LITTLEWHEEL Modeler's Diary

モデルフィニッシャー北澤志朗が、カーモデル作りに明け暮れる日々の暮らしを赤裸々に綴ります。

ブガッティT57G(3)

2008年07月18日 10時55分35秒 | モデルカー製作記
フロント周りの再改修も出来上がり。グリルの金網も合わせてみました。

ほったらかしてしまった原因が、このフロント周りの修正でした。
旧いスターターのキットなので、元々グリルやライトの外側のインテークは全てモールドで、エッチングはありません。
深くてクッキリしたモールドならそれで良いんですが、塗装したら一発で埋まっちまいそうな浅いモールドなんですよね。で、取りあえず彫り込んじゃった。

中央のグリルとその下のインテークは、市販の模型用金網を貼ればOK。下側インテークはキットのモールドでは4隅が全て同じRなんですが、実車の写真だと下角のRは大きいようなので、プラリペアを盛って削り直し、修正しました。

問題は、ライトの外側の4分割した葉っぱみたいな形のインテーク。
モノが小さいので、1個ずつ彫り込む事が出来ず、3本の仕切を無視してひとまとめに彫っちゃったんですが、さて仕切りをどうしようか、と。

内側をぶち抜いて裏からメッシュを貼ろうかとも思ったんですが、内側に軸受けがある関係で、削り込むのはちょっと面倒。なるべく表側から細工したい。
とすると、葉っぱ型の凹みの中に1枚の金網を落とし込んで、その上に金属線を3本乗せて仕切を表現するしかないんですね。

でも、それだと実物と表情がかなり違う。
ここはあくまで、4個の穴が開いてるのであって、1つの長い穴に仕切りが3本入ってる、という構造じゃないんだよね。

で、改めて実車の写真をよーく観察してみたんですが、現役当時のモノクロ写真を見ると、このインテークの金網は細くてほとんど見えないんですね。単に黒い穴が4個開いてるように写ってるのがほとんど。
だったら、1/43に関しては穴のままでも良いんじゃないかな、と考え直しました。
結局、仕切りはコンマ3ミリのプラ板をハメ込んで解決。リアにも同じ形のアウトレットがあるんですが、同様に処理しました。
ま、後で気が向いたら、小さく切った金網を入れるかも知れません。

もう1つの問題はヘッドライト。
キットはライトの丸穴のフチに、リムのような出っ張りがあったんですが、実車の写真を見たところ、ライト穴はかなり大きくガバガバに開いてて、そこからちょっとデメキン気味にメッキリムのついたヘッドライトが取り付けられてるんですね。そこで、リムと反射鏡一体のアルミの挽き物を作ってやろうと思って、穴を広げちゃいました。

ところが、後から入手した資料によると、デメキン風ライトは37年のルマン出場時のディティールなんですね。現存する実車はそのままになっています。
ところが、このキットは36年のフランスGP出場車でして、ディティールが大幅に違います。ライト穴は明らかに一回り小さく、ライトユニットは裏側からツライチになるように取り付けられていて、デメキン状ではないんですね。ライト穴の周囲にはリム状の出っ張りはなく、平らです。

つまり、キット本来のモールドも間違ってるし、私が2年前にやった工作も無意味だった、というワケ。
今回は、広げちゃった穴を埋め戻すために、プラ棒で鉢状のパーツを作ってハメ込みました。中央には穴を開けて、虫ピンを仕込んでバルブを表現する事にしました。転んでもタダでは起きん(笑)。

ちなみに、36年のフランスGPにはT57Gが3台エントリーしています。カーナンバーは82/84/86。で、ヘッドライト外側の4連インテークの位置は、82と86はライトのほぼ真横で、84だけがライトよりも高い位置にあります。馬蹄形グリルの形状も、84だけが微妙に違ってるようです。このキットはその84号車。
37年のルマン優勝車として現存する個体も、4連インテークがヘッドライトよりも高い位置にあり、どうやら84号車を改造したものの様です。

実は私はルマン優勝車のキットも持ってるので、あまりインターバルを置かずにそっちも作っちゃおうかと思っています。立続け、というのは無いけどね。飽きちゃうから。








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2 コメント

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Unknown (rocketeer)
2008-07-18 16:19:10
それにしてもブガッティのデザインて、どうしてこうも個性的なんでしょうか。濃密な空気感というか、T57にしろ、アトランティックにしろ、官能的な雰囲気、美しさがありますね。
最新のヴェイロンなども、この時代へのオマージュとも取れるような意匠がふんだんに取り入れられているようで、興味が尽きません。
ルマン・ミニアチュアの1/24キットが欲しくてたまらなくなった時期があったんですが、その高額ゆえ断念したことがありました(貧)。無理してでも買っておけばよかったなと、記事を読みながら思いました。
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ヴェイロン (kitazawa)
2008-07-18 17:23:26
私も初めてヴェイロンを見た時、どことなくT57G「タンク」の面影があるような気がしました。
ピエール・ヴェイロンと言えば、1939年のルマンにジャン・ピエール・ヴィミーユと組んでT57Gに乗って、優勝したドライバーですから、縁が深いんですよね。
もっとも、39年型の「タンク」は、この36/37年型とはかなり形が違いますが。

この時代の流線形は、まさに「ロストフューチャー」なんですね。フランスの流線形はたぶんに心情的で、理論よりも見た目を優先していたような気がします。
空気力学がしっかり理論化されるにつれて、ヤーライやカムの「ドイツ一派」の方が理屈にかなってる、ということで優勢になっちゃいましたが、私はどっちかというと「フランス派」が好きです。

これがロードカーになると、もっとトンでもない事になってますからねえ。
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