消えゆく

東京駅は乗換えをするだけで、最近ほとんど降りていない。
日本橋口のあたりにはビルが立ち並び、以前の少し裏寂れた感じ(？)のバス乗り場というイメージを一新していた。

呉服橋の交差点を曲がろうとした時、目の前の建物がネットで覆われていることに気づいた。

旧日本相互銀行本店ビル…建築家の前川國男氏が手がけた作品として、知る人ぞ知る建物だ。
確かに、周りのビルと比べると古さは隠せないし、使い勝手も良くないだろう。ただ、日本の建築史にとって重要な作品のようなので、簡単に解体されてしまうのは惜しい気がする。とは言っても、「明治村」や「江戸東京たてもの園」のような場所を作って移築するというのも現実的でない…

残念ではあるが、割り切ってしまう以外にないのかもしれない。けれども、そこに建つ新たな建物には、先人の掲げた理想をより具体化する提案があってほしい。

毛繕い

上野界隈には、大勢の人が集まっていた。
小さな子供連れの人たちは上野動物園の方に、そして中高生らしき人たちは湯島天神の方に、それぞれ流れていた。

そんな喧騒をよそに、不忍池の水鳥たちは悠々と水面を漂っていた。しばしその様子を眺めていたが、同じようにカメラのレンズを向けたり、ただ眺めたりしていた人は、僕だけではなかった。

その中の一羽が、ひたすらに毛繕いを続けていた。僕がレンズを向けても、背後だったからか気にも留めずに続けていた。さて、今晩は新年会にでも出るのだろうか…

僕も、彼の念入りな身だしなみを少しは見習わなければ、と思った。

縁起物

昨夜放映されていた、舞台「ナツひとり」を最後まで観ていて、結局今日も早起きには程遠い目覚めとなった。
こうなるとそのままぐだぐだとなってしまい、出かける予定も取りやめに…と思ったが、とりあえずカメラを持ってふらっと出かけた。

途中、谷中の「いせ辰」の脇を通った。そうそう、明日来る甥っ子にお年玉を上げなきゃならない。ということで、ポチ袋を探しに店内に入った。
あれこれ迷ったが、手摺りの高級品もないと思い、そこそこのものに決めた。
ほかに何かないかと店内を回ってみる…とはいえ、それほど広い店内ではない。
入口近くに小物袋が置かれていた。何に使うかは思い浮かばないが、ポチ袋と一緒に店員さんに渡す。この調子で、今年も衝動買いが進むのだろうか…

店の外に出ると、ネズミの飾り物が並んでいた。５匹もいると、昨日のリアルネズミより縁起がいいはずだと、強く念じてみた。