「LOVE LETTERS FROM ELVIS」が音楽評論家のデスクに届いた時、ある評論家は「残り物の寄せ集めのようなサウンドだ」と酷評したが、こうした「評価するに値せず」的な見解に同意するかどうかはともかく、実際このアルバムは、基本的には、前年の夏に行われたセッションで録音された曲の未発表分を集めた作品だった。 未解決の問題として残っているのが、内部事情に詳しい人間が、エルヴィスはこのセッションで全く異なるサウンドのアルバムを作ろうとしていたと指摘している1971年3月のセッションが、早めに打ち切られていなかったら、(30万枚しか売れず、ビルボードLPチャートで最高33位止まりだった)「LOVE LETTERS FROM ELVIS」は発表されたであろうかという疑問である。 1971年3月15日にエルヴィス主導で録音された4曲がフォーク志向の曲であったことは、エルヴィスが「全く異なるサウンド」を模索していたことを示している。 尤も、トム・パーカー大佐の「エルヴィスの録音は一曲たりとも無駄にはしない」との哲学が作用して、いずれにしてもこのアルバムは発表されただろうと、皮肉っぽく解釈することも出来るのだが。 エルヴィスのキャリアに於いては、往々にて、芸術的価値よりもこの哲学が、物事を決定する論拠になったのである。 | ![]() 1971年6月19日付某誌の批評 |
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1971年3月15日 テネシー州ナッシュビル RCAスタジオB | SINGLE | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | |
3月15日 | The First Time Ever I Saw Your Face Amazing Grace Early Mornin' Rain (That's What You Get) For Lovin' Me | ○ | | B-2 | A-3 | B-1 |

このシングル(Rags To Riches / Where Did They Go Lord)はトップ30に届かず、新譜アルバムの発売に向けて市場に与えた商業的インパクトは限定的なものに終わった為、新譜アルバムの収録曲を検討する場に持ち出されることは無くなった。 最初期のトラックリストには「Sylvia」と「The Sound Of Your Cry」が含まれていたが、この2曲はリストから外され、将来のシングルリリース候補として確保された。 ほんの僅かな期間、前年8月のラスベガス公演で録音されていたジョージ・ハリスン作「Something」が、10曲入りアルバムの「差し替え曲」として考えられたが、結局は見送られ、宗教歌シングル「Life / Only Believe」が、「Rags To Riches / Where Did They Go Lord」よりも更にチャート順位が低く、売り上げ枚数も少ないという状況下にあっても、差し替え候補曲として再浮上してきた。 | ![]() |
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セッションがキャンセルされた影響を直接受けて、RCAは代替アルバムの計画を立てることになった。1971年3月30日付の書類(↓ 左の書類)は、タイトルを「Festival」とするアルバムを1971年6月に発表する取り決めが承認されていたことを示している。 初期の収録予定曲の中には、予定されている宗教的なシングル曲(Life / Only Believe)や、既にカップリングされている2曲(トニーベネットの往年のヒット曲「Rags To Riches」と新曲「Where Did They Go Lord」)は含まれていなかった。 | ![]() |
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(セッションが思いがけず中断された)その時点で、RCAは既に、1970年6月のセッションから「Life」と「Only Believe」をカップリング曲として選び、新しいシングル盤として発表する準備をしていた。 共に歌詞に宗教的な要素を持っているこの2曲は、伝統的年中行事であるイースターの時期に発売する曲として最適だった。 このようなマーケティングと販売戦略は、1965年のイースター時期に「Crying In The Chapel」がスマッシュ・ヒットとなって以来、揺ぎ無いものとなっていたのである。 | ![]() ![]() | |
Life | Only Believe |
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