久しぶりに 三人が揃って霞で酒を交わしている。客は他に誰もいない。
政 「旦那ぁ 巨人の大番頭、清武さんもやりますねぇ。あの鍋常のジジイにかみつきやしたぜ。」
旦那「ほう 何かあったのかい。」
政「あれ、知らねぇんですかい。鍋常が江川を組の若頭に据えようとして、組の人事に横紙破りを入れたんですが。そしたら、清武さんが・・・」
鉄「政ぁ 話が長くなりそうだからこれを読んでもらえ」
そういうと鉄はモバイルパソコンを飯台のうえに置いて、産経新聞の記事にリンクした
「 全ての会社にそれが求められるように、読売巨人軍にも内部統制と健全な企業体質、つまりコンプライアンスが要求されると思います。それを破るのが、渡邉氏のような最高権力者であっては断じてならないのではないでしょうか。
大王製紙やオリンパスのように、企業の権力者が会社の内部統制やコンプライアンスを破ることはあってはならないことです。私は11月9日に渡邉氏とお会いした際、これらのことにつき翻意を求めましたが、聞き入れられませんでした。そこでやむなく本日の会見に至ったものです。」
旦「まぁ 至って正論だな。いいこといってるじゃないか。」
政「しかし、鍋常の爺さんも無茶なことしたもんですねぇ。そりゃ 現場は切れますよ。江川もいい迷惑じゃないですか」
鉄「いや、爺さんにとっては無茶でもなんでもなく、普段通りのことだったとおもうぜ。最高権力者だからこそなにをしてもいいと考えていた。そうに違いねぇ。今までも、これに似た様なことはあってさ、下の者は黙って従ってきたんだろうよ。」
政「へへ それが通用しなくなったってことですね。爺さんも自分の力を過信したんでしょうかねぇ」
鉄「過信というよりは、世の流れに気が付かなかったのかもな。まぁ、老害であるのは間違いないところだろうよ」
政「それにしても、『企業の権力者が会社の内部統制や、コンプライアンスを破ることはあってはならない』なんて、いいこといっているのですが、鍋常爺さんにしてみれば、内部統制を破ったのは清武さんってことになるのでしょうね。」
旦「ははは。そういうところだろうな。まぁ、私に言わせれば、企業の権力者なんて言葉が好きになれないな。、事実、鍋常さんは経営者でなく最高権力者として君臨してきたんだろうから無理はないがな。」
政「そうですねぇ・・ ところで旦那。企業のコンプライアンスなんて言葉がでてきましたが・・」
鉄「まさぁ、お前、いいところへ話を振るじゃないか。俺もそれについて話をしたかったんだ。清武大番頭はオリンパスや大王製紙を引合いに出して、企業のコンプライアンスの重要性を訴えているが、これはピンとくるものがありましたね」
旦「ほう、それはあのメーカーさんのコンプライアンスのことかい? だったら、ほどほどにしておけよ。」
鉄「へい。ほどほどに話やす。」
鉄は少し酔いが回ってきたようだ。盃をクイッと飲み干すと旦那にさしだして話を続けた
鉄「・・3度目のネガ製造年月日の訂正があったのが10月の13日付けでしたよね。これに対して片岡の叔父貴が訂正の理由と、製造年月日の調査方法の再照会を掛けましたが、未だ音沙汰なし。そりゃぁ、その照会に答える法的義務はメーカーさんにありませんから、コンプライアンスに問題がないと言えばないんですがね」
旦「無いと言えばないよな。だから沈黙を続けるだろうよ。」
鉄「って 旦那ぁ。それでいいんですかい? なんか歯切れが悪くないですか。腹立ちません?」
旦「・・・・メーカーさんが沈黙を続ける理由はそれだけじゃないってことは知っているかい?」
鉄の勢いをそらすように、旦那は鉄に盃を返した。隣の政がそれに酒を注ぐ。
鉄「そりゃぁ、警察天下りの役員の存在ですか?だからこそ追及しなくちゃならいと思いますがね。」
旦「今、騒いだところで、メーカーは動かないのじゃないか。なぁ、鉄。今はその話をする時期じゃないってことだ。この話はこの辺にしとかないか。」
鉄「・・・・・・」
政「兄貴。メーカーさんにも鍋常やオリンパスみたいに経営者ではない横紙破りの権力者がいるってことなんですよ。そして、その権力者が健在で沈黙を守れという内部統制がとれているんですよ。ぶっちゃけていえば、その権力者が落ちぶれるまではメーカーさんは動けないってことじゃないんですか?」
旦「『沈黙』という内部統制が存在していることが、後ろめたいことがあるってことさ。政、いつもにないいい読みしているじゃねぇか。」
政「へへ 恐れ入りやす。ところで 旦那。さっき聞きそびれたんですが・・」
旦「なんだい」
政「コンプライアンスってのは何なんです?」
鉄「何言ってんだ。ばぁか」
終り
組織の権力者だからといって何をしてもいいわけじゃないのは当たり前。
それが当たり前でないのが警察組織で上意下達が徹底している。それを以て内部統制という組織だ。
ブレーキ痕を掛けと言われたら描かなくてはならない。それくらいでなければ統制が取れない組織か。
巨人のナベツネは一人だが、警察組織にはナベツネの様な権力志向の官僚がごまんといる。また、そうなりたいと幹部を目指すバカはその5倍くらいはいるだろう。
企業は消費者への利益提供が存在理由なら、警察は住民の安全を担保することが存在理由か?
現場はそうだろうが、権力志向の人にとって警察組織の存在理由は警察官僚の利益と権力を守る事とだ。
だから、警察は組織の不祥事を隠ぺいし、組織防衛に全力を挙げることができる。オマケに言えば、司法もマスコミもその組織を監視できないから日本最強の腐敗組織だ。
雑感
近頃の政党政治から経済問題。原発。相撲界、野球界を代表していた巨人の内紛。このあたりの有様をみていると、日本の変わり目が来ている気がしてならない。
団塊世代が後期高齢者となり、その世代が育てた娘息子が組織の権力者に座る頃にははっきりするだろう
時間でいえば10年くらい先にははっきりとしているだろう。、
前からそんな気がしていた。
最近は確信に近い。
根拠はない。
直観だ。