株式会社KDM建築設計室の(自称)IT建築設計士が、日々建築関係の情報や、IT関連の活用をつらつらと書き連ねていきます。
KDMな日常
長期優良住宅 鉄骨住宅編2
長期優良住宅 鉄骨住宅編 その2
鉄骨造で長期優良住宅の認定を取る際に、もう一つ重要なのが、劣化対策です。
そのまんま言うと、『等級3+α』が必要になります。
『+α』とは?
等級3よりも、1ランク上の仕様にしなさいという事です。
等級3でも、そこそこの仕様なのですが、それでは足りないので、さらに厳しく設定してます。
結構なお値段にもなります。
ただし、緩和条件がありまして、『木造の長期優良住宅の仕様』を満たせていれば、鉄骨の錆止めに関しては、『等級3』の仕様でよいとのことです。
要は、床下を有効330確保し、点検口を設置する等、人が入り込んで点検できる仕様にしておれば、『+α』は勘弁してくれます。
どのみち、等級3にしてもどっちにしても、長期優良住宅に対応させる仕様にすると、鉄骨の錆止めもしくはメッキが必要で、そこそこ金額はかかります。
もし、『長期優良住宅にするんだったら、どの程度建築コストが上がるのか?』と、オーナーに言われた場合は、気をつける必要があります。
下手に安く言うと、後に問題になります。
個人的には、全体金額に対する費用から考えると、長期的に耐えられる仕様ですので、オーナーにとってはメリットが多い認定です。
費用対効果は十分にあると考えます。
長期優良住宅 鉄骨住宅編
長期優良住宅 鉄骨住宅編
さて、その長期優良住宅ですが、鉄骨造の住宅の場合に注意が必要な事があります。
それは、熱橋の処置です。
長期優良住宅において、省エネの対策が必要となります。
鉄は非常に熱を伝えやすいのです。これが。
したがって、木造よりも気を使って断熱処理を施さなければなりません。
一番問題は、充填断熱を採用する時です。
充填断熱とは、柱と柱、間柱と間柱の間に断熱材を充填する断熱工法で、木造ではよく使われます。
最近なにかと話題になる『外断熱』は、柱の外に断熱材を充填する工法です。
外断熱工法なら特に問題は無いのですが、壁が分厚くなる、柱が中に飛び出してくる等のデメリットもあります。
充填断熱だと、壁の厚さが薄くすむのですが、鉄の間柱部分が外部の冷気を伝えてしまい、結露しやすくなります。
そこで、長期優良住宅の認定を取得する為には、鉄の間柱部分に関して、断熱補強が必要になります。
間柱を断熱材でいちいち囲うイメージです。
間柱の一本一本処理をすると、手間がかかってしょうがありません。
図面で描くのは簡単なんですけどね。
壁の内側に余分に断熱材を貼ってしまう方法もありますが、結局壁が分厚くなります。
結果、外張り断熱が現実的になりますね。(もしくは、内側に全面断熱材を貼り付ける、内張り断熱か)
断熱関係は、申請時にものすごく注意される箇所なので、注意が必要です。
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長期優良住宅の注意点 箕面市編
長期優良住宅についての注意点。
各市町村によって、色々な違いがあるのですが、今回は 箕面市 のお話です。
箕面市で長期優良住宅の認定を申請する場合には、箕面市の景観条例を順守しなければなりません。
ようするに、外壁や屋根の色などを規制されるというものです。
長期優良となんの関係やねん?、とも言われそうですが、長期的に存在する(予定の)建物であるので、景観的にも配慮しなさ~い、という事だと思います。
箕面市のこの条例は結構厳しく、例えば外壁の色を変更する時にも、変更申請が必要になります。
変更申請の手数料も必要になります。
計画される際には、ご注意を!
長期優良住宅とは その2
長期優良住宅とは? その2
その1はこちら
さて、その長期優良住宅の申請についてですが、戸建住宅の場合、下記の点についてチェックされます。
1.劣化対策
建物の骨組みが、100年程度はもつようにする事。
2.耐震性
普通の建築基準法よりも1.25倍強い。(簡単に書きすぎ?)
3.維持管理・更新の容易性
水道や排水など、設備関係の維持管理が簡単にでき、また交換も容易にできるように。点検口は必須!
4.省エネルギー性
しっかり断熱。窓やドアも省エネ対応にする事。結露も発生しないように!
5.居住環境
都市計画・法令・条例をきっちり守ること。
6.住戸面積
狭すぎる住宅は不可。
7.維持保全計画
定期的なメンテナンスを計画的に実行し、その資金計画も必要。
マンション等になると、これに、
8.可変性
9.バリアフリー性
もチェックされます。
これらの項目を網羅した図面を作成し、確認申請とは別に申請します。
申請する方法は二通りあり、
1.特定行政庁に直接申請する。
2.認定機関に長期優良住宅であるという認定書をもらい、それを特定行政庁にもって行って申請する。
民間確認申請機関が、認定もやってるところが多いので、確認申請と一緒に認定機関に提出するのがオススメです。
構造がダブルチェックの物件だったのですが。
ダブルチェックのさい、確認申請と一緒にチェックしてくれました。
一度にまとめて指摘事項がくるので、手間が少なくてよいです。
今後は、この項目の中でも、特にチェックされる項目をピックアップしてみますね。
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長期優良住宅とは
長期優良住宅とは?
建物を新築する時に、是非ともオススメしたいのが、『長期優良住宅』の認定取得です。
これは、建築確認申請よりも厳しい基準で設計する事により、長期的に優良・快適な建物である事を証明するものです。
普通の確認申請ではチェックしない、省エネ性能や、長期的な維持管理や耐久性などをチェックされます。
また、この認定を受けることにより、税制等で様々な優遇を受けることができます。
海外に比べて寿命の短い日本の建築物ですが、この認定をうけて維持管理をしっかりする事により、100年以上生きる住宅が増えるでしょう。
構造的に強い建物になりますので、地震時に速攻でぺしゃんこになることもないでしょうし、建物すべてにこの基準を当てはめれば、地震時の被害が1/1000以下になります。
鉄骨の戸建住宅で申請する機会がありましたので、その内容についておいおい書いていこうと思います。(木造住宅は多いのですが、鉄骨の戸建住宅で申請する例は少ないそうです。)
なお、この長期優良住宅の認定ですが、確認申請時に、同時に申請するのが一般的です。
基礎工事の前には申請手続をすませて、認定を受けている必要があります。
ん?
なんで建物自体が建つ前に認定を受けてるのか?
それは、この認定は基本的に図面での審査となります。
長期優良住宅認定における、実際の完了検査というのはありません。
図面だけで認定を受けて、実際ごまかされたらどーするのか?
という意見もなきにしもあらずです。
一応、確認申請の中間検査や、完了検査時に、担当の方が『長期優良住宅である』という前提で検査はするそうです。
又、この認定自体の決められた検査は無いものの、たまに行政庁が抜き打ち検査をするそうです。
優遇処置がある以上、ごまかして発覚したら大変なことになりますよ~。
ということで、設計者がしっかりと現場をチェックする事が重要です。
設計は、設計監理専門の建築設計事務所に任せましょう!(少しアピール)
なぜかという事も、おいおい書いていきます。