恐怖日和 ~ホラー小説書いてます~

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掌中恐怖 第四話 『ロケ』

2019-03-28 03:32:31 | 掌中恐怖

ロケ

「はい。こちら〇〇商店街です。今人気急上昇中のお店にこれから行ってみたいと思います」
 マイクを持ったリポーターがカメラ目線で歩き始めた。
 すれ違う人たちが珍し気に振り返っていく。
 後ろに映るシャッターの前に立つ女もこっちを見ている。黒っぽい服になにか違和感を覚え、確かめようとテレビに顔を近づけた。だがリポーターの肩に隠れてしまう。
 もう一度見てみたいと映ることを期待したが、遠ざかっていくシャッター前にはもう女はいない。
 まるで消えたみたいだが立ち去る姿がただ死角に入って見えなかっただけだろう。
 だが、喋りながら進むリポーターの背景にまた同じ女が映り込み、確かめようとするもまたすぐ肩に隠れる。
 何度も現れては隠れるを繰り返し、その度にリポーターとの距離が縮まっていく。
 それでわかった。
 服が黒っぽいのは焦げているからなのだと。
「こちらがそのお店です」
 立ち止まったリポーターの肩から焼け爛れた女の顔が覗き込んでいた。



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