
JR西日本福知山線事故から今日で20年を迎える。
事故現場、そしてJR西日本の圏内離れた場所にいてもこの事故について今も思いを持っているのは、運転手を含め107名という尊い人命が失われ、また多くの方が心身に深い傷を負われて今も苦しんでおられること、そして、当時でも世界の最先端であっただろう日本においてこんなにも被害が甚大な事故が起きたことについて理解ができなかったからだ。この思いは事故から20年経った今でも変わらないものの、日々の生活の中で少しずつ小さくなっていた。
事故から10年後、10年前に東京で開催されたイベントを訪ねた。会場で感じた気持ちは消えることはなかったものの、やはり少しずつ印象が薄れていっていたことに気付いたのは、昨年11月に再び東京で開催された講演会を聴講したときだった。事故列車に乗られていたお二人と、東日本大震災で多くの方が犠牲となられた大川小学校で生き残られた数少ない児童のうちのお一人の、それぞれのお話、そして、三人の方による対談。
その日は外せない用事があり、対談の前に中座させていただいたことが心残りだったけど、この日の内容が後日出版されると伺っていたので、改めて読ませていただこうという気持ちでその心残りをかき消そうとした。
そして先日、出版のご連絡をいただきすぐに申し込んだ。間もなく書籍をお送りいただいたものの、読み始めたのは今月半ばで、一昨日に読み終えた。読みながら、そして読み終えてから、改めて事故について考えた。そして、この書籍のタイトル『わたしたちはどう生きるのか』について。
日々起きるさまざまな事件・事故には、そのそれぞれに関係する人の生があり、身体と感情の双方にさまざまな影響を与える。突然の事故、そして震災で心身に大きな傷を負われた方々が、それでも歩み続けていかれる姿に、そして思いに触れたことを、はっきりと「これが」というものではないけど、僕のこれからの歩みの糧にしていきたい。その上で、僕はこれからどう生きるのかについて、改めて考えてみたいと思う。
こうした機会をいただけたことに感謝申し上げます。
さて、今朝のNHK『おはよう日本』で、災害により大切な人を突然亡くした方のケアをされる活動が紹介されていた。この事故を契機にさまざまな取り組みが始まり、知らず知らずのうちにその恩恵を受けていることもあるだろう。一方で、20年を経てもなお課題が残る部分もある。多くの方の尊い犠牲の上に安全・安心を築くべく、誰もがこの事故について考える必要がある。
20年目の4月25日、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、今も苦しみを抱えながら過ごされている方々の想いに心を寄せたい。