ほんまかいな、そーかいな、南アフリカ と ちょびっと シドニー そして日本だ!

南アフリカ(2004年)と、シドニー(2005年)での生活の近況報告です。そして日本でも(2007年から)

愛しのデジカメは、メキシコの路線バスと共に去りぬ

2004年11月18日 | 南アフリカ
メキシコシティーから飛行機で2時間ばかし飛ぶと、ユカタン半島のメリダという町に着く。
メリダの街からは、ウシュマルとチチェン・イツァというマヤ遺跡を訪れる事ができる。
マヤ遺跡は、メキシコのそこかしこにあって、いまだに発掘されていない遺跡も数多くある。 メリダの町の周辺にもこの二つの遺跡のほかにも沢山の遺跡が点在している。 
メリダの街からウシュマルに行くツアーは、朝9時に出発する。 ところが、メリダ空港に着いたのが9時なので残念ながらこのツアーには参加できない。 夜のライトアップ・ツアーもあるが、帰ってくるのが8時半でそれから食事に行かなければならないのでこれもいまいち。
とりあえず昼飯がてら街に出てみるかと思い、ぶらぶら歩き出すとちょうど観光案内所があったので聞いてみると、12時にウシュマル行きのバスがあると言う。 "で、帰りはどうしたら良いのん?" と聞くと、"う~ん" とちょっと考えた後に 5時にメリダ行きのバスが通るからそれに乗るか、近くのマナという町までタクシーで行きそこからバスに乗れと言う。
なんだか、行きはともかく帰りがちょっと不安な感じ…。
ま、12時までまだ、30分ほどあり、バスターミナルまで2kmくらいと言うから、ぶらぶら歩きながら考えるかなと街の中心部に向かって歩き出す。 途中、エキゾチックな建物や石畳の道路、何を売っているのかよくわからんごちゃごちゃと怪しげな店が立ち並ぶ通りを歩いているうちは良かったが、ふと気が付くと、意外と2kmは遠い。 このままではバスの出る12時までにバスターミナルに着くかどうか怪しげになってきた。 だんだん、足が速まり、しまいには早足で汗だくだくになりながらバスターミナルにかけつけると、12時5分前になっていた。
ところが、ターミナルの時刻表をみるとウシュマル行きのバスが表示されていない。 
”う~ん、ま、時間もないし、とりあえず聞いてみるか?” というわけで、チケット売り場の窓口で
”今から、ウシュマルに行きたいんだけど、バスあるかなぁ?” と、聞いてみると
”12時5分発のナントカ行きのバスがウシュマルを通るからそれに乗れ、18番の乗り場から出るから” と、言うわけで
よくわからんけどもなんか18番のバスに乗れば良いらしい。 バスに乗る前に少しでも腹ごしらえをしておこうかとターミナルのキオスクでなんだか怪しげな手作りのホットドッグをレンジでチンしてもらい、コーラを買って18番の乗り場に急ぐ。
乗り場のバスを見ると、ウシュマルとは、表示していない。 なんだか不安だけれどもどうにかなるやろと、バスに乗り込み、運転手にウシュマルに行くのはこれでええのん? と聞くのだが、英語がまったく通じない。 スペイン語など話せるわけもないから、ひたすらウシュマルを連呼し、運転手があいまいにうなづくのを見て、こわごわ座席に乗り込む。 
メキシコはアメリカの隣に位置する国だからさぞかし英語が通じるのだろうなと思いきや、通じるのは米ドルだけで、言葉は、ほとんど通じない。 ごく一部のホテルや空港でなんとか英語が通じる程度で、タクシーもほとんどスペイン語以外は通じない。 ま、チチェン・イツァの土産物屋で ”ヤスイヨ、ヤスイ。 タダドーゼンヨ” という日本語を聞かされたのには驚いたが…。 海外のこういう土産物屋で、やたら、”シャチョー”とか”ヤスイヨ” などの日本語が聞かれるのは、喜んでよいものやら、恥じるべきなのやら…。
ま、しかたないので、とりあえずGPSをセットして走行距離をモニターしながらそれらしきところで降りる事にする。
走り出したバスは所々で止まるのだが、どうみてもバス停でないところでも停まっている。 そして、とことこと地元のおっちゃんやおばあちゃんが乗り込んでくる。 とは、言うもののバス停も一応あるようで、どういう仕組みになってるのかさっぱりわからない。
小一時間ほど走るとなにやら集落のようなところに停まった。 これがウシュマル最寄のマナという街なのかなと思うが、どうみても町と言うよりは、村だな。 帰りはここで乗り換えなければならない。 ウシュマルまでは、ここから13kmくらい。
それから少し走って、バスが突然森の中の一本道で停車した。
周りにはジャングル以外に何も見当たらないが、そこから一本、道が森の中に向かって分岐している。
なにやら観光客風の二人組みが降りたので、もしやと思いGPSを見るとほぼウシュマルまでの距離を示している。
”えっ? もしかして、ウシュマル?” と、聞こうにも言葉は通じない。
”わっ、えらいこっちゃ!降りないかん!” ”ちょ、ちょっと待って…。"
”え~い、よう分からんけど、ここからそれほど遠くもないやろ。 降りてまえ” と、いうわけであわててバスを降りる。
降りた後は、何もない森に続く道をたどるしかない。 
いったいどうなるんやろか? と不安げに歩き始めた後ろをバスは、砂ぼこりを上げながら消えて行く。
と、ここでなんだかポケットがいつもより軽い事に気が付いた。 いつもはここにデジカメが入っているだが、ポケットに手を入れてみると、 ”な、ないっ! あ、おれのデジカメ!” と、気づいた時にはもう手遅れ。
見上げた先には、バスの上げていった砂ぼこりが舞っているだけ…。
どうやら、バスを降りる時にあんまりあわててしまったもので、座席からおっことしてしまったらしい。
かくして、わが愛しのデジカメは、ひとりメキシコの町へと旅立っていったのであった。
後はもう、ただボーゼン。 これまで撮ったデーターもこれからの記録もストップと相成ってしまった。
痛いのは、デジカメで広角を撮影できるから、一眼レフのカメラは広角レンズを用意していなかった事。 これは、この旅の間中影響を及ぼすこととなった。 と、言うのも、遺跡にしてもバハの自然にしても予想外に広大に広がり、手持ちのレンズではとても収める事ができないのだった。 ま、なくしてしまったものは、もう、どうしようもない。 あとは、ハートに収めていくのだ!
気になる人は、自分の目で確かめに行ってね。 そりゃ、もう、すごいから! すごい!! なにがすごいと言って、ほんとにすごい!
そして、この一月から小さいボディーにもかかわらずよく働いてくれたデジカメに感謝するのであった。
”きっと誰かに拾われるだろうから、メキシコの空の下でもがんばってねぇ~、ばいばぁ~い”
と、手を振るものの、こころは、トホホなのであった…。

前回までのストーリーはこちらから

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2 コメント

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一気に (gomoku3)
2004-11-19 12:58:36
一気に一息に読んでしまった

映像で見えるような文面で迫力ありますね~

運転手さんの顔なんて知らないはずなのに見えるようです

ケンケンさん、本当に残念でしたね

愛読者の私もザンネンです

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ほんと、大失態 (kenken福)
2004-11-19 15:55:05
ま、でもしょうがないね。

落としたのが命じゃないので良しとしましょう。

本当に残念だけど、考えようによっちゃ、所詮写真は写真。 (写真家の方、ごめんちゃい…。あくまでも僕が撮る写真の事です)

本当は、写真じゃなくて皆さんが自分で行ってみて自分の目で見るのが良いと思いますよ。

写真は単なるきっかけとなれば良いかなって。



最近、常々思うのが実体験の重要さ。

ま、この話をしだすと長くなりそうなのでまた、メインで書いてみたいと思います。
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