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『恐怖ノ黒電話』 邦題のイメージより10倍は怖いホラー

2013年07月03日 | 怖かった映画

原題:The Caller(R15+)
2011年・イギリス(分)
               
製作:アミナ・ダマスル、ロビン・フォックス ほか
監督:マシュー・パークヒル
脚本:セルジオ・カシー 
音楽:アンクル、アイダン・ラヴェル
出演:ラシェル・ルフェーブル、スティーヴン・モイヤー、ローナ・レイヴァー、
   エド・クイン、ルイス・ガスマン、グラディス・ロドリゲス
   ほか


鑑賞日:2013年7月2日 (自宅)

邦題を見ると、
まるで楳図かずおの恐怖マンガみたいなイメージだけど、
本作はまったく別物。

一言で言うと、
タイムパラドックス・サイコホラー作品ということになりそうだ。

<ストーリー>
メアリーは、
愛犬デクスターと一緒に古びたアパートに引っ越して来た。
部屋には、ダイヤル式の黒電話が備え付けてあった。

夜、テレビを見ながらまどろんでいると、
黒電話が鳴った。
「もしもし?」
電話に出ると、
「そちらは、722-5795番?」と聞き覚えのない女性の声。
電話機に同じ番号が記されていたから、メアリーはそうだと答えた。
するとすかさず、
「そちらにボビーはいる?」と女性。
「いいえ。
 私は今日ここに引っ越してきたばかりで・・・、
 もしかして、私の前に住んでた人のことかしら?」そう答えると、
短い間を置いて、電話は無言のままガチャリと切れた。

翌日、
メアリーは、DVが原因で離婚する夫デイヴィスとの調停に出向いた。
接近禁止命令や愛犬の所有権などを話し合うためだった。
その夜、デイヴィスが離婚届の書類を届けにメアリーの部屋へとやって来た。
「命令違反よ。」と接近禁止令を盾に中に入れないようにするメアリー。
デイヴィスは「償いとして直接届けたかった。」と言い帰っていく。
だが、離婚届が入っているはずの封筒の中にはふたりの結婚式の写真が。
そして、その裏には〝死ぬまで共に″の文字。

さらに翌日。
古びた部屋の中を手直ししていると、黒電話が再び鳴った。
「ボビーを出して。」
同じ女性の声だった。
「ここには、いないわ。」
メアリーがそう答えても、
「夕べ、窓ぎわに彼がいるのを見たわ。」という。
念のため、そのアパートの住所を尋ねるが、
メアリーのアパートと同じだった。
いったい、どういうことなのか?
「8時にフランクの店で待ってるって、ボビーに伝えて。」
受話器の向こうでローズと名乗る女性がそう言って、電話は切れた。

ただの間違い電話?あるいは元夫の嫌がらせ?
だが、それはおよそ30年前の過去からの電話だった。
過去から執拗に電話をかけてくるローズ。
さらに、離婚した暴力夫の存在。
次第にメアリーは追い込まれていく。

そして、その先には誰も予想できない恐怖が待ち構えていた。

過去と現在が電話でつながっただけで、
こんな怖い話になるとは思わなかったなぁ。

タイムパラドックス。
現在から過去に関わったことで過去が変わり、
過去が変化したことで現在がさらに変わってしまう。

文字で説明するとあっさりしてるけど、
この映画の中の変化は、
じわじわ、ぞわぞわ、
じわじわ、ぞっわぞっわ、
ぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞっ!
ぞぞぞぞぞおぞぞおおおおおおおおおお!!!
と、全身に鳥肌が立つ怖さ。

世界3大ファンタスティック映画祭の中でも、
最も長い歴史を誇るスペインのシッチェス映画祭で注目された作品。

基本は女性vs女性の心理戦なので、
男より女子のほうが、よりリアルな恐怖を感じるかも。
これからの暑い季節、
夜、ひとりで鑑賞するには、
肝を冷やしてあまりある1本といえるかも。

鑑賞後の総合評価:★★★★

                 

直接的な映像を見せるよりも、
そのシーンを想像させることで恐怖を倍加させる演出。
ジャパニーズホラー的な印象も。
個人的には、ホラーで鳥肌立つことは滅多にないのだけれど、

このサイコホラーは、本当にぞわぞわっときた。

余談:
本作の舞台は、プエルトリコ・サンフアン市。
夜のシーンで、外で「コキッ、コキッ」とずっと鳴いている声の主は、
鳥ではなくプエルトリコの国民的な蛙・コキガエル。
海外では侵略的外来種に指定されていて、ハワイでも鳴いている。



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