おととしの秋、僕の母や伯母ら総勢6人の日本人おばさんがカナダ旅行でNiagaraに来た時、車でTorontoまで連れて来てちょっとばかり案内したことがある。州会議事堂の前で「これは誰の銅像ですか?」と聞かれ、「初代首相マクドナルドです」と答えたら、「マクドナルドだって!」と大笑いされた。日本人にとってマクドナルドといったら、ファーストフードのマクドナルドで、ピエロのキャラクターが思い浮かぶ。まったく失礼な話である。いったいどれだけの日本人がカナダ初代首相Macdonaldのことを知っていることだろう。ハンバーガー屋の方はMcDonald'sだが発音はほとんど一緒。たいていの日本人はまともに発音できない。昔、ラジオ講座のテキストの広告に「マク・ドー・ノー」と3拍子で発音すると書かれていていぶかしく思ったことがあるが、まあそんなところだろう。カナダ人に「日本語では『マクドナルド』と発音する」などと話すと、また大笑いされる。娘はまともに発音できるので、日本の友達に向かって"McDonald's"なんて言ったら、今度はいじめられるのかもしれない。さてさて、1月11日はMacdonaldの誕生日で、国の祝日にしようという運動があるらしい。実際、2002年には彼を讃える特別な日であると宣言されたらしく、新聞にはこんなことも書かれていた。"For good measure they also declared Nov. 20 - the birthday of Sir Wilfrid Laurier, Canada's first French-Canadian prime minister - a special day on the Canadian calendar." フランス系カナダ人で初めて首相になった第8代Laurierは"for good measure"、つまり「おまけとして」添えられたようだ。いずれにせよ、2人の肖像はそれぞれ$10、$5紙幣に描かれているので知らないカナダ人はいない。日本の初代首相伊藤博文もそんなわけで、僕には馴染み深かったが、今の子供たちにとってはどうなんだろう。