赤道や南北回帰線の位置、アジアを除く地域、特にヨーロッパやアフリカの経緯度分割が大変正確であるのに驚きます。多分、航海により培われた天体観測の結果でしょう。

近日中に、スイフトのガリバーの旅行記を読み返して見ましょう。


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