牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

10月18日(金) 「渡辺善太全集6<聖書神学論④>」 渡辺善太著

2013-10-18 06:48:29 | 日記

 新約聖書にあらわれている五つの旧約聖書解釈の一番目が「聖書の『預言』的構造論」である。

 本からの引用。「聖書における旧約聖書新約聖書との関係は、多面的であるが、その一面は「預言」と「成就」とのそれと見られている。そしてこの「成就」という点からみた旧約聖書の見方が、逆に旧約聖書の性格を決定している。この「預言」と「成就」とによるその構造の究明が、本節の主題である。、、、、、初代教会の人々が、ナザレのイエスこそメシヤ・キリストであるということを証明するための最も手近な方法は、この「預言」と「成就」の関係であったからである。すなわちイスラエル・ユダヤ人は、旧約聖書によって、末の日に必ずメシヤが生まれたもうということを信じていた。これに対して初代教会の人々は、彼らの主であるナザレのイエスこそ、このメシヤであると信じ、かつこれを強力に述べた。しかるにこの両者の間には全く同一の点と、全く異なった点とがあった。すなわち旧約預言のごとく、メシヤが末の日に生まれたもうという点においては、両者とも同じで、これが同一点である。しかしその約束のメシヤが、ナザレのイエスという歴史的人物であるということは、ユダヤ人は否定し、初代教会の人々は肯定した。」

 著者はこのように書いた後、聖書の預言的構造を知るためには新約聖書がイエスのメシヤたることの論証の権威としている、旧約聖書の「メシヤ預言」について知る必要があるとし、律法(モーセ五書)と預言書と諸書(詩篇など)のメシヤ預言について記している。

 旧約聖書が預言(約束)していたメシヤ(救い主)の到来は、イエス・キリストを通して完全に成就(実現)した。これが私の信仰である。旧約聖書を学べば驚くべきかたち(救い主の生まれる場所、死に方などを含む)でイエス・キリストを通して旧約聖書の預言が成就していることが分かる。そのことは哲学者であるパスカルも著書「パンセ」で書いている。これは旧約聖書の預言と成就を学ぶには大いに参考になる書物といえるであろう。

 これを真剣に学ぶ人はイエス・キリスト(キリスト教)の偉大さが分かると私は思う。