盤上の敵 (講談社文庫)北村 薫講談社このアイテムの詳細を見る |
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“許される殺人”ってあるんだろうか
どんな理由があっても 人を殺すのは許されないというのなら
では 誰かの“心を殺す”のはどうなのか
理屈のない圧倒的な悪意で人の心を壊すことは 許されてしまっていいのだろうか
人の命を奪うのと 心を奪うのと どちらの罪が重いのだろうか
主人公の末永は 殺人犯に妻を人質に取られ自宅に立てこもられてしまう
妻を救い出すため 末永は包囲する警察の裏をかき 犯人と取引をしようとする
まさにチェスのように 用意周到に準備を進め敵を追い詰めていく末永は妻を無事救うことができるのか…
いつもの心温まる北村薫作品とは少し趣の違う話
詰めていく様子も 妻が抱える心の傷の重さも 読んでいて息苦しくなるほど
『心があるっていうのは、自分のだけじゃなくて、外の人の気持ちも、想像するためだと思うんです。その筈じゃないか。相手が何されたら嫌かな、とか、そういうことが分かるためじゃないか。』
世の中には あえて人を傷つけるような言動をする人がいる
相手の痛がる様子を見て自分が満たされる そういう飢えを抱える人というのは怖いなと思う
結局 相手を痛めつけることで自分の心の隙間が埋まりきるわけはなく その攻撃は果てしなく続くから
そんな人間にたまたま運悪く出会ってしまい これでもかと言わんばかりに破壊された心を救うために主人公が取った行動
私は許せる
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