恐怖日和 ~ホラー小説書いてます~

見よう見まねでホラー小説書いてます。
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恐怖日和 四十四話『泥穴』

2020-06-20 01:55:44 | 恐怖日和

泥穴

 久しぶりの一人旅で県境の山間にある温泉を訪れた。予約した旅館はひなびた雰囲気が良く隠れ家的でゆったり疲れを癒せそうで嬉しくなった。
 温泉の質も評価が高く、一日に三組しか客をとらない宿の予約は難しいと言われていたが、連休明けの平日のせいかたまたま部屋が取れたのは幸運だった。
 玉砂利の敷き詰められた玄関前では若女将と五人の仲居さんたちが出迎えてくれた。
 フロントで受付を済ませると綾乃という若女将が自ら部屋へ案内してくれることになった。まだまだ修行中の身でと謙遜しているが、なかなか立派にこなしている。
 部屋に向かう途中、子連れ客でもいるのかロビーのソファに三歳くらいの男の子が座っていた。そばに親御さんがいないのは退屈で一人部屋から出てきたのかもしれない。
 まあ、館内にいるのなら心配ないが――よそ様の子供ながら少し気になった。
 部屋に入ってすぐ若女将と入れ替わりに大女将が挨拶に来た。
 畳に正座し「いらっしゃいませ、村田様」と丁寧に頭を下げた後、すぐお茶の用意を始める。
「いい宿ですね。すっかり気に入りました」
 丁重な挨拶に気を良くしながら程よい温度のお茶をすする。茶葉がいいのか大女将の入れ方がいいのか、とてもおいしい茶だった。
「それはありがとうございます。ここはお湯も最高ですのよ。お夕飯の前にぜひ旅の疲れを癒してくださいまし」
「そうさせていただきます。それにしてもここも安泰ですね。若いのにしっかりした若女将がいて――あ、もちろん大女将もまだまだお若くてご健在ですがね」
「あらまあ、ありがとうございます。お世辞でも嬉しゅうございます。若女将もきっと喜びますわ。小さい頃に二人兄妹の上を事故で亡くしましてね。それからわがまま放題に育ててしまって――そんな未熟者に、なんて嬉しいお言葉――」
 大女将の表情に一瞬だけ愁いが浮かんですぐ消えた。
 何と返せばいいのかわからず黙って茶をすすり続ける。
「それではごゆっくりお寛ぎくださいませ」
 再び丁寧に頭を下げる大女将に会釈しながら「お風呂の前に庭を散策してもいいですか?」と尋ねた。
 窓から見た裏山まで続く広い庭がとても見事だったからだ。ひと風呂浴びる前に汗をかくのも気持ちいいだろう。
「どうぞ、どうぞ。うちは庭も自慢ですの。裏山から来た野鳥やリスを見れますよ。
 あ、イノシシやサルはいないのでご安心を。
 ではごゆっくり」
 お茶目な笑顔を浮かべ大女将が部屋から出ていった。
 イノシシは怖いけどサルは見てみたいな。
 そんなことを思いながらバッグを戸棚の前に置くと部屋を出た。

 庭に出ると清々しい新緑の風が頬をなでた。美しく剪定された樹木の間からはたどたどしい鶯の鳴き声が聞こえ、その可愛らしさに頬が緩む。
 裏山に続いている幾本もの桜はすでに葉桜だったが、ツツジなどの花木がちらほら開花し始めていた。満開であればもっとみごとな庭なのだろうが、この時期だから予約が取れたのかもしれない。
 来年は桜の満開時に予約を取りたいものだ。そうだ。チェックアウト時に予約しておけばいい。モミジやカエデの紅葉もたくさんあるから秋でもいいなあ。
 ふと気づくと、周囲から庭園感が消え、雑木林に取り囲まれていた。考え込んでいるうちに裏山に入ってしまったのか。慌てて振り返ったが戻る道がわからない。
「だ、大丈夫――ここだって庭の延長みたいなもんだろう」
 そう独り言ちながらだいたいの見当をつけて引き返した。
 だが、美しい庭に戻るどころかますます木陰が濃く深くなり、下草も消え、枯葉混じりのねっとりとした山土の泥が靴底を重くする。
 まさか遭難? いやいやそんな山じゃない。ついさっきまで旅館の庭だったじゃないか。
 それにもし迷ったのだとしてもじき夕暮れだ。戻ってこない私に気づいて従業員が探しに来てくれるはずだ。
 そう自分を落ち着かせようとするも焦りが募り、誤って足をすべらせ泥穴の中に落ちてしまった。
 幸いにも溜まっていた泥のおかげでケガはなかった。何のための穴か知らないが意外と深く、飛び上がっても縁まで手が届かない。
 飛ぶ度に足元の泥溜まりが跳ね、腐った泥臭が鼻孔に届く。穴の中は冷たく、靴下からしみ込んでくる水分が足首を冷やした。
「おーい。おーい」
 何度か叫んでみたが、捜索されるまでこんなところに誰も来ないし、ましてや旅館まで声が届くこともない。
 ただ待っているしかないがほんのちょっとの辛抱だ。
 だが、すべり落ちた際、泥に濡れた背中と尻から冷たさが滲み込み、じわじわと身体が凍えてくる。
 泥まみれの手も濡れたままで乾かず、冷たさにかじかむ。吐く息も真冬のように白かった。
 びちゃ、びちゃっと音がした。
 人の足音かもしれないと思い「おーい」と呼んでみた。
 返事はないし音もしない。
 大女将がイノシシやサルはいないと言っていたので動物だという考えにいたらず、思わず呼んでしまったことを後悔した。別の震えが背筋を這ったが、穴の縁から小さな顔が覗く。
「おじちゃんあそぼ。だれもあそんでくれないの。だからあそんで」
 さっきの男の子だ。
 ほっと息を吐き、
「おじちゃんね、穴に落ちちゃったんだ」
 ほらねっというように泥で汚れた両腕を広げ「ぼくいい子だから、誰か大人の人呼んできてくれるかな」
 しばらくじっと見ていた男の子の頭がうなずいて縁から消えた。
 ああよかった。これで助かる。でもみんなに笑われるだろうな。
 泥にまみれた自分が可笑しくてくすっと笑いが漏れた。
 だが、何分経っても誰も来なかった。次第に穴が薄暗くなり息がさらに白くなる。
 頼まれごとを忘れてその辺で遊んでいるのではないか。子供とはそういうものだ。
 そう思って「おーい」と声をかけてみた。返事はないし、顔も出さない。
 きっとだいじょうぶさ、確かにこっちの言うことにうなずいたじゃないか。小さな子だから足が遅いだけだ。今頃はもう旅館についてきっとみんな大慌てで――ん? ちょっと待てよ。いくらなんでもあんな小さな子がこんな場所まで一人で来るか?
 まさか凍えるような寒さで見た幻覚じゃないだろうな? 
 考えれば考えるほどその可能性が大きくなる。
「ウソだろ――俺はそんなものに助けを求めたのか」
 がちがちと歯の震えが止まらず、どうすればいいのか考えようにも思考がまとまらない。その時、
「おーい。おーい。村田様ぁ」
 遠くのほうで自分を呼ぶ複数の声がした。
 ああ、幻覚じゃなかった。
 助かったという安心感で違和感も消し飛んだ。きっとあの子は冒険好きでしっかりした子供なんだろう。
「おーい。村田様ぁ。おーい」
「ここだぁ、早く出してくれぇ」
 声が届いたか耳を澄ませて様子を窺ったがこっちに気づいた様子はなく「ここだ、ここだぁ」とさらに声を上げて呼んだ。
 穴の縁からひょこっと男の子の顔が覗いた。
「あ、ぼく、呼んできてくれてありがとね。もう一度ここだって教えて来てくれるかな。呼んでも聞こえないみたいだから」
 男の子が顔を引っ込めた。
 よかった。やっと出られる。
 さらなる寒さで息の白さがさっきよりずっと濃くなっていたがもう大丈夫だ。
 戻ったら熱い温泉に頭まで浸かるぞ。
 そう思ったのもつかの間、頭上からぼたぼたと泥が落ちてきた。
 見上げたとたん、氷のように冷たい泥が顔面に直撃した。
「な、なんなんだ?」
 指で払い除け再度見上げると男の子がにこにこと見下ろしている。
「おじちゃん、あそぼ」
「はぁ? さっさと大人を呼んで来――」
 キャッキャと笑い声を上げて投げつけてくる泥が口に飛び込んできた。それを吐き出しながら「おいっふざけん――」怒鳴った瞬間、大量の泥が喉の奥にまで流れ込んできて堪らず嘔吐した。
 なんてガキだっ。親は何してるんだっ。
 繰り返し吐いて涙が溢れてくる。
「おーい。村田様ぁ」
 足音とともに声が近づいてきた。
 ここにいることを知らせたいが喉がかすれ声が出ない。
「なあ、こんだけ呼んで返事がないんだ。ここにはいないだろ」
「そうだな。ふつうこんなとこまで来ないしな」
「もしかしてコンビニにでも行ったんじゃないのか」
「夕食前に?」
「なんか買いたいものでもあったのかもよ」
「いったん宿に戻ってみるか」
 二人のやり取りが聞こえ、足音が遠ざかっていく。
 ちょっと待てよ。そこに子供がいるだろ。気付けよっ。っていうか、お前もここだって呼べよ。
 そう心の中で毒づき見上げたが、もう子供の姿はない。
 追いかけてくれたかと期待したものの、いつまで待っても誰も来ない。空が完全に暮れ、穴の中は暗闇に閉ざされた。
 寒さと絶望で身体の震えが止まらない。
 あのガキどういうつもりなんだ。
 怒りで頭だけがかっかと熱い。
 まさかこのままってことはないだろう。コンビニに行ってないことももう知られているに違いないし、きっと消防団や警察が捜索に来てくれる。戻ったらあのガキをぶん殴ってやる。
 そう考えているとズボンの膝あたりがくいくいっと引っ張られた。
 真っ暗闇の足元から「だれもあそんでくれないの。だからおじちゃんあそぼ」と声がし「だれもきづいてくれないの。おかあちゃんもあやのちゃんも――」そう言って身体をよじ登ってくる。
 さっきよりも濃厚な腐泥の臭いが鼻先に迫った。

恐怖日和 第四十三話『強盗』

2020-06-08 02:06:01 | 恐怖日和

強盗


「センパイまだですかぁ?」
 山中の長いドライブに辟易したのか、闇夜にただ恐怖を感じているだけなのかわからないが、助手席の鉄二が音を上げ始めた。
「もうすぐだ。ほら見えてきた。あそこだ」
 辰也はヘッドライトに浮かんだ山沿いの待避スペースに車を入れてエンジンを止めた。
 しんとした暗闇に囲まれる。
「本当に真っ暗ですね、辰也さん」
「なになに、お前怖いの?」
 後部座席の冬真の声に鉄二が笑う。
「鉄二さんほどビビりじゃありませんよ」
 すぐ返されて鉄二の舌打ちが聞こえた。
「こんなとこでもめんなよ」
 辰也は運転席から二人を見遣った。少しだけ闇に慣れた目が輪郭だけを捉える。
「センパイ、ほんとに金持ちの家があるんすか」
「ああ、前にここを通った時その山の上にでっかい屋敷が見えたんだ」
 辰也は暗くて何も見えない場所を指さし「家があるのはそこだけで隣近所に何もない」と説明する。
「確かにそんな場所なら住人さえ押さえ込めば後はゆっくり物色できますね」
 後部座席からの声に、
「そういうこと。
 だが、屋敷までのルートがわからなくて何回かここに通って調べた。で、そこに細い坂道があるんだが、上っていくと玄関先に辿り着くらしい」
 辰也はもう一度暗い部分を指さしたが、もちろん車内からは何も見えない。
「細いってどんなっすか?」
「車は入れない。周囲が蜜柑の段々畑に囲まれたあぜ道のような道だ。たぶん防犯のための工夫だろう。そこを徒歩で上っていく」
「じゃ、あんまり重いものや大きなものは盗れませんね。車まで運ぶのが大変ですから」
「そうだな。現金に通帳かカード、宝飾品、まあそのバッグに入るような高級品はとりあえず全部入れろ」
 冬真の横に置いた三個のボストンバッグをあごでしゃくった。
「こんなど田舎にお宝あるんすかね?」
「ど田舎の大屋敷だからあるだろうよ」
 ふんっと鉄二を鼻で弾き、辰也は冬真から手渡された目出し帽を受け取ってかぶった。
「借金返せるほどの収穫あったらいいな」
 そう言いながら帽子をかぶった鉄二に冬真が「それな」と笑う。
 この二人には金が欲しい理由があった。だからこの計画に誘ったのだ。
 ドアを開けるとつんと甘酸っぱい蜜柑の花が香っていた。
「行くぞっ」
 辰也はバッグを手に勢いよく外に出た。

 いくら人目がないとはいえ懐中電灯を点ければ誰かに発見される恐れがある。辰也は手探りで目的の坂道に近付いた。
「ひとつも街灯ないっすね。防犯するなら普通つけると思うけど」
 辰也の肩をつかんでついて来る鉄二がつぶやく。
「必要ないんだろ」
「な、なんか逆に怖いっすね」
 肩から鉄二の震えが伝わってくる。
「それだけ田舎なんですよ。僕たちには好都合じゃないですか」
 後ろの冬真に鼻で笑われても「そうだよな」と覇気がない。
「ここだ」
 坂道に沿って張られたフェンスに触れて辰也は振り返った。闇の中に二人の気配だけ感じる。
「鉄二、先に行け」
 辰也は道を譲った。
「ええっ、なんでっ?」
「しっ」
「セ、センパイから行ってくださいよぉ」
「だめだ、お前が逃げないとも限らないし。それに上って行けばいいだけだから簡単だろ?」
 辰也は冬真の後ろに移動した。
「怖いんですか、鉄二さん」
 笑う冬真に、
「そりゃ怖いだろうよ、ったく」
 不満を隠しもせず、鉄二が坂道を上り始めた。続いて冬真、辰也が続く。
 坂道は細いがちゃんとコンクリートで舗装されていたので歩きやすかった。それでも転ばないようフェンスを伝って進んでいった。
「うわっ、これなんだ」
「ちょ、ちょっとぉ」
 立ち止まった鉄二とぶつかる冬真の声が闇に響く。
「静かにしろっ。いったいどうしたんだ?」
 辰也も立ち止まって注意する。
「目の前になんかあるんすよ。触った感じ、ビニールシートで覆われてるみたいな――」
「ああそういえば、白いシートを被せたものが途中にあったな。ロープでぐるぐる巻きにして」
「蜜柑運ぶモノレールじゃないですか? 収穫時期以外は片してあるんですよ、きっと」
「でもこれ通り道の真ん中っすよ。こんなとこに普通あります?
 それに――これ、機械って感じしないっていうか」
 鉄二の声にぺたぺた触る音が重なる。
「うわっ」
 突然の叫び声に辰也は念のためポケットに入れておいたペンライトをつけた。
 鉄二が白いシートの物体に伸しかかられている。触れたせいで横倒しになったわけではなく、物体自身が蠢いて鉄二を襲っていた。
「う、うわあ」
 冬真が後退り、辰也にぶつかる。
「早く進めっ」
「で、でも――鉄二さんが――」
「いいから今のうちに。でないと俺らもヤバいぞ」
 冬真を押しのけ、白い物体ともがく鉄二を跨ぎ辰也は先を急いだ。
「ま、待ってください」
 冬真が追いかけてくる。それを確認してペンライトを消した。
「あ、あれなんなんでしょう? 一見、マネキンの胴体がシートにくるまれているみたいでしたけど。でも、それならふつう動きませんよね――鉄二さんどうなるんでしょう」
 背後で冬真の声が震えている。
「分け前が増えると思えばいいさ」
「そ、そうですね」
「しっ。もうすぐ着く」
 その時、がさっと音がして立ち込める蜜柑の花の匂いが揺らいだ。
「ぎゃっ」
 冬真が悲鳴を上げた。
 辰也は急いでペンライトをつけ、冬真を確認する。
 ブルーシートの物体が冬真に伸しかかっていた。これもロープがぐるぐる巻かれ、マネキンの胴体のような形をしている。
「た、助けてぇ」
 手を伸ばして苦し気な声を上げる冬真を無視し、辰也は屋敷へと急いだ。

 玄関前に着くと辰也は重厚な木製の引き分け戸を静かに引いて戸を開けた。
 広い三和土に身を滑らせ、音を立てないよう靴を脱ぎ、上がり框にバッグと脱いだ目出し帽を置いて上がり込む。
 目の前には長い廊下が伸びていた。躊躇なくそこを進み、値打ちのありそうな襖絵を三部屋分素通りした辰也は一番奥の金襖を開けた。
 二十畳ほどの奥座敷の真ん中に敷かれた布団の中で酸素マスクをつけた老人が横たわっている。
 辰也は色のない老人の顔を覗き込み、耳元で話しかけた。
「ちゃんと二人連れて来たよ、お祖父ちゃん。これで後継者の試験に合格したのかな?」
 皺の奥で薄目を開けた老人が白く濁った眼球で辰也を見、小さく頷くとそのままこと切れた。
 すぐさま隣室の襖が開き、正座で控えていた十数人の使用人の中から白衣の医師が出て老人の臨終を確かめた。
 執事を先頭に使用人たちが辰也に向かって深々とお辞儀する。
「おめでとうございます旦那様。わたくし共々みなこれからも一生懸命お仕えいたします」
 挨拶を終えた執事が合図を送ると使用人たちはそれぞれの業務に戻り、残った数人は遺体の処理に取りかかる。
 白衣姿は知らぬ間に消えていた。
 庭番の男がおずおずと辰也に近づいてくる。
「お車は駐車場に回しておきました。あの――これはどういたしましょうか」
 坂道に放ったままにしていた二つのボストンバッグを持っている。
「上がり口に置いてあるのも一緒に全部処分しておいて」
「かしこまりました」
 深く首をたれ庭番が去って行く。
 自分はこの屋敷にふさわしい主になれるだろうかと考えながら、辰也はその後姿を見送った。

 早朝、浅い眠りから覚めた辰也は蜜柑の花が香り漂う坂道を下った。
 数メートル下りた蜜柑の木の下にロープでぐるぐる巻きの白いシートにくるまれたものがあった。鉤裂きにめくれた穴から冬真の目が覗いている。
 辰也は見開いたまま動かないその目を見つめた。
「これからお前はこの家の守り神だ。もう借金や世のしがらみに悩まされることはないぞ」
 そう言い、めくれた部分を戻して手のひらで撫でた。
 シートの穴は何もなかったように元通りに塞がり、それを確認すると辰也はもう一人の守り神のほうへと坂道を下っていった。