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衆議院解散の週の株価棒上げの怪に迫る!(笑)

2005-08-17 07:18:36 | 正しい金融知識
私はいわゆるエクイティー部門のフロントに在籍しているのが、専門は株式では無くてCBである。さらにスイスと言う極めて特殊な場所に居るので、見ている銘柄も大型のモノでは無くて小型株が中心だ。
スイス人と言うのは歴史的に非常に投資と言うより投機が好きで、ゆえに80年代終わり頃からのワラントブームの時はたくさんの日系会社もスイスにてワラントを起債したのは記憶に新しい。但しその際も大きな会社はドル建てワラントを起債したが、スイスで起債した会社はその発行の簡素さやコスト等から小型銘柄が多かった。
これは現在のCBにも受け継がれており、大きな会社は大体ロンドンにてのユーロ円CB、もしくは東証にての起債が中心であるが、スイスは相変わらず小さな会社の起債市場になっている。
また、スイス人投資家自体がソニーや松下よりももっと小型の銘柄を好む傾向にあるため、よって私が普段見る銘柄も小さなモノが多い。
しかしながら大きな銘柄は専門外、なんて事は言っていられない訳で、今日はちょっとその辺に目を向けた記事を書いてみようと思う。

先週8月8日に衆議院が解散になり、その日を含めて、月火水木と日経平均がいきなり4連騰したことは株式をご覧になっている方ならまた記憶は鮮明なはずだ。
この事実をどう考えるのか、と言うのが今宵のテーマである。
名付けて、「衆議院解散の週の株価棒上げの怪に迫る」
はじまりはじまり~

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<事実1>
私は11日(木)、つまり4連騰の4日目に、まずは東京の弊社の日本株ストラテジストに電話して彼の見方を聞いた。
彼の昨年末での、今年の株価の見通しは、日経平均ベースで12500~13000円で、4月ごろ安くて夏場高い、と言う予想はバッチリ当たっているのだが、今回はそのスピードが速すぎると当然感じていた。
例えばハイテク銘柄の在庫調整がまだずれ込んでいる等、昨年の高値を超える材料はまだ出ていないにも関わらずこのスピードは分からない、と。
その時に彼は実に気になることを言っていたのだが、それは・・・
「今週金曜日がオプションのSQなんですが、そこで日経平均が12000円を超える超えないによって、12000CALLの投資家の損益が物凄くブレるのです」

<事実2>
また今回の連騰で話題になったのが、そう「外人買い」である。
見たことのないよな規模の寄り付き前の買い注文だったのはご周知の通りである。
しかしながらスイスはこの週、全く持って投資家の動きは閑散であったのだ。
念のためロンドンに問い合わせても、状況は変わらずであった。
つまりこの週の異常な相場の上昇、外人買いには、在ヨーロッパの青目の投資家はほとんど寄与していなかった。
そうすると残る外人の代表は、アメリカである。

<事実3>
さて、私の友達でさる米系証券東京に勤務する日本株ストラテジストが居る。
彼は良く新聞や雑誌にも名前が出ているし、本もちょろちょろ出しているようで、奴と同じ会社に居たときは、彼には特に政治的な動きについてのレクチャーを良く受けていた。奴は日本株のみならず政治動向にもかなり詳しいのだ。
今回もこの解散~日本株についてのお伺いを立てると、メールにて、
「今回は全く逆に持っていかれて参っているよ・・・」との返事だった。同時に奴の書いたレポートを送ってくれたのだが、それは言う通り完全にはずした格好で、しかしながらその後「何故我々は間違ったのか?」と言うレポートを出している辺りのリカバリーショットはさすがだった。

<事実4>
対するやはり米系証券の著名ストラテジストは、やはりコメントを出しており、
その方は非常に強気の意見を述べると同時に具体的な銘柄名も発表した。
シャープ、アドテスト、東エレク、アイフル、クレセゾン・・・。

<謎に迫る独自調査結果>
NIKKEI 12000CALLによる損益のぶれ。
外人買いの主体はアメリカ。
方や米系の知り合いのストラテジストは相場をはずしたが、方や別の米系のストラテジストは強気のコメントを発表。

そこで私はこの4日間の『日経平均銘柄の値上がり上位』を調べてみた。
8日~クレセゾン、中外、アステラス、東エレク、千代化
9日~ファナック、NTT DATA、キヤノン、日揮、東エレク
10日~KDDI、セコム、ヨーカドー、CSK、京セラ
11日~クレセゾン、トレンドM、NTT DATA、セコム、電通

さて、これらの銘柄についてもうちょいデータを取ってみた。
株価指数構成銘柄のウエートである。つまり日経平均構成銘柄225銘柄において、それぞれの銘柄が日経平均を構成する際にどの程度のウエートを占めるのか、と言うことであるが、この4日間の上昇上位5位の銘柄はどれも大体上位30位以内に入っているのである。
例えば今日付けのウエート順位を見ると・・・
ファナック3位、京セラ4位、東エレク5位、KDDI6位、クレセゾン15位・・・
って感じのオーダーになる。
さらに一応時価総額で見てみると、せいぜいキヤノンが10位程度に食い込む程度である。クレセゾン辺りの時価総額はファナックの半分にも満たない。

さらに皆さんご存知の「提灯」。
これは仕手株なんかでは良く使われる株式用語であるが、ある銘柄が突然買われ出した際、それを見ていた人たちがなんだなんだ?となってとりあえず買ってみよう、と言う行動をとり、やがてその銘柄のボリュームが格段に増えて・・・と言うのを「提灯が点く」とか「提灯買いが入った」と言う。
聞くところによるとまさに江戸時代の捕り物のイメージから付いた用語のようで、暗闇で突然各所に提灯の明かりが灯るイメージだそうだが(笑)。

<謎に迫る結論!!>
これらをまとめての三文小説風結論。
さる米系の巨大投資家が実は日経平均12000CALLを大量に取得した。
もちろん政局やらのタイミングを見ながらの行動である。
オプションのSQまでに解散なりがある、と読んでの行動、と置き換えても良い。
(あるいはやむなき理由により12000CALLを大量に取得せざるを得なかった、と言う前提でも良い)

さて、解散になった。通常で考えれば、外人は政局の不安定を嫌うので、ここは売りか、と言うことになる。
が、その巨大投資家がバックに居るさる米系証券はここで大博打に出た。
日経平均を上げるために、その構成ウエートの高い銘柄を推奨し、そして自らも買って出たのである。
解散と同時に、外人は売り、と誰もが思っていたシナリオが全く逆の様相を呈した瞬間、特に日系証券や日系投資家は一種パニックになる。逆に行かれては当然ファンドの成績も悪化すれば顧客への売り推奨を変えねばならないし・・と言う事で一気に壮大なる日経平均ベースでの提灯が点いてしまったのだ。
そこで誰もがあの米系証券ストラテジストの自信満々の推奨銘柄を思い浮かべるわけだが、実際それらが相場を引っ張っているじゃないか、乗り遅れるな!
実際この4日間で、
KDDI4勝、クレセゾン、東エレク、NTT DATA、CSK各3勝・・ってな感じなのだ。

かつての80年代終わりのバブルの頃、あるいは2000年に入ってからのITバブルの頃、それぞれ大きな銘柄たちが相場を牽引した。新日鉄でありソニーであり、そういった代表的な銘柄が存在していたのだね。
今回の主役は誰なのか?
一般論として今回の相場を「政治はとりあえず置いておいて、日本経済の明るさなり堅調さを買う動きである」と言われているものの、どうも日本の景気に絶対的自信を持ったような銘柄が引っ張っているように見えないではないか??

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な~んて言うストーリーを考えてみるのも、悪くないなぁ、と思いません?
もちろんそれにはきちんとした裏をとる必要がある訳ですがね。

(注)投資はくれぐれも各人の判断でお願いします!