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『さよなら渓谷』 やばい!宿題出されちゃった。

2013年07月16日 | じ~んときた映画

原題:さよなら渓谷(R15+)
2013年・日本(116分)
               
原作:吉田修一
監督:大森立嗣
脚本:高田亮 
音楽:平本正宏
出演:真木よう子、大西信満、鈴木杏、井浦新、新井浩文、木下ほうか、
   三浦誠己、薬袋いづみ、池内万作、木野花、鶴田真由、大森南朋
   ほか


鑑賞日:2013年7月12日 (新宿)

連日の猛暑にかなりバテ気味の午後。

「時間もあることだし、映画でも観ながら涼んでみようか。」と思い、
仕事の合間にチケット売り場まで行ったのはいいけれど、
やはり暑さにやられて判断力が低下していたのだろうか?

タイトルの『さよなら渓谷』を見て、
<さようなら>ではなく<さよなら>となっている軽さに、ほのぼの系か?と勘違いし、
<渓谷>いうワードに森林浴マイナスイオンのイメージを感じとってしまい、
「今日は洋画の字幕版を目で追うより邦画がいいか。」と目の疲れも考慮し、
上映時間のタイミングもバッチリだからと、
肝心の内容も確かめないまま即決。
チケットを購入したのはいいけれど・・・。

結果から言えば、
確かに館内は冷房が効いていた。
しか~し、気持ちの上では涼むどころか、
日本特有の夏の蒸し暑さをモロに体感するような映画だった!!

<ストーリー>
尾崎俊介と内縁の妻かなこは、
都会から離れた緑豊かな渓谷で暮らしていた。
そんな長閑な町で起こった幼児殺害事件。
犯人として逮捕されたのは隣の部屋に住む幼児の実母だった。
衝撃の事件は、隣家の尾崎も巻き込んだ。
俊介とその実母が不倫関係にあったのではないかと疑われたのだ。
警察に聴取される俊介。
幼児殺害事件を追っていた週刊誌記者の渡辺も俊介について調べはじめるが、
俊介の人物像が知れてくるにつれ、不倫関係には疑問を抱く。
だが、警察に通報したのは俊介の妻かなこだった。
黙秘を続けていた俊介は、そのことを知ると不倫関係を認めた。
一方、渡辺は俊介とかなこが15年前の事件の、
加害者と被害者の関係であることを突き止めた。
その衝撃の事実を確かめるため、かなこの元へと向かう・・・

そりゃ、そうだよね!!
原作が『悪人』の吉田修一だもの。
本作だって、一筋縄ではいきませんよ。
清々しさや清涼感を求めることが間違い、全くの勘違いでした。

しかも、宿題付き。
ラストシーンで、

雑誌記者の渡辺が「ひとつだけ聞かせて欲しい。」と俊介に尋ねた瞬間、
(やばい、その答えを観客にゆだねる気だ!!)と頭の中にひらめいた。
そして、問われた俊介が振り向き、その顔がアップになった時、
(やばい、このままだと宿題をもらうことになっちゃう!
 観終わった後で考えさせられてしまうぅぅぅ!!)

と、思う間もなくフェードアウト。

(あ~あ、やっぱり。)
案の定、最後の答えを俊介の口から聞けないまま終幕となった。

(やれやれ、答えがどっちにしてもしんどいなぁ。)などと思いながら、
エンド・クレジットを見つめ、
流れてきたエンディング曲を聞いていると、
「あれ?これを唄っているのは、真木よう子か?」と気づいた。
「わざわざ、彼女に歌わせているってことは、
 もしかすると、これも意味があるのでは?」と耳を澄ませ、
その歌詞の最後のフレーズを聞いた時、

「そっかぁ。」と、この作品に込められたわずかな光明を見た気がした。

鑑賞後の総合評価:★★★☆

この物語に込められた愛を感じ取るのは、難しいと思う。
受け止めることはもっと難しい気がする。
少なくとも、
ぼくの隣で「時間の無駄だったなぁ。」と漏らしながら帰って行った初老の男性には、
まったく伝わらなかったようだ。

   

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作詞作曲:椎名林檎
『さよなら渓谷』エンディングテーマ

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