SIDEWALK TALK

藍色の手紙

Coastline不意に手紙が届いた。
宛先の文字は見たことがあるような筆跡なのだけど、
差出人は見知らぬ女性の名前が書かれていた。
いぶかしみながら封を開けると、
知己の老婦人の逝去の報がしたためられていた。
差出人は、旅立たれたご婦人の娘さんだった。


僕は、23年の間、毎年4月20日に、
このご婦人に花を贈りつづけてきた。
いつも懇切丁寧なお礼状をいただいていたのだけど、
ここ一両年は便りが途絶えていたから、ご体調を危惧していた。


「人間は二度死ぬ」という。
肉体が滅びたときと、みんなに忘れ去られたとき。
このご婦人と僕は、ある人の二度目の死がこないように、
その人のことを忘れないようにずっと過ごしてきた。


手紙のどこか懐かしい藍色の文字は、
その人のお姉さまだったから筆蹟が似ていたんだろう。
鬼籍に入られたこのご婦人も、これから僕の中で生き続ける。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメント一覧

mf
ありがとう!
https://www.facebook.com/daisuke.masuya
思いがけず、まみろんさんからのコメント。
九州で何か甚大な災害が発生したのかと思いました
まみろん
私もその一人です
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記・エッセイ・コラム」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事