地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

J Bridge とか

2006-07-07 07:54:34 | 正しい金融知識
一昨日、そして昨日の公約通り今日はジェイブリッジ(以後JB)の起債に関して考えるところなどをつらつらと書いてみる。

一昨日7月4日にはこのJBの起債が夕方にポロリと発表され、そして昨日5日には、ドンキホーテと日本軽金属それぞれCBの起債、そして三井トラストの公募が発表された。大型公募ラッシュに続くCB起債である。
ちなみにドンキとオカル(日軽金をこう呼ぶ)のCBはそれぞれ200億(オカルは正確には201億))の起債量。
それぞれはまた時間があれば書くけれど、オカルは既存のCBがまだ全額残っており、またドンキも既存CBがあるけれどこちらは半額近くが既に転換されている。
オカルの既存CBの当日のパリティーは90手前、反対にドンキは145近辺、つまりこの新発はドンキ完全有利であった。
実際ドンキのグレーは104前後、対するオカルはほとんどグレーが立たず、という事はこれは主幹事が意図的に抱えたか、とも推察できる。
まあ既存のオカルCBホルダーにとっては迷惑な話で、もちろん新発の方は無理やり転換価格を既存の上に設定はしたようだが、それにしても心理的な重さを払拭できるものでは無いね。

さて、本題のJB。
大型中型の起債の狭間にほんとチラリって感じで出てきた印象で、この辺も会社側が読んでいたとすればツワモノだなぁ、と。
この会社は、前回触れたように元は日本橋倉庫と言う会社であったのを現経営陣が買って、投資会社に蘇らせた。ちなみに日本橋倉庫買収時の日経平均はあのどん底の7000円台で、当時の日本橋倉庫の時価は60円前後であった。その後小杉産業なんかを買収して今に至るわけであるが、この会社の株価はマーケットの先行性がある、と言われている。調べて見るとそこまではっきりした因果関係はチャートには出て来ないけれど、それでも先行性があると言えばあるよね、って感じである。

さて起債は3本立てで行われた。
1.第三者割り当ての新株発行、約20億円
2.第三者割り当ての新株予約権発行、約20億円
3.第三者割り当てのCB発行、約30億円
マーケットキャップが約330億円であるから全体のダイリューションは約2割程度となる。

3つの割当先であるが、これがなんだか私も全然知らないケイマンだのの投資会社であるのが邪推を呼びそうな感じがしたけれど、その手の事に対して現在世間に吹いている風は非常に厳しいのは会社側も十分に承知しているはずで、ゆえにリーガル上は何処を叩いても何も出て来ないんじゃないかなぁ、と思わせる。

1の新株、払い込み価格は3日の終値の10%ディスカウントの546円で、払い込み期日は7月20日。
まあこれは特段記すことも無い。
面白いのは2のワラントと3のCBであるね。
ワラントの行使価格は606円でこれは3日の終値に合わせてある。これも払い込み期日は7月20日。
CBの転換価格はこれまた546円で、払い込みは7月20日。
何故面白いと書いたかと言うと、ワラントの行使期間及びCBの転換期間がそれぞれ払い込みの翌日からになっているところだ。両者ともスタートは21日から。
通常のCBにおいては、払い込みから数週間置いて、転換期限がスタートする。しかしながらこれは払い込んだ翌日から転換なり行使が出来る設計になっている。
しかも、ワラントは置いておいてもCBの方はきっと初めて見る、当初転換価格のディスカウントであるから、要は会社側の意図は、株を売る売らないを別にしてもまずは払い込んだら転換したら?って事のようである。

株価が本日この546円になってしまったので今後払い込みまで株価がどうなるのかが予断を許さないけれど、会社側の想定は間違いなくそれより上で推移するはずじゃ、だと思う。さもないと引受先は何らメリットが無いわけで、例えば大幅に転換価格なり公募価格を割り込むような事態になった場合はどうなるのか、ちょいと現段階では読めない。

おっと、ヤフーの掲示板を見ていたけれどこのCBが何故だかMSCBとか書かれている記事があったりして、さらにMSCB=ダイリューション、的な書かれ方もあったけれど、その辺は正確とは言えない。MSCB=ダイリューションは間違いではないけれど、ダイリューションとは何ぞやを考えれば、その等式だけでは無いわけで、その辺の正しい知識はきちんと学ぶことをお勧めする。またMSCBってのは、Moving Strike CBであって、転換価格が変わるCB、それも一般的な定義になりつつあるのが、月一回とか週一回変わるようなものを差しているわけであるね。
このCBにそのような条項は無い。転換価格が変わる時は、例えば無償だのなんだのと新たな資本政策が実施された時の調整、と言う意味で変わるだけであって、CBそのものに属している理由で変わるわけでは無いので、正確にはMSCBでは無い。
しかしながらそう言いたい気持ちは分かる。なんたってのっけからディスカウント転換価格なんだからね。

ちなみにこれは有利発行にはならないのか一応チェックしたけれど、オプション価値その他を計算して理論的にCBの発行価格が100なら100になるのであれば、一般的には有利発行とはみなされない、と言うのが見解だそうだ。もちろん弁護士によっても解釈は異なろうけれど、ディスカウントがナンボだから有利発行になるならない、と言う議論にはならないそうなので、念のため。
これらの部分も、上に書いたように、その手の事が逆風下である現状にあえてそのような事に踏み込んでいるのだから、リーガル的には問題が無いと思われる。

さて3つのファイナンスのどれも知らない投資家へのみの販売であり、ゆえに特にCBとワラントの現在値はいくらだのってのを計算している人は居ないし、当然マーケットが立つわけでも無いので、上に書いた以外の情報ってのは基本は無い。
資金使途は今後のM&A等に当てられるようで、まあ一般製造業で言う設備投資のようなものだ。これらで調達した資金が無事に業績に生きてくれば、それは会社にとっても株主にとってもそれぞれ果実をもたらすだろう。
上記したように現在株価そのものが転換価格と公募価格になってしまっているので、現時点であれこれ言うことや考えることは非常に難しい。
割当先との関係は基本無い、との事だから、とすれば尚更、払込日に仮にそれらの値段を株価が大幅に下回っていたら、起債キャンセルも有り得るかも知れない。契約書を見ていないから無責任なことは書けないけれど、でももし自分が割当先だったらどうするかを考えれば別に難しい事じゃないわな。

結局何も実のあることを書けなかったけれど、現時点で変な邪推はやはり危険なので、逐一公表されたニュース等があったら、それに対する意見を述べていこうと思うので、今日はここらでご勘弁。

ちなみに投資はあくまでもご自身の判断でお願いします。私は一切責任は取りませんので念のため。





1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大変なことになってますね (零細株主)
2006-07-19 22:05:57
ジェイ・ブリッジの株価が暴落してしまいました。

そしていよいよ払い込み期日の20日。どうなることやら…

小鬼さん、もうちょっと解説してくださいよ。お願いします。
返信する