牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

10月29日(火) 「渡辺善太全集6<聖書神学論⑥>」 渡辺善太著

2013-10-29 06:49:14 | 日記

 聖書の「預言」的構造論に続いて論じられているのは、聖書の「契約」的構造論である。

 本からの引用。「聖書全体を一貫して見ると、そこには神と人間の「契約」が、重要な点になっていることが分かる。すなわち旧約聖書においては「神とイスラエル」との間、新約聖書においては「神と教会」との間におけるそれである。このことはすでに「旧約」および「新約」という名称において現れている。言うまでもなく前者は「古き(旧き)」契約であり、後者は「新しき」契約である。」

 「旧新両約聖書を一貫して現わされている「契約」は、次のように性格づけられている。第一は神の自己開示に対する「行為」的表現としてのそれである。この性格は聖書的神信仰の基礎となっているもので、旧約においてはもちろん、新約においても、全体的神経験の基礎となっている。すなわち神の自己開示が、思弁的過程にもよらず、といって教義としての形式をも採らず、反対に神ご自身がその民の生活にあずかり、ご自身の意志によって、その民を形成なしたまい、彼ご自身の本質を知らしめたもうということが、この「契約」において示されている。」

 著者は契約は神聖なもので、これを破る時、呪いが契約を破った者に下ることについても言及している。