英題:PIETA(R15+)
2012年・韓国(104分)
監督&脚本:キム・ギドク
音楽:パク・イニョン
出演:チョ・ミンス、イ・ジョンジン、ウ・ギホン、カン・ウンジン、
チョ・ジェリョン、イ・ミョンジャ、ホ・ジュンソク、
クォン・セイン、ソン・ムンス、キム・ボムジュン ほか
鑑賞日:2013年7月9日 (川崎)
昨年、
北野武監督作『アウトレイジ ビヨンド』も出品された
ヴェネツィア国際映画祭で、
見事、金獅子賞に輝いた『嘆きのピエタ』。
韓国映画史上初の快挙となった本作を鑑賞してみることに。
劇場で韓国映画を鑑賞するのは初めてだが、
果たして・・・?
<ストーリー>
30年間孤独に生きてきた男イ・ガンド。
高利貸しの借金取り立て屋として糊口の資を得ている。
返済できない債務者には事故を装わせ身体障害者にし、
その保険金をせしめるという、
極悪非道な取り立て屋として恐れられていた。
そんなガンドの前に母親だと名乗る女性が突如現われる。
「あなたがそうなったのは、私が捨てたから。
私が悪かったわ。」
いきなり現れ、そう言いだす女性に、
ガンドは当然疑念を抱き、残酷な仕打ちをする。
それでも彼から離れず、
無償の愛を注いでくれる女性に対し、次第に心を開いていく。
初めて母の愛という温もりを知り、
人としての心を取り戻しはじめた彼は、
取り立て屋から足を洗おうと決意する。
そんな矢先、携帯電話の向こうから「助けて!」という叫びを残し、
母親の姿が消えた。
債務者が仕返しに母を連れ去ったのか?
母を助け出そうとガンドは元債務者を辿るが・・・
アイゴ~!
完璧にやられた!!
そういうことだったのか!!!
驚きだった!!
こんなに二転三転する展開とは思わなかった。
金と愛と復讐と・・・
本作は、
母という慈愛に触れたことで、
主人公ガンドが人としての心を取り戻す過程が描かれるわけだが、
これほどまでにヒリヒリさせられるとは思わなかった。
アウトレイジでさえ、目をそむけなかったのに、
本作では目をそむけずにはいられない衝動に何度もかられた。
だからと言って、
バイオレンスがメインの映画ではないですよ。
アイゴ~!!
問題作であることは間違いなし。
ラストシーンは、
まるで魂をヤスリで削るかのように痛痛痛々しいまでに衝撃的だった。
ちなみに<ピエタ>とは、
十字架から降ろされたイエス・キリストを胸に抱く、聖母マリア像のことだそうで、
慈悲深い母の愛の象徴。
強靭なまでの“母の愛”が、本作の重要なキーワードであることは確か。
そして、あの嘆きの深さ!
日本人にはとても真似できない。
まさに『嘆きのピエタ』だった!
ヒリヒリ度:★★★★★★★★★★★★★★
物語度:★★★★★★★★★★★★★
母の慈愛度:★★★★★★★★★★★★★★★
ラストの衝撃度:★★★★★★★★★★★★
魂の救済度:★★★★★★★★★★★★★★★
鑑賞後の総合評価:★★★
この作品が内包している激しさは、やはり韓国映画だからだろうか・・・。
メンタルの違いを、否応なく感じてしまった。
鑑賞するには相当の覚悟が必要だったと、鑑賞後に悟った。