六の宮の姫君 (創元推理文庫)北村 薫東京創元社このアイテムの詳細を見る |
「あれは玉突きだね。…いや、というよりはキャッチボールだ」芥川龍之介が自らの作品「六の宮の姫君」について語ったという言葉
誰とのキャッチボールなのか? 一体どういう意味なのか?
そのなぞを解こうとする主人公“私”の話
言わずと知れた“円紫シリーズ”の4作目
芥川の予習してから読んでよかった
芥川だけに留まらず さまざまな近代文学の文豪にまで話は広がり
芥川龍之介やその交友と作品の背景が生き生きと描かれていておもしろい
大学の文学部というのはこういう勉強をするのかと思うと それもまたとても楽しそうだ
『やっぱり、女は自分と波長の合う《男》を求めるものね。』
『空気の違いや水の違いみたいなものをね、自分と同じような方向で感じる人、そういう男の人のそばにいられたらどうか。きっと、くすぐったいように嬉しいというか幸せというか、そんな気持ちになると思うのよ。』
『女じゃ駄目なの?』
『抱き締めてもらうには、男の方がいいでしょう。』
『生きていく上で、中空にいるみたいな、人間の孤独を感じたら、理屈じゃなくって文字通り、揺れてる自分を押さえつけてほしくなると思う。そんなの甘えだといわれたらひと言もないけど。』
ちょっとしたことでぐらぐらと揺れて
誰かに押さえつけてほしい私の気持ちを
北村さんの言葉は いつもぎゅっと押さえてくれる