それでも、その後のレコード発表に備えて、ライブのいくつかを録音しておくと決定されたこともあって、(アルバムに関して)別のアイデアが浮上してきた。
「2枚組み」というアルバム形式が、一流の一流たる証しとなっていたのは、ザ・ビートルズの「ホワイト・アルバム」に負うところが大きく当時のビッグ・アーティスト達が、ビートルズの後を追って次々と発表した「2枚組みアルバム」に因るものではなかった。
その年の10月に発表されたアルバム「FROM MEMPHIS TO VEGAS - FROM VEGAS TO MEMPHIS」は、「ELVIS IN PERSON」と副題が付けられた最新のライブ・レコーディングの1枚と、メンフィス録音の10曲を収めた「BACK IN MEMPHIS」との組み合わせだったが、(既にシングルとして)ヒットしていた(スタジオ版)「サスピシャス・マインド」は、ライブ・バージョンが「ELVIS IN PERSON」に収録されていた為、同じタイトルの曲の重複は好ましくないと考えられたらしく、「BACK IN MEMPHIS」からは外されていた。
それでも、その2枚組アルバムもまたゴールド・レコードになり、Billboard Top LP's チャートで12位まで上るなどの大きな成果を残した。
「ELVIS IN PERSON」に続いて「BACK IN MEMPHIS」も、内容はそのままで、1970年11月に1枚もののアルバムとして発表されると、驚いたことに根強く10万枚を売り上げ、Billboard Top LP's チャートで183位になったのである。
我々はシングル・バージョンの「サスピシャス・マインド」をFTD版「BACK IN MEMPHIS」に収録したが、歴史を修正しようとしているわけではなく、意外にも、エルヴィスの生前には通常の新譜(アルバム)に収録されることがなかった古典的名作を、最も賞賛される録音のひとつとして、生まれた家に帰したということなのである。
(エルヴィスの生前では唯一、通常の新譜とは言えない4枚組LP「WORLDWIDE 50 GOLD AWARD HITS VOL.1」に「サスピシャス・マインド」はその名があった)。
2枚組ではなく単独で、この11曲入りアルバムが発表されていたらどんなことが起きていたかを、十分推測することが出来る我々は、このアルバムをそのような形に仕立てることで、エルヴィスの経歴における、疑う余地の無いピークのひとつと言える期間に録音された素晴らしいアルバムを、全ての皆さんに楽しんでいただけると考えている。
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LP「Back In Memphis」
Side 1
Inherit The Wind
This is The Story
Stranger In My Own Home Town
A Little Bit Of Green
And The Grass Won't Pay No Mind
Side 2
Do You Know Who I Am
From A Jack To a King
Fair's Moving On
You'll Think Of Me
Without Love (There Is Nothing) |
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