地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

甲斐駒ヶ岳の地質図

2008-06-21 15:07:36 | Weblog
甲斐駒ヶ岳の地質図(1:50,000地質図「市野瀬」の一部)

○、オレンジ色:鳳凰型花崗岩

○、ピンク色:甲斐駒型花崗岩
甲斐駒ヶ岳をはじめ,地蔵岳,観音岳,薬師岳の三山を合わせた鳳凰三山が花崗岩の山です。
甲斐駒の花崗岩は、雪と錯覚するほど白い岩肌や砂礫の山で、「粗粒含角閃石黒雲母花崗岩」という長い名称がついています。通称「甲斐駒型花崗岩」です。

約1400万年前にマグマが冷えて固まったものです。
花崗岩(御影石のこと)は、お墓の石や,ビルなどの建材に使われている,白くて鉱物の粒が粗い岩石です。中には黒っぽい鉱物(黒雲母や角閃石)も混じっています。
マグマが冷えて固まったという点では,火山岩(溶岩流ガ固まったもの)も同じなのですが,花崗岩は,もっと地面の底の深いところ(5~10km)でゆっくり冷え固まったものなのです。
ゆっくり冷えるので結晶が大きく成長し,火山岩とはみかけが全く違ってしまいます。

○、茶色 北岳層(泥岩を主とする地層)
○、黄色 仙丈岳層(砂岩を主とする地層)
北岳や仙丈ケ岳の岩石は堆積岩といって,山や高原を造る岩石が川の流れに削られて,下流あるいは海にまで運ばれ,そこに溜って(堆積して)できた岩石です。
茶色(北岳層)と黄色(仙丈岳層)の間の太い黒線は断層を北沢峠断層といいます。
この断層は仙丈ケ岳から南にのびる尾根の途中の鞍部を次々に通っているそうです。

○、緑色:仙丈岳層中の緑色岩
○、白地に青の水玉: 崖錐堆積物

さて、8/21の登山ルートの、
①、仙水峠から駒津峰に登る急な坂道には、うっすらと赤い石が見られるそうです。
接触変成岩で,菫青石,紅柱石,ザクロ石などだそうです。

②、駒津峰と甲斐駒ヶ岳との間の鞍部付近から東には、花崗岩が見られるはずです。
花崗岩が仙水峠より西側には見られないはずですが、実際には北沢を遡って仙水峠へ向かう道沿いに,花崗岩の大きな円礫がみられるそうです。
この円礫は,駒津峰と甲斐駒ヶ岳との間を南南東に流れる谷(大武川上流の仙水谷)がかつては北沢に流れていた時に運搬されて来たものと考えられています。
この谷は,東側の大武川の浸食量が大きく,北沢ヘの流路を無理矢理変えられてしまったものと解釈されています。いわゆる、河川の争奪現象です。

注)
岩石には,溶岩のように溶けたマグマが冷え固まってできるものと,すでにあった岩石が空気中や水中での崩壊,風化などの作用で砂や泥のような粒の細かい堆積物になり,主として水の底に積ってできるものとがあります.

前者を火成岩,後者を堆積岩といいます.

火成岩はその中に含まれている放射性元素が時計の役割を果たし,ある温度より低くなるとストップウォッチがスタートを始めます.ストップウォッチの針を測定して,今から何千万年前にできた,というような言い方をします.

堆積岩の場合は,それが水の底に積った時に,一緒に水の中に住んでいた生物の遺骸があると,その岩石の堆積した時代が分かります.
恐竜の骨があったりすると,ジュラ紀とか白亜紀とかいう地質時代の岩石だということになります.

続けて、調べてみます。今日はこれまで・・・