goo blog サービス終了のお知らせ 

ゆるふわ屋。 - 鏃キロク・若林浩太郎のブログ -

シナリオライター若林浩太郎のblogです

かねこしんや (栄光なき天才たち 勝手にお勧め①)

2006年10月15日 15時41分53秒 | レビュー
カルドセプト 5 (5)

講談社

このアイテムの詳細を見る



まあレビューというような大したモンではないのですが、
そして文章だけだと寂しいので画像はアマゾンから。

1クリックいくら、とか昔は言われてましたが
そんなものぁございません。ていうか都市伝説?

こういうのを書いてると、良く分からないトラックバックを
貼られて削除が面倒なので、やめときましょうか。


・漫画化されたゲームについて

私のblogに飛んでくるキーワードで一番多いのは、
わんぱっくコミックス刊、乱丸先生の
「ゼルダの伝説」「リンクの冒険」です。

けっこうファンが居たみたいで、
いらっしゃる方もコメントを残してくださってます。

だがしかし、現在進行形でゲームが原作の漫画を描いている
大好きな漫画家が私にはもう一人居るんです。

それが、今回マガジンZで「カルドセプト」を
連載している、かねこしんやさん。


・カルドセプトについて

この漫画は同名の人気ゲーム「カルドセプト」を漫画化したもので、
その質の高いゲーム性は高く評価されています。

はじめはサターンで発売され……出足が厳しかったよね。
Ⅱがドリームキャストで。プレステ2に移植されて。
PSP版が最近、でて。

最新作はなんと!
XBOX360ですか!?

なぜマイナーなハードへ行くんですか大宮ソフトさん……orz

ともあれ、カルドセプトを知らない人に少し説明をしますと
同ゲームはボードゲームっぽい感じのジャンルかと思います。

モノポリーとか好きだったり、プレイして楽しんだことのある人なら
同じように楽しめると思います。

ええい、詳しくはコチラを読んでくだされぃ。

売上げについては発売元でないと分からないですが
もしかすると国内より海外の方で売れてるのかもしれません。
(私の勤めてた会社でもそういうソフトありました。
ブラッディロアっていう3D格闘は北米で売上げあったんです)

ナゼそこを追求するのか、同ソフトには非常に「艶」がないんです。
エロい衣装を着たお姉さんキャラや、中世的な美形の少年も出ません。

マジック・ザ・ギャザリングのように他に真似されるような
色合いのゲームなので、イラストやキャラ、カードの絵柄を見て
買うような人が非常に少なそうなゲームなんですよね。

コアなゲームフリークでない人の方に
間口が開かれているような気がするんですが、
それにしても知名度が低いんですよね。


・かねこしんやさんのHPについて

そんな同ソフトのコミックを描いているのは、しつこいですが
未だにWikipediaに項がない、かねこしんやさん。

以前は公式サイトがあったのですが移転しては閉鎖し
移転しては閉鎖し……で、現在ありません。



・かねこさんのココがイイ!

この作家さんの非常に良いところは
キャラに愛が感じられるという点なんです。

主人公はナジャという元気いっぱいの、年頃の
女の子なんですが色恋沙汰とか、色っぽい話は一切ございません。

とにかく元気いっぱいで、頑張り屋で型破りな
主人公が勇気とか思いやりとか、もう……そういう
クサいと吐き捨てられかねないようなものを嘘みたいに
振りかざして頑張るわけですよ。

その頑張りようを見守る気持ち……ピクミンを見ている
プレイヤーの気持ちに似て……いや、違うか。
違うかな、うまく表現できない。

ですがいわゆる萌えキャラ的なのは出てきません。
流行に沿ってないんですよね。
幼女とかツンデレとか出てきませんし。

そして露出度が高いエルフのお姉さんとか出るのに
パンチラとか、そういった下品で卑猥な感じなのも
等しく一切ないのです。

これ以上、子供に読ませても安心な漫画は他にありませんって
言うと褒めすぎですね、はい。

ともかく、今時嘘くさい言葉に聞こえる健全って言葉が
当てはまりまくる漫画だと思います。


・かねこ作品との出会い

私が、かねこしんやさんと出会ったのは約8~10年前。
リアルじゃありません、作品を見掛けたのは、ということです。

当時、学生だった私はエロ漫画雑誌に載っている
性的描写のないイラストや漫画が掲載される雑誌「ZIP」に
本来の商品価値以外の部分でも面白さを感じていました。

カルト的な人気を誇る作家さん、
高雄右京さん(To Heartの漫画で作画とかしてましたね)や
漫画「イグナクロス零号駅」でコアなファンに支持されている
CHOCOさんも、ここ出身……のはずです。

なんとこの方、ゼノサーガ エピソードⅢで
メカデザイン、キャラデザイン、ロゴデザイン、
キャライラストを担当されてるんですね。

その中に、毎月2ページずつくらいでカラーやモノクロの
かねこしんやさんのイラストが掲載されていたんですね。
(当時のペンネームは粟田口国綱でした)

氏の初画集「イラストガレージ」に、それらが全て載ってるのを
確認した時は感涙しながら残しておいた
雑誌の切れ端を捨てたものです。

キャラの線というかシルエットなんかはエロいです。
褒め言葉ですよ、マジで。
そして男にしかわからない、ガンダムみたいなメカ物のカッコよさを
メチャクチャ良くわかってらっしゃる。

たいてい旬が過ぎればゲームのコミックは連載終了もしくは
打ち切りになるものなんですが、まだ連載されているのは
氏の「最後までやりきる!」という拘りがあるとしか私には思えません。


・心に残った名言

本屋なんかで、山のように積み上げられている文庫や漫画を見ると
氏の言葉を思い出さずにはいられません。

氏が通っていた学校の先生に、こう問い掛けられたそうです。

「これほど娯楽作品が溢れる世の中で、
君たちがいまさら、何を世に送り出そうというのかね」

その時は答えられなかったそうですが、
今はこう答えると氏は言っています。

「それは描き続ける中でしか見えてこないと思います」

その通りだ、今は最後じゃない。
誰にとっても過程なんだ。
めっさマイナーだけど、いつまでも応援してるぜ……!!!


※ ヤングジャンプで連載してた「栄光なき天才たち」
じゃありませんよ。タイトルで誤解うけやすいかな?

ペルソナ3(P3) レビュー その3

2006年10月07日 21時14分50秒 | レビュー
「ペルソナ3」オリジナル・サウンドトラック
ゲーム・ミュージック
アニプレックス

このアイテムの詳細を見る



ゲームのコンセプトがハッキリしており、
それを貫くように内容が構築されているという点が
秀逸であると私は感じたのです。

ですが、もちろんそれだけではありません。

「週刊 ファミ通」で読者レビューというコーナーがありまして。
その中の「良かった点」で最も多かった意見は
「音楽がいい」でした。

このブログに検索で飛んでこられる方の中には、
以下のキーワードのどれかで来られる方が非常に多いです。
(今はルーンファクトリー関連が一番多いですが)

ペルソナ3
OP
着うた
着うたフル
mp3
サントラ

音楽は非常にいいです。
オシャレです。
このオシャレさは、キャラデザなどにも共通のものを感じます。

ちなみに私の知っている限り、ペルソナ3の音楽は
サントラ以外では流通していないんじゃないでしょうか。

オープニングの曲は「Burn My Dread」
意訳すると「恐怖を掻き消せ」そんなところでしょうか。

サントラは2枚組、ゲーム中に使われていない曲も
1つ入っています。

ゲームをクリアした人間なら必ず記憶に残ったであろう
エンディングテーマもキッチリ入っています。

1日に1回以上は聴いているほど気に入っています。
クリアしたての頃は、聴くだけで泣いてましたもんね。

私は、もし時間に余裕があるのでしたら
是非ッ! ともッ!!
プレイして頂きたい逸品だと思います。

P3と(ほぼ)同一スタッフで作られた
SRPG「ステラデウス」もプレイしたくなり、
買おうかどうか迷ったほどです。
(まだですが)


今回のは本気でお勧めしてます。
次世代機のソフトに触れる前に、PS2史上の総決算
とも言うべきゲームを体験してみてはいかがでしょうか。

ペルソナ3(P3) レビュー その2

2006年10月07日 21時12分07秒 | レビュー
ペルソナ3 公式パーフェクトガイド

エンターブレイン

このアイテムの詳細を見る



大作RPGでよくありがちなのは
主人公はもちろん名前は決まっており、
我々が住む世界とは全く関係のない共通点の見出せない
世界で暮らす人間であること。

その世界の常識を知らないプレイヤーに説明などを
行うこともなく、当たり前に使われている言葉をベラベラと
ご丁寧にボイス付きで喋って「置いてけぼり」にしてくれます。

挙句の果て、そのゲームのゲームとしての売りである筈の
楽しさ……たとえば戦闘システムなどを説明することもなく
勝手にスタートしたり……。

そしていざ、説明書を手に取って開いてみても
自分が勘で触った以上のことは書いておらず、
そこに創意工夫やその先にある達成感を得られないまま続いていきます。

かくして作業感は募り、納得のいかない展開が続いて
プレイを中断、私の場合はゲームソフトショップに売却してしまいます。

(そしてまた違うものを試すわけです)


話を戻しましょう。

P3の場合、物語は主人公が月光学園(高校)に
転校する前夜から始まります。

両親を早くに亡くした主人公は寮に入ることになったようで、
巌戸台分寮という名の学生寮に入寮します。

そこに到着する予定時刻は遅く、
日付が変わりそうな時間に最寄の駅に到着する主人公。

日付が変わった瞬間、このゲームの世界観の中心を担う
怪異が訪れます。

怪異が起こる時間を、
主人公の仲間たちは『影時間』と呼びます。

日付と日付の間に隠された、普通の人間は
自覚することのない時間。

それを目の当たりにし、不思議に思いながらも
動揺することなく学生寮へと足を運ぶ主人公。

ここら辺は公式HP内に、実際にゲーム中で使われている
アニメが載っていますので見てみると分かりやすいと思います。

時を同じくして、寮では同じ高校の女子生徒が自室で
拳銃らしきものを自分の額に向け、引き金を引こうとして
躊躇っている姿が描かれています。

結局、彼女は引き金を引けないのですが……
主人公が寮に到着して最初に出迎えるのは彼女です。

彼女の名は岳羽ゆかり。

ゆかりは「自殺しようとしていた」にしては、
至って普通っぽい反応で主人公を出迎えます。

不思議ですよね。

しかしその疑問は、直ぐに解けることになります。

シリーズ通しての共通点である
人間が「ペルソナ」と呼ばれる能力を使って
怪異に立ち向かうという設定は今作でも健在です。

そのペルソナを呼び出すための「召還機」が、
この銃なのです。弾ではない何かが銃口から発射され、
それが頭を打ち抜いた時……!

世界各国の神話・伝承・民謡ありとあらゆる逸話に
名を連ねた神々がペルソナという形で姿を現し、
主人公たちに力を貸します。

つまり彼女は自殺しようとしたわけではなく、
ペルソナ使いとして頭を撃ち抜くがごとき行為に
慣れようとしていたわけですね。

ペルソナの種類は、女神転生シリーズからの流れでも
お馴染みのものが多く登場します。たとえば、
メジャーなところではケルベロス・ジャックフロスト・
ガネーシャ・ピクシー・リリム・オーディン・トールなど……。

不思議なことをプレイヤーに、
しっかりと「不思議だ」と思わせておいて、
もったいぶることなく伏線を回収していく展開で
置いてけぼりをくらったようには感じませんでした。

そして、物語の大筋としての伏線と受け皿は
しっかりと最初から配置されています。
それをプレイヤーに忘れてもらわないように、
一定周期ごとにその伏線は現れます。

主人公が寮生活をはじめて数日、何度目かの晩。
満月の夜に、怪異……『影時間』にしか姿を現さない存在
シャドウが寮を襲います。

先輩が食い止めている間に逃げる主人公とゆかり。
しかし逃げた先の屋上で、先回りした巨大シャドウが立ち塞がります。
ペルソナを召還する勇気がない、ゆかり。

彼女の手から離れた召還機を手にする主人公は緊張し
額から汗を流しながらも、引き金を引きます。

まさに:y=-( ゜д゜)・∵;; ターン!!

そして召還される彼のペルソナ「オルフェウス」。
が、しかし!?

オルフェウスを内側から突き破り、謎のペルソナが姿を現します。
力は圧倒的で、巨大シャドウを押さえつけた挙句、剣で真っ二つにします。
表現が許されたなら、そのまま喰らっていたかもしれません。

発現した力を行使したことによって極度に
疲労した主人公は眠りにつきます。

それ以降、主人公は一定の周期ごとに夢の中で
謎の少年と出会います。

彼こそは、主人公が入寮した折に「契約書にサインしてね」と
言った全く謎の存在。(冒頭のこのシーンで名前を決定します)

仲間も増え、謎も深まり、一定の周期ごとに現れる少年が
主人公に語りかける内容も変化していきます。

こういった運び方も上手いと思いました。
謎を何度も違う形で繰り返すことによって、
忘れてもらわないようにする工夫ですね。

主人公と謎の少年の関係は……?

他の誰もがペルソナを1つしか持てず使えないのに、
幾つものペルソナを使いこなせ入れ替える力を持つ
主人公の特別さ、その理由とは……?

主人公に感情移入、その究極である
「プレイヤーが主人公と同化する」という感覚が
僅かでもなければ、そのような物語の謎にも興味は湧かないでしょう。

だがプレイヤーが主人公を操作しゲームを進めていくたび、
「自分が特別な存在である」と、良い意味で勘違いできるように
P3は構築されています。

なぜなら主人公はゲームの目的を達成するための存在であり、
プレイヤーの分身なのだから……。

如何なる困難にも立ち向かい、プレイヤーの選択によって
乗り越え、そして未来を掴み取るのです。

ペルソナ3(P3) レビュー その1

2006年10月07日 21時08分23秒 | レビュー
ペルソナ3

アトラス

このアイテムの詳細を見る



さあ調子に乗っていくぞ勝手にレビュー!

10点満点で採点して、10点です。

評価が高くなる傾向にある……
いわゆるターゲット層は主人公たちと同じ
高校生などではなく20代以降ではないかと思います。


さて、ペルソナ3……P3の批評に入る前に
私のレビュー姿勢について他人の意見を交えつつ
触れていきます。

先日、飲み会で友人に「君の日記は毒舌だからなあ」と
言われてしまいました。

(いや、私にとっての問題はそこじゃなくて相手の意図を
ちゃんと訊かなかった事にあるのですが)

でも、このゲームは手放しで褒めますよ。

で、褒める時は逆に私の気持ちが凄く入ってるから
「褒めすぎですよ」って言われることも、
しばしばあったんですねえ。

かつて「牧場物語」シリーズをプレイして
「面白い!」と思った私がOHPのBBSで
感想を書き込んだらプロデューサー自ら
「褒めすぎです、○○さん……」と言われてしまったくらいです。

何が言いたいかと申しますと、
あくまで個人のレビューで感情が激しく入ってますので
参考にならないかも、ってことです。

そしてゲームに対しては、やはりどこか
歪な愛情を抱いているのだと思います。
それがゲーム会社への就職という道を選ばせたほどでしたから。

今回のP3の場合は前作まで……つまり
「女神異聞録ペルソナ」「ペルソナ2 罪」「ペルソナ2 罰」とは
一線を画す世界観やノリになっているため、
アンチも相当数存在すると聞いています。

6年ぶりのペルソナなのに今までと違うじゃないか、と。

そういった方が私の批評を見て不快感を感じるのは
仕方ないことだと思います。ですが論議することで
溝が埋まるものでないことも、また事実です。

そんな私の批評は、全般的に辛口になってしまいがちです。
それを承知した上で批評を読んで下さいませ。


さあてさて、P3のレビューと参りましょう。

私の中で、PS2史上、最ッ高ォ!! ……のゲームでした。
皮肉じゃなく本気です。

さて、このゲームの何が面白かったのか。
楽しかったと感じたのか。
どうして10点という点数をつけたのか。
いきましょう。


「おお、○○よ。死んでしまうとは何事か」

この言葉は「ドラゴンクエスト1」で主人公が
敵に敗れた際、生き返らせてもらい王様に
面会するシーンで言われます。

この言葉、おかしいですよね。
○○には個人名が入ります。私の場合なら
「おお、キロクよ。死んでしまうとは何事か」
となるわけです。

はぁ!? って感じでしょ。
知らない人ならば、この言葉が出てくる
シチュエーションすら想像できないんじゃないでしょうか。

死んだ人間が、生き返って王様に面会し
そしてダメ出しされてるんですよ?

小説・映画・アニメ・童話……あらゆる娯楽の中で、
この言葉がゲーム以外では成立しないものであることは
明らかです。

課されるペナルティは、所持金の半額のロスト。

この際に「主人公以外の人間も生き返らせたらいいじゃん」とか
「誰が生き返らせてくれてるの?」といった突っ込みは通用しません。

なぜなら。

それがゲームだからです。
ゲームの歴史などについては様々な本にも載っていますし、
ここまで遊び方が多様化した今となっては定義が難しい、
というのが本音です。

Wikipediaで紹介されている内容としましては……
コチラをご覧ください。

では、何をしたらゲームを遊んだことになるのか。
これは逆に、非常に簡単な結論がでます。
楽しんでしまえば、それがゲームなのです。

かつて私が学生時代に、TRPGを遊んだ時のこと。
初心者向けのルールブックを読んでいて「そっか、そうだよね」と
同意した一文が、まさにこれだったのです。

「いろいろ複雑なルールとかあるけど、
楽しんじゃえばそれがゲームなんだよ!」

これらを踏まえると。

ゲームとは。自分が主体性を持ってその世界に入り、
そこでしかなれない分身(主人公)となって遊ぶ
仕組みのこと……と、定義できるかもしれません。

この際に、いつも私が感じることがあります。
「主人公とプレイヤーの距離」についてです。

ゲームをしている間だけ、その世界の住人になり
その中で目的を果たす為の存在、つまり主人公になれるのが
私にとってのゲームの最大の魅力だと思っています。

だから主人公は目的であるエンディングに必ず辿りつける。
そこに如何なる困難、障害があろうとも
主人公自身が世代交代して子孫に取って代わるなどしたとしても。

必ず。

P3の主人公は喋りません。

喋る内容、言葉をプレイヤーが選ぶことはできても
勝手に喋ることはありません。

喋っているシーンがないわけではなく、
それは漫画やアニメでよくある記号で表現されています。

また感情表現も吹きだしの中に!や?または汗マーク、
ハートマークが入るだけになるわけです。

P3の主人公の名前は決まっていません。

必ずプレイヤー自身が苗字と名前をつけることになります。

そのようにしてプレイヤーが主人公に感情移入し
「自分の分身であること」を刷り込んでいく導入を
しつこいまでに忠実に行っているのが
私がP3を評価する最大の理由です。

医龍 12巻 (コミック)(小学館 ビッグコミックスペリオール連載中)

2006年10月02日 18時16分21秒 | レビュー
医龍 12巻 Team Medical Dragon (12)

医龍(12)

このアイテムの詳細を見る


カテゴリはレビューにしておきましたが、
そんな大層なもんじゃ、ござんせん。

ドラマ化もして、それも終わりDVD化も決定した
「医龍」12巻が先月末に刊行されました。

で、今日買ってきて読んだわけです。
しかしながら私は連載誌を欠かさず立ち読みしているので
知らない部分は含まれておりません。

今回、12巻は波乱・激動の巻と言っても
過言ではないでしょう。

教授選は3つ巴、いいや4つ……?
そんな様相を呈してきます。
しかも、それまで「噛ませ犬」的な存在だと思われていた
霧島軍司が自分の色をしっかりと示し始めたことにより
全く読めなくなってきます。

主人公・朝田をスカウトした
「大学病院の改革」を訴える加藤助教授。

日本の医学界で根を張る医局というシステムの悪い部分を
象徴したかのような存在として存分に存在感を発揮している野口教授。

野口教授に呼ばれてやってきた、霧島軍司は
自分を「凡人」だと言い切ります。
「凡人であるからこそ、才能ある者を如何なる手段をもってしても
倒そうと立ちはだかるかもしれない」義理の妹である、
朝田の元カノ・ミキはそう言います。

まだ出ていない13巻の話になりますが、
霧島軍司はこう言います。
「朝田が才能を発揮すればするほど、
私の凡庸さが輝くでしょう……!」
霧島の言葉の裏に隠された意味とは……?

そしてUCLAの教授という座を捨て、
教授選に参加するためにやってきた男・国立笙一郎。
朝田と同じ匂いすら漂わせる、この男が描く未来とは。

国立を呼んだER(救急救命部)の鬼頭教授の
思惑は果たしてどうなるのか。

更にバチスタ・チームにも内側からヒビが入ります。

国立は朝田が同じ病院に存在することを
「人的資源の無駄だ」と言い切ります。
そして朝田に語りかけるのです。

「最先端医療に興味がないはずないだろう。
むしろ、誰より興味があるはず。
……UCLAに行けよ。推薦状を書いてやる」

この申し出を一旦は断る朝田、ところが……!?

ドラマ化、という「人気作品」の箔のような
お墨付きを貰った医龍が打ち出したのは、もしかしたら
自分の商業価値を自らの手でひっくり返すという
商業主義の象徴的な手法なのかもしれません。

「皆さんが思ったバチスタ・チームになって、それで
終わるのはつまらないでしょう?」
原作家が、漫画家が、そう言っているような気がしてなりません。

スぺリオールには他にも面白い作品が連載されています。

(原作・武論尊 漫画・池上遼一 の三国志とか)

女性なんかは手に取りにくいかもしれませんが、
一度通して読んでみるのもお勧めですよ。