納豆に七味
2010-03-24 | 酒
今日の東京は寒かった。
午前中からずっと雨降りで、午後になるとすっかり冷えた。
明日は一日中雨で、最高気温が六、七度とか。
というわけで、八時過ぎに仕事をあげると、スーパーに寄らずまっすぐ帰った。
酒は、ある。
先日から帰省している焼酎オヤジが、私の帰りを待っていてくれるのだ。
お湯割り用のミネラルウォーターも、ある。
問題は、ツマミだった。
いちおう、主食はすでに摂ってあった。
私がよほどビンボウくさく見えるのか、我がホームの厨房のオヤジさんは、昼の給食で、いつも、ゴハンをお茶碗三杯ぶんくらいテンコ盛りしてくれる。
私は愚直にそれを腹に入れていたが、さすがに食べ過ぎて苦しいし、午後早くは激烈な睡魔に襲われるし、何より、腹が臨月のようにせり出してきた。
そこで、頂けるゴハンはありがたく頂いて、三分の一ほどは、おにぎりにしてラップに取り分けるようにした。
事務所のスタッフは、六時過ぎには皆、帰る。
ひとり残った私は、隠し持ったオニギリ食べてお腹を充たし、食費を浮かすのであった。
でも、家に帰ったらお酒を飲まなければならない。
お酒は今日をリセットし、明日への「ま、しょうがないか」的なやる気を起こしてくれる、得がたい働き者だからだ。
いつもはツマミを買って帰るのだが、今日は夜の雨が切ないほど冷たく、まっすぐ帰ってきた。
さっそくお湯を沸かしながら、ツマミを点検してみた。
シーチキンが二缶。納豆が三つ。バナナが四本。
バナナは、お酒の友にはなりにくい。
だいいち、これは明日の朝食である。手を付けるわけにはいかない。
私は、シーチキン缶を開け、醤油と酢を掛けた。
これは、焼酎オヤジにぴったりだった。もう一缶、同じようにして肴となった。
ここで「おしまい」に出来れば、私ももう少し「幸多い」半生を生きてこれたかもしれない。
でも、気がつけばひとり残った焼酎オヤジが、「もう少し話し相手が欲しいなあ」と言っている(ように感じた)。
残るはバナナと納豆だが、バナナは、ダメである。
私は、納豆を冷蔵庫から取り出した。
そして、「たれ」を掛けて、ぐるぐると掻き回した。
でも、焼酎オヤジの語り相手としては、ちょっと人生経験が足りない…と、直感したのである。
私は、貧しい我がキッチンを見回した。
そして、『S&B七味唐からし』が、視界に入った…。
なかなか「けっこう」でござんしたよ。
まことに、お粗末さまでございます。
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午前中からずっと雨降りで、午後になるとすっかり冷えた。
明日は一日中雨で、最高気温が六、七度とか。
というわけで、八時過ぎに仕事をあげると、スーパーに寄らずまっすぐ帰った。
酒は、ある。
先日から帰省している焼酎オヤジが、私の帰りを待っていてくれるのだ。
お湯割り用のミネラルウォーターも、ある。
問題は、ツマミだった。
いちおう、主食はすでに摂ってあった。
私がよほどビンボウくさく見えるのか、我がホームの厨房のオヤジさんは、昼の給食で、いつも、ゴハンをお茶碗三杯ぶんくらいテンコ盛りしてくれる。
私は愚直にそれを腹に入れていたが、さすがに食べ過ぎて苦しいし、午後早くは激烈な睡魔に襲われるし、何より、腹が臨月のようにせり出してきた。
そこで、頂けるゴハンはありがたく頂いて、三分の一ほどは、おにぎりにしてラップに取り分けるようにした。
事務所のスタッフは、六時過ぎには皆、帰る。
ひとり残った私は、隠し持ったオニギリ食べてお腹を充たし、食費を浮かすのであった。
でも、家に帰ったらお酒を飲まなければならない。
お酒は今日をリセットし、明日への「ま、しょうがないか」的なやる気を起こしてくれる、得がたい働き者だからだ。
いつもはツマミを買って帰るのだが、今日は夜の雨が切ないほど冷たく、まっすぐ帰ってきた。
さっそくお湯を沸かしながら、ツマミを点検してみた。
シーチキンが二缶。納豆が三つ。バナナが四本。
バナナは、お酒の友にはなりにくい。
だいいち、これは明日の朝食である。手を付けるわけにはいかない。
私は、シーチキン缶を開け、醤油と酢を掛けた。
これは、焼酎オヤジにぴったりだった。もう一缶、同じようにして肴となった。
ここで「おしまい」に出来れば、私ももう少し「幸多い」半生を生きてこれたかもしれない。
でも、気がつけばひとり残った焼酎オヤジが、「もう少し話し相手が欲しいなあ」と言っている(ように感じた)。
残るはバナナと納豆だが、バナナは、ダメである。
私は、納豆を冷蔵庫から取り出した。
そして、「たれ」を掛けて、ぐるぐると掻き回した。
でも、焼酎オヤジの語り相手としては、ちょっと人生経験が足りない…と、直感したのである。
私は、貧しい我がキッチンを見回した。
そして、『S&B七味唐からし』が、視界に入った…。
なかなか「けっこう」でござんしたよ。
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