Harmony

ちょっと呟いて孤独からの脱出?

『君恋し』

2016-02-10 20:56:27 | Weblog
この前のテレビの歌番組で、懐かしくそして心に沁みた曲の一つに、
『君恋し』があった。

今日母に、この歌分かる?と言って歌ったら、母も一緒に歌い出した。
歌詞もメロディーも完璧に、大きな声で。
そして泣きながら。

何度も何度も歌い続けて、そのうち、
  宵闇迫れば 悩みは涯(はて)なし
  みだるる心に うつるは誰(た)が影
と、この部分を、歌うのではなく繰り返し言う。
「ああ良い歌詞だね~。こんな良い歌、誰がつくったんだろう?」
と言い、
「うつるは誰が影、ってね…」と、何度も。

いろんな思いが溢れていそうな母の様子。
私は聞いてみた。
「◯◯銀行で、おばあちゃん好きだったけど、結婚できなかった人いたの覚えてる?」
母は「覚えてる」
私「どんな人?」
母「もう分からない」
そうか、でもそのことは思い出したんだ。
自分のことを歌ったと、昔言っていた『小樽の人よ』を、今いつも歌うときに聞いても、
好きだった人もなにも分からないと言ってたけど、
この歌では少しは思い出すのかもしれない。

そして、この歌詞に合わせて誰かを思う気持ちを、母なりの言葉で話すのだけど、
こういう感情を言葉にするなんて、以前はまったくなかったこと。
でも今は言える。
私も以前なら、照れ臭くて聞けなかったような話。
でも今は聞ける。
認知症がきっとそうしてくてれる。
いいことだってある、認知症。

私も何度も歌って、そしてやっぱりちょっと泣いた。
でも残念ながら、母のような切なく忘れられない大きな恋の思い出はない。

母は今日、間違いなく脳がかなり活性化した。
この歌、これから毎回歌うことにしよう。
音楽療法、ずっと続く。

改めて、私も、良い歌だなあ、そしてなんて切ないんだろうと思いながら、帰ってからもまた歌った。
女性の声で歌うのも、なかなか良いんじゃない?なんて思いながら。


調べてみたら、フランク永井が歌ってヒットしたときのは、リバイバルだったのだ。
そもそもは、大正11年に発売。
そして昭和3年に歌詞を変えて新たに発売された。
それが時雨音羽作詞の今の歌詞という。
それから、昭和36年、フランク永井がカバーして大ヒットとなった。

リバイバルだったなんて、知らなかった。
大正11年。母は7歳。
もしかしたら、メロディーにはその頃の記憶も少しあるのかもしれない。


フランク永井 君恋し Frank Nagai - Kimi Koishi

コメント
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