私は地球で楽しく遊ぶために生きている

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尽くし過ぎる女~14~

2017-01-01 15:09:40 | オムニバス恋愛小説
孝志はこの恋に疲労困憊していることが明らかな口調でわかった。
「もう、疲れたよ」
「疲れた?疲れているのは私よ。我慢しているのも私よ。
あなたは自分の生活を優先しているじゃない。
私は、我慢している。孝志のことを優先しているじゃない」
なおも追及しようとする夏美に孝志は最後の言葉を放った。
「もうやめよう」
「どういう意味?」
「僕達もうだめだ。僕が耐えられない」
夏美が驚愕した表情で孝志を見つめている。
「理沙さんの名誉の為にはっきり言っておくよ。僕と理沙さんは何もやましいことはない。
理沙さんは、夏美のことを考えてくれている友情に熱い思いやりのある女性だよ」
その途端に夏美の表情が豹変した。
「ふん、どうかしら。クールな裏の顔は小悪魔だったりして」
「それが嫌だってのがまだわからないの?理沙さんみたいな友達はもう君の人生には表れないよ」
嫉妬と、怒りと不満に満ちた夏美は、かつての男性に保護され愛されるタイプの女性ではなかった。
ジェラシーの炎をたぎらせている女に理沙は感動すら感じていた。
恋でこれほどまでに変貌できる女に感動していた。
「理沙さん、これ以上2人のことで煩わせたくない。ごめん。2人だけにしてくれるかな」
理沙は無言で頷き喫茶店を後にした。

一ヵ月後、夏美と孝志が別れたことを聞いたのは
夏美の妹からの電話だった。


続く・・・