【コラム:】
水平線のあたりに薄紫色の靄が
掛かっている。
海は夜明け前の光を孕み、波頭
を白く際立たせている。
窓の外は紫色の光が、ゆっくりと
茜色に変わってゆく。
カーテンを引くと、部屋は再び
深海に戻った。
本物の夢と眠りが訪れる。
眠りが落ちる前の気怠さと
闘いながら彼女は呟く。
「ねーえ、ひとつだけ、ひとつだけ
聞いてもいい?笑わないでね。
今、もし、火事になったら、
あなたは私を助けてくれる」
「もちろんさ」
「じゃ、もうひとつ・・・地震が
あったら・・・一緒に・・・し、ん、
で、くれる・・・」
「バカだな。当たりまえだろう」
睡魔が完全に彼女の体を占領する。
深い眠りが彼女を呑み込んでゆく。
「・・・うれしい、ありがとう・・。
その言葉があれば、わ、た、し・・・」
ひとは、同じ量と同じ質の愛によって
結ばれることは、けっしてないのだろ
うか。たいていの場合、
どちらかの愛のほうが片方よりも重いのだ。
60体のビスクドールを展示
野沢93番地十二町
ぴんころ地蔵通側
~柳田二助商店~
℡0267-62-0220
『創業121年』
水平線のあたりに薄紫色の靄が
掛かっている。
海は夜明け前の光を孕み、波頭
を白く際立たせている。
窓の外は紫色の光が、ゆっくりと
茜色に変わってゆく。
カーテンを引くと、部屋は再び
深海に戻った。
本物の夢と眠りが訪れる。
眠りが落ちる前の気怠さと
闘いながら彼女は呟く。
「ねーえ、ひとつだけ、ひとつだけ
聞いてもいい?笑わないでね。
今、もし、火事になったら、
あなたは私を助けてくれる」
「もちろんさ」
「じゃ、もうひとつ・・・地震が
あったら・・・一緒に・・・し、ん、
で、くれる・・・」
「バカだな。当たりまえだろう」
睡魔が完全に彼女の体を占領する。
深い眠りが彼女を呑み込んでゆく。
「・・・うれしい、ありがとう・・。
その言葉があれば、わ、た、し・・・」
ひとは、同じ量と同じ質の愛によって
結ばれることは、けっしてないのだろ
うか。たいていの場合、
どちらかの愛のほうが片方よりも重いのだ。
60体のビスクドールを展示
野沢93番地十二町
ぴんころ地蔵通側
~柳田二助商店~
℡0267-62-0220
『創業121年』