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新・非公正ブログ



伝説のSM小説「家畜人ヤプー」がいつのまにかコミックになっていた。 しかも絵を書いているのがあの江川達也。これは買うしかない。

このとんでもない奇天烈小説の存在を知ったのは阿刀田高のエッセイによってだったと思う。大学2年生か3年生のころだ。それで近くの本屋で探して買い求めたのだが……あの衝撃は忘れられない。

あまりの内容に、最初の10ページで読み進むのが耐えられなくなる人も少なくないに違いない。以下にちょっとだけ概要を書くが、精神力の強さに自信がない人はここで読むのを止めるように。

舞台ははるかな未来。白人女性が頂点に立つ絶対的階級社会である。日本人の末裔は人間とは「別種」と位置付けられている。彼らは様々に品種改良され、食用にされたり皮膚を衣服の材料にされたり、はては生体改造されたうえで固定されてイスやテーブルの材料に使われたりする家畜以下の存在となっている。これが「ヤプー」なのだ。

なかでもIQの高い個体には、読心能力を与えられ、洗脳され、手足を切り落とされ、栄養供給管をお尻に差し込まれた状態で、所有者たる白人の便器として一生を全うする運命が待っている。なにしろ洗脳されており、ご主人が排便したいと思った瞬間それを察知し、大小便を口で完璧に受け止めることが人生最高の名誉であり、便器こそがヤプーのエリートだと認識させられている。いかにうまくウンチを受け取るかの技術を究めるための大学院まで存在するのだ。

小説では何十ページものスペースを費やして、生体改造や洗脳の過程が描写される。これでもかこれでもかと。そのディテールの悪趣味さが小説の売りの一つ(もうひとつは舞台設定に見られる言葉遊びのコジツケ。古事記から星新一のショートショートまでが、このとんでもない未来の伏線とされてしまう。ちななみにヤプーは「カリバー旅行記」の「馬の国」編に出てくる蛮人ヤフーから来ている)。

原作は長大だ。コミックは2巻に至っても起承転結の「起」の部分をまだ脱していない。何巻まで続くのだろう。

感想。絵で見るよりも小説のほうがずっとショッキングであった。少なくとも小説を読んだときのような「夜うなされそうな」感覚はない。江川さんの絵が下手だということではない。だがやはり、「人間が便器に改造されている」と言葉で説明されたときに脳内に想起されるとんでもない空想の広がりが、絵があるとどうしても限定されてしまうのは避けられないようだ。 もっとも、こちらは原作を既に読んで免疫があるし、大学生のころよりは年も取っているから、単純にこちらの感性が鈍っているだけなのかもしれないが。

もちろんコミックにはコミックなりの可能性というものがある。まだ先は長いし、上で指摘した程度のことはとっくに江川氏も気付いているだろうから、今後なにか仕掛けをしてくるに違いない。当分目が離せない。

それにしても、この小説が着想されたのが2004年だったら、いったいどういう描写が飛び出したことだろうね。たてがみの立派な猫科動物風に改造されたペット用ヤプーが一番に登場したかもしれないな。「私たち皆、ペットになる覚悟は出来てます」とか言って胸を張って見せるのだ。

……以上は2004年3月23日に
チャンネル北国TVに作成したエントリーである。既に一部の情報が古いが、当時の記録ということでそのまま保全する。



家畜人ヤプー 1 (1)

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