
仕事を始めて1か月たち、マイクロバスの運転にも慣れてきた。
歳をとると、朝早く起きるのは全く苦にならない。6時前に家を出て8キロほど離れた車庫に行き、出社時のアルコール検査を受ける。
免許証を所定の位置に置いて、支給されているストローを検査機にさし、3秒間息を吹きかける。すると、測定値が表示され、0なら合格のピンポーンという音がする。
アルコール検査器
合格なら運行管理者から、その日運転する車のキーと運行指示書、タコグラフのメモリー、車内名刺(名札)の入ったケースを受け取る。
大型の観光バスは担当者が決まっているらしいが、マイクロなどは日によって車両が変わる。整備や車検でいつもの車両が使えない時などは、マニュアル車になることもある。
車両のドアを開けて乗り込むと、まずタコグラフのメモリーを挿す。次に車内名刺を所定の位置に取り付ける。車内名刺を掲示すると、今日1日頑張ろうという気になる。
タコグラフ
車内名刺
それが終わると、エンジンの点検だ。ブレーキオイルや冷却水、ウォッシャー液もそうだが、ディーゼルエンジンの場合はオイルの点検が欠かせない。ガソリン車ならオイルは減っていくものだが、ディーゼルエンジンのオイルは劣化すると量が増すのだ。既定の位置まで来たら交換ということになる。
オイルを点検したら、やっと始動である。4000CCのディーゼルエンジンはともかく音がうるさいが、私はこのディーゼルサウンドが好きだ。その後、タイヤやミラー、ライト類の点検を行う。
始業点検書に点検結果を書き込み、事務所に提出してやっと出発だ。1月は寒いので、暖機運転をしっかりやり車内が暖まってから車庫を出ることにしている。
最近のバスには必ずバックモニターがついているが、このバックモニターは画面が大きく鮮明で、バックの時はもちろんだが、普段でもつけっぱなしである。
バックモニター
自車の大きさを表すマーク(赤と緑の点)も表示されるので、バックはすこぶるやりやすい。特に実際の道路では通行人とかもいるので、これがなかったら危なくてバックなどできないだろう。
これほど念入りに点検しても、トラブルはあるもので、先日など2回運行した後、3回目の運行に入ろうとしたらエンジン音が変になった。「あれっ?いつもと違うな?」と思ったが、原因がわからない。
一応、車から降りてマフラーなど見てみたが、異常なし。そのまま待機所を出たところで回転が落ちてしまった。マイクロバスにはアイドリングを調整するレバーがあるので、それを使って上げてみたがアクセルを踏み込むとエンストしてしまった。
道路の真ん中で立ち往生したので、ハザードを点けてセルを回し再始動するが、やはりアクセルをふかすとエンストする。仕方ないので、アクセルをふかさないようにして何とか路肩に寄せた。
会社に電話し緊急を告げるとともに、もう一台の待機中の車の運転手に交替を要請する。会社からはすぐ代替えの車両を配車するという連絡が入るが40分はかかるという。
待っていると、整備士が代替え車両を運転してきた。その後ろにはもう一台整備士が乗った車がついてきている。2人の整備士に状況を話すと、その場で整備を始めた。
私は代替え車両で次の便を運行し、20分ほどして戻ってくると機器を使って点検していたが、「手におえないから、工場までレッカーする」と言い残して帰ってしまった。
さらに30分ほどして、手配したレッカー車が到着し、作業を始めた。ドライバーは一人だったが、慣れたものでマイクロバスの前輪を持ち上げ、引いて行った。
乗客を乗せている時でなかったのが、幸いだった。運行の途中だったら、どうすればいいのか新米運転手の私にはまったくわからないので、お客さんの前で途方に暮れていただろう。研修では、トラブルの対処法まではやらなかった。
その後、10日ほどたつがまだ整備から戻ってこないところを見ると、よほど重症だったのだろう。走行距離は14万kmくらいだったが、聞くところでは50万kmくらいは走るそうだから、これからもトラブルの1つや2つには見舞われそうである。
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