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窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

耐えるのみ

2021-03-02 20:15:55 | エゾジカの四季

20年来野付半島に通っていますが、こんな事故は初めてです。オスジカが

自分の角にオスジカの頭部を載せ歩くシーン。びっくりです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

             ★ 耐えるのみ ★

海岸に1頭のオスジカがポツリ。周りには仲間がおらず、遠くから異様に見え

ました。近寄って行くと角に何かが絡みついています。

定置網用に使われるロープが角に絡みつきぐるぐる巻きになっていることがあ

リました。2例は確認していました。またロープかなと思いましたが、一応確

のために近寄ってみました。

始めは警戒して逃げようとしました。時間をかけゆっくりと接近しました。双

鏡で確認すると角が絡んでいます。さらにじっくり見るとシカの頭部が残っ

ています。

頭を支える頸椎が外れ、丸々頭が付いています。下顎の皮が剥け落ち、死後2

週間くらいは立っているように見えました。

今時期、若いボス候補のオスは角合わせを活発に行います。遊びの要素が強い

のですが、大きなメスの群れを率いるトップになる作業です。

オスだけの群れの中で良く見られます。激しい取っ組み合いではありませんが、

はけっこう入ります。三又四尖の角を持つオスジカは四歳以上。体重は100

キロを超えます。

角合わせで絡みますが、普段は絡み合いとれないことはありません。観ていて

迫力はありますが、楽しい行動です。

どんな絡み方をして抜けなくなったか、写真からひも解くしかありません。

とれなくなって相手のシカが衰弱し、死ぬまでの苦しみを想像するだけで涙が

出ます。

死闘です。どうやって死んだあと頭が外れたか。100キロ以上の死体を引きづり、

生き延びたこのシカの生命力に驚きます。

良く生き延びたものです。


雪解け進む、いよいよ躍動だ

2021-02-24 19:46:03 | エゾジカの四季

今年の春は雪解けが早い。いつもなら4月の下旬ころまで雪で閉ざされる野付

半島ですが、積雪量が少なく日射しが強く、どんどん雪が消えていきます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

        ★ 雪解け進む、いよいよ躍動だ ★

いつもなら深い雪をラッセルして進むエゾジカものんびりとした様子です。

苦労する雪掻きをせず枯れ草を食べることができからです。群れで行動を伴に

する時期ですが、ひとりで過ごしているシカも見かけます。

草を食べれない時期なのですが、今年は肉づきがよく毛並みも艶々、健康的に

見えます。

溢れるエネルギーを発散するように、嬉しさが体から湧きあがる躍動をして

いました。


かつかつの生活

2021-02-10 18:48:35 | エゾジカの四季

雪が降り、積雪が多くなると野付半島に棲むエゾジカの生活も苦しくなります。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

            ★ カツカツの生活 ★

野付半島は根室海峡に突き出た半島です。冬季、ここを通過して行く低気圧は

等圧線を狭くして強力な風を作り出します。陸上で風速10㎞であっても海

は30㎞を超すことは普通にあります。

そのため降った雪が地面を這うように走り、凸凹の地形で吹き溜まり、締まり

ます。圧縮したような積雪になり、表面はすこぶる硬くなります。

枯れ草を掘り起こし食べるエゾジカは前足で雪を掘り起す作業がきつくなって

きます。サラサラからカキンコキンの雪になっているからです。

それができなくなってくると雪面に出ているハマナスの木を食べ出します。

木には棘があり普段は食べることはないのですが、腹に背は変えられません。

枝先の柔らかい茎や芽を前歯で齧り切り、むしゃくしゃ食べています。

この10年、狩猟期間になると多数のエゾジカが逃れ、退避してきたせいで

それまで繁栄を誇ってきたハマナスが冬季に食べられ減少しだしました。

食物圧と言ってしまえば終わりですが、エゾジカが入り込んできたせいで

相当食べられました。

植物相にとり食べつくされそうになり消えかけている種がたくさん出てきま

した。食害ですが、野付半島は牛や馬の放牧が長い間行われてきたので、エゾ

ジカの増加は自然な出来事として見ていくのが普通かなと思います。

厳しい季節は2月の半ば過ぎれば、緩んできます。それまで頑張るべ。


どか雪を避けて

2021-02-04 17:46:48 | エゾジカの四季

1月26日から27日にかけて降ったどか雪。積雪50センチ以上、しかも

強風で吹き溜まりができ歩きづらい。太平洋から湿気を運び込み、湿ってき

て重くなりました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

             ★ どか雪避けて ★

森に棲むエゾジカにとり雪が深くなると歩きづらくなります。食べる植物が

探しづらくなります。

食べ物を求め集まってくるのが森の中を流れる川の上。マイナス20℃近い

気温のおかげで川も厚い氷で覆われています。しかも風が通る道になっていて

積もっている雪が少ない。移動して食べるものを探すにはもってこいの通路に

変身してるのです。

小さな川に出てきていたのはメスの家族。川岸の灌木の新芽を首を伸ばし食べ

ています。親子は氷の割れ目から滲みだしてきた水を啜っています。

川の上の雪にはたくさんの足跡が残っています。群れが移動した痕です。


雪降れば、苦労が増える

2021-01-29 20:08:28 | エゾジカの四季

雪が少なかったのに、自然はどこかで調整してきます。とうとう積雪が増えて

きました。内陸は40センチ以上の積雪がありますが、野付半島は強風で飛ば

され、20㎝ほど。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

          ★ 雪降れば、苦労が増える ★

それまではのんびり草を食んでいたエゾジカたち。雪は食べ物の枯れ草を埋め、

隠してしまいます。食べるために雪を掻き、掘り出し、食べなければなりません。

強風で締め付けられた積雪は硬く、ふわふわに見える雪とは全く別物になります。

それを前足で掻き、口を突っ込み、引きちぎらなければなりません。

それまでの10倍以上のエネルギーを使わなければなりません。積雪が多くな

ばさらに増します。

エゾジカは苦労のいらない強風がもろにあたる海岸線に沿った草地に集まって

ます。楽したいんです。老齢化したオスジカたちが目立ちます。

メスの群れは恰幅のいいボスジカに守られ、日中は海岸線には出てきません。

オスジカばかりです。オスジカは力があるせいで、締まった雪を前足で掻き、

黙々と枯れ草を食べています。穏やかな表情をしていますが、昼日中からオー

プンな場所に出てくるのは、ひもじいのです。

近くに寄っても、危なくないと理解すれば、近寄らせてくれます。森の中では

考えられない行動をとっています。

観察する者には嬉しいことですが。