初日の出を拝もう。それも、海の向こうに上る初日の出を。
うってつけの場所がある。旧大洋村・現鉾田市の海沿いの高台に、近頃はやりの日帰り温泉施設「とっぷさんて大洋」がある。それが元旦は朝6時から営業するという。
以前一度訪れたことがあるのだが、ここの露天風呂の眺望はなかなかのものなのだ。百メーターぐらい先が太平洋。これが湯に浸かったまま眺められる。海はまさに東に向かって開けているのだ。日の出を拝む環境としてこれほど快適な場所はそう多くないのではないかと思える。
1月1日午前4時半起床。うーむ、曇り空のようだ。ただし意外に寒くないのがありがたい。霜が降りていたりすると、まず車の窓ガラスの氷をそぎ落とすところから始めなければならなかったところだが、まったく必要なし。
目的地付近までは国道354号線を伝っていけばよい。そのあと国道51号線を数キロ南下すれば施設の入り口だ。霞ヶ浦大橋を渡り北浦を渡り、距離はおよそ60キロぐらいか。途中の道は北浦周辺を除いておおむね広くて走りやすく開館時間5分前に現地に着いた。東の空はかすかに明るくなり始めていた。
受付では甘酒のサービス。さらに入浴剤を記念品として頂戴した。どういう脈略か分からないが下呂温泉の入浴剤だった。
脱衣して風呂場に入る。掛かり湯をして露天スペースにさっそく行ってみる。さすがに裸では寒い! すぐに湯船にダッシュする。既に多数の先客がいるが何とかスペースをみつけた。
ここの温泉は関東によくある黒湯である。湯の温度は温め。お湯はコカコーラのような色を呈している。有名な草津や箱根や那須などと違い火山は関係ない。古生代の植物の残滓の成分が地下水に溶け込んだものだ。浅草の温泉もお台場の温泉も蒲田の温泉もこのタイプである。
あたりは刻一刻と明るくなってくる。もう眼下の海の白波がはっきり見える。浸かること30分。いくら真冬の露天の温めのお湯とはいえ、すこしのぼせてきた。雲は少し多めだが厚く垂れ込めているというわけではない。事前の調査によればもう日の出の時刻のはず。なんとかこのまま日の出を見ようとがんばる。
しかしなかなかご本尊は拝めない。7:10を過ぎたところであきらめてお湯から出た。脱衣所に戻り服を着ているうち窓の外にさっと朝日がさしてきた。日の出の瞬間は見えなかったが、まあ合格とする。
その脱衣所の窓から見た朝日が冒頭の写真だ。建物の配置の関係で海は見えてないが、まさに「東」の字のごとく木の枝のシルエットごしに見る朝日もいいものである。
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