ひつじが丘 (講談社文庫)三浦 綾子講談社このアイテムの詳細を見る |
高校を卒業してすぐ友人の兄・良一に求婚された菜穂実
純粋で子どものように無邪気な彼の愛を信じて 駆け落ち同然に結婚するも態度は豹変する お酒飲んで暴力は振るうわ 浮気はするわ…
そんな良一から離れた菜穂実の心は 以前好意を示してくれていた男性に惹き寄せられる でもその男性は友人・京子の好きな人で…
あらすじを書くと陳腐な恋愛モノのようになってしまうのだけど
でもそんな単純な話じゃない
誰かが悪いわけじゃない
相手の幸せを願うあまりに心がすれ違ってしまったりする
頭ではわかっていてもどうしようもない心の動きってのはある
自分の気持ちと相手の幸せとを天秤にかけて かたむくのはどっちだろうか
テーマは“愛と赦し”
普段シラフで聞いたら赤面してしまうような言葉が随所に出てくるけど 不思議と物語に溶け込んでて違和感はあまりない
『愛とはゆるすことだよ。ゆるしつづけることだ』
『愛するとはね、相手を生かすことですよ』
三浦さんは敬虔なクリスチャンだったそうで これらのセリフにとても説得力がある
人は神じゃないから過ちをおかすのは当然のこと
大事なのはゆるすこと 過ちを繰り返してもゆるし続けること
ひとはよわいものよ とてもよわいものよ
ひとはつよいものよ そしてはかないもの
そんな こっこの詞がふと思い浮かぶ
弱さも脆さも 全部ゆるして それでいいと
そのまんま受けとめて それでいいと
人に対しても自分に対しても
そういうふうに生きていけたらいいなと思う