私は地球で楽しく遊ぶために生きている

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善人の背中〜11〜

2018-02-01 18:21:31 | ミステリー恋愛小説
眼光鋭い目で私を睨みます。
「◯月◯日の退勤後、6時から9時頃までどこにいましたか?」
その時間はキオを追いかけて、喫茶店にいた時間です。
菅田らん子を見たのもその時間です。
「えっと」私は上目づかいで思い出すように言いました。
「その日は、多分近くのスーパーに夕飯の惣菜を買って自宅に帰ったと思います」
「ほんとですか?」刑事は覗き込むように私を見ながら言いました。
「実はね、事件のあった日に近くのマンションの喫茶店で
あなたを見たという証言を得ているんです」
どうやら既に、私がキオを追って喫茶店にいたことは聞き込み済みのようです。
私は軽く謝りの会釈して
「確かにその時間はマンションの近くの喫茶店にいました」
「どうしてですか?」
佐川キオさんを尾行していました」
「尾行?」
「ええ、最近の彼の行動に不信感を抱いていましたので。
だけど、殺されたことは知りませんでした」
「喫茶店には何時までいましたから?」
8時頃に喫茶店を出ました」
「それまでの間マンションから出て来る人はいませんでしたか?」
菅田らん子の姿を思い浮かべましたが、
「誰も見なかったです」と言いました。
刑事は、わかりました。今日は失礼します、と言うと踵を返しました。
その後ろ姿に呼びかけました。
「刑事さん私を疑っているのですか?」
振り返った刑事は
「容疑者は確定していません。あなたばかりでなく佐川キオさんと
仲良くしていた社員の方々にも聞いています」
じゃ、菅田らん子にも聞いたの?心の中で呟きました。
不思議なものです。あれほど惚れていた佐川キオが死んだというのに、
私はとても冷静なのです。
むしろ佐川キオを殺した犯人を探すことに興味を持ったのです。
菅田らん子は何故あの日、そこにいたのだろう?
数日後、昼休み休憩にいる菅田らん子を見つけ声をかけました。
「仕事が終わったら話があるんだけど時間ありますか?」
らん子は軽く頷く私の顔を見つめました。
その表情は何かを察したようでした。

続く…

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