「人類誕生の謎解き」を前面に押し出していた感のあった、日本での宣伝文。
でも、予告編を見れば、
『エイリアン』に登場したU字型の宇宙船ジャガーノートも、
スペースジョッキーの座っていた砲座のような操縦席も映っていたし、
さらに緊迫感を煽る警報のようなBGMも、
『エイリアン』の当時の予告編と同じものが使われていて、
本作がエイリアンと関わりがあることは、事前に明かされていた。
以下は、
『プロメテウス』をとりあえず3回ほど観た上で、
あれこれと気になったことを、心に浮かんだままに雑記してみました。
とりとめもなく勝手な内容ですが、
ネタバレになるので、『プロメテウス』鑑賞後の興味のある方だけ、
どうぞ。
★『プロメテウス』と『アラビアのロレンス』について。
R・スコット監督が、
D・リーン監督作『アラビアのロレンス』をかなり意識していることが伺えた。
1:ウェイランド社製アンドロイド・デヴィッドが、
プロメテウス号の中で見ていたのが『アラビアのロレンス』。
劇中で映っていたのは、
ロレンス中尉がマッチの火を指で消して見せるシーン。
ウィリアム・ポッターがロレンスに「トリックは?」と尋ねる。
するとロレンスが答える。
“The trick is not minding that it hurts.”(痛みを気にしないことだ。)
このセリフを、デヴィッドが気に入り真似をする。
諺としては“心頭滅却すれば火もまた涼し”ということか?
このシーンについては、
ネット上で公開されているウェイランド社長のTEDでのスピーチでも
引用されている。
何万人もの聴衆を前に、「T.E.ロレンスは・・・」と、
同じくマッチの火を指で消して見せる有名なシーンについて語り始め、
プロメテウス神話と、[火]から始まった人類のテクノロジーが、
世紀ごとにどう進化したのかについて語っている。
2:デヴィッドが、エリザベスたち調査隊には内緒で持ち帰ったアンプルから、
謎の黒い液体を指先につけ言うセリフ、
“Big things have small beginnings.”(大事は小事から生ず)も、
やはり『アラビアのロレンス』で、ドライデンが口にしていた。
諺としては“千里の道も一歩から”の意か?
3:砂漠に向かうに当たり “It's going to be fun.” と答えたセリフもまた、
ロレンスのものであり、
デヴィッドが「好きな映画のセリフです。」と言っている。
劇中で『アラビアのロレンス』を使ったことに対し、
R・スコット監督は、
「2年もの間、
ひとりで全てをやりつくしたデヴィッドが何度も楽しめるものはどんなものかと考えた時、
『アラビアのロレンス』が頭に浮かんだ。
それに映画のロレンスは、少々アンドロイドっぽいだろ?
デヴィッドなら好きになると思ったんだ。」
と、答えている。
だが、それだけの理由でないことは明らかだ。
むしろ、『アラビアのロレンス』内で語られた哲学を、引用したとも思える。
★エンジニアの宇宙船の種類について
映画の冒頭で現れる宇宙船は、紛れもなく円盤だった。
だが、LV223で姿をあらわす宇宙船ジャガーノートはU字型。
この宇宙船の違いの意味するところは、何だろう?
★なぜデヴィッドは、
宇宙船ジャガーノートがもう一隻あると知っていたのか?
唐突に明かされた印象で、正直驚いたのだが、
あるイメージが頭に浮かんだ。
古代エジプトのピラミッドの東と西には、
太陽の船が1隻ずつ埋まっていた。
エジプトでもLV223を示す壁画が見つかっているという設定上、
その事実が反映されたのだろうか?あくまで推測ですが・・・。
ちなみに、ノベライズ本では、
“エンジニアの宇宙船は、まだたくさんある”となっていた!!
★ヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン)が、
ハイパースリープから目覚めた直後、
デヴィッドと交わした会話の疑問。
ヴィッカーズは、まず「どれだけ経った?」と尋ねる。
それに対するデヴィッドの答えは、
「2年4か月18日36時間15分です。」だった。
続けて「犠牲者はいる?」と問いかけると、
「いいえ。」と、デヴィッド。
さらにヴィッカーズは、
「死者は何人?」と訊き、
デヴィッドは「誰も死んでいない。」と答える。
ヴィッカーズが、死亡した人間がいるか?と尋ねた理由は、
ウェイランド社長が死んでいないかどうかの確認だったと、思われる。
だが、デヴィッドが答えた経過時間は、謎だ。
地球時間に準拠なら、
1日は24時間であり、36時間という数字は出てこないはず。
デヴィッドは、
何を基準にして2年4か月18日36時間15分と答えたのだろうか?
★なぜ、いとも簡単にドーム内でヘルメットを脱いだのか?
このことについて、リアリティに欠けるという否定的感想も散見されたが、
おそらく、演出上やむを得ずだ。
登場人物の顔と表情を、観客に分かりやすく見せるためと、
演じる俳優が息苦しいからだと思われる。(大変なんですよ、ホントに。)
一応、透明ヘルメットには曇り止めも塗ってあったようだが、
それでも限界があることは確か。
C Gで処理していた場面もあったが、やはり脱ぐのが一番手っ取り早い。
というわけで、
本作に限らず、空気が地球と同じならヘルメットは脱ぐというのが、
実写SF映画のお約束。
それでも、エリザベスひとりが残ったシーンでは、
ヘルメットが曇らないようエアーを送り込んでいたのか、
髪がヘルメット内で揺れていた。
★なぜドームは、5つもあったのか?(ノベライズ本では4つ)
★天井画の素材は?
★ミミズは最初からいたのか?
★アシッドブラッドを浴び、呼吸困難で死亡したはずのファイフィールドは、
なぜあんな不自然な格好でプロメテウス号まで戻ってきて、
なぜあれほど凶暴な力で暴れ回ったのか?
・・・などなど
う~~ん、あれこれ考えだすと、やはり眠れない。
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