12.赤い傘 2005年07月14日 | ベストストーリー 夏の前には必ず雷がなり、大雨が降る。 照りつける太陽が、黒い雲で覆いかぶさる。 ワシワシ鳴いていた蝉が急に鳴き止み、シーンと音が無くなる。まるで、世の中の音という音が消えてしまったかのように静かになる。 雲の向こうから雨がポツリポツリと少しづつ降ってきて、いきなりザーと本格的に降り出す。夏に入る前には必ずある一時の時間。雨を見ると憂鬱になる私達。 彼女と出会ったのも雨の日だった。私は傘を . . . 本文を読む