介護と保育という現役世代を支える社会保障制度に係る人材が不足している。その大きな理由の一つに、賃金水準が相対的に低いことが挙げられる。先のブログ記事では介護職の賃金水準とその引上げに関して論じたが、今回は保育士の賃金水準とその引上げに関して論じてみたい。
下の資料1にあるように、厚生労働省の調査によると保育士の平均賃金は21.4万円で、介護職(ホームヘルパー、福祉施設介護員)と同じ水準。また、「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」によると、保育士を希望しない理由で最も多いのは「賃金が希望と合わない(47.5%)」となっている。これは下の資料2の通り。
政府は平成25~29年度で「待機児童解消加速化プラン」を進めようとしているが、厚労省調査によると、必要となる保育士数については次のように示されている。
・需要面:保育の量拡大に伴って必要とされる保育士数は、平成29年度末で約46.0万人と推計
・供給面:現在の保育所における保育士の離職率等を考慮して推計した保育士数は、平成29年度末で約38.6万人と推計
⇒ 平成29年度末における保育士は約7.4万人不足(需要面-供給面)
保育士への就業インセンティヴとして、賃金を全産業平均と同水準にすることとすれば、月30万円程度にする必要がある。この水準の賃金を46万人の保育士に支給するために要する費用は、単純計算で年間1.7兆円( ≒ 30万円/月×12ヶ月×46万人)となる。これに近付けるするためにどのくらいの人件費補助率を設定するかは、時々の政治事情や財政事情による。
年金・医療・介護・社会福祉を合わせた社会保障費用総額は年間100兆円を超える。このうち、子ども子育てに充てられるのは1%程度でしかない。非常に難しいことは重々承知しつつも、少子高齢社会の持続性を高めていくには、高齢者向け施策の膨張を大幅に抑制することにより、保育士への人件費拠出の増額を始めとした子ども子育て施策の大幅拡充のための財源を捻出していくべきだ。
<資料1>
(出所:厚生労働省資料)
<資料2>
(出所:厚生労働省資料)
下の資料1にあるように、厚生労働省の調査によると保育士の平均賃金は21.4万円で、介護職(ホームヘルパー、福祉施設介護員)と同じ水準。また、「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」によると、保育士を希望しない理由で最も多いのは「賃金が希望と合わない(47.5%)」となっている。これは下の資料2の通り。
政府は平成25~29年度で「待機児童解消加速化プラン」を進めようとしているが、厚労省調査によると、必要となる保育士数については次のように示されている。
・需要面:保育の量拡大に伴って必要とされる保育士数は、平成29年度末で約46.0万人と推計
・供給面:現在の保育所における保育士の離職率等を考慮して推計した保育士数は、平成29年度末で約38.6万人と推計
⇒ 平成29年度末における保育士は約7.4万人不足(需要面-供給面)
保育士への就業インセンティヴとして、賃金を全産業平均と同水準にすることとすれば、月30万円程度にする必要がある。この水準の賃金を46万人の保育士に支給するために要する費用は、単純計算で年間1.7兆円( ≒ 30万円/月×12ヶ月×46万人)となる。これに近付けるするためにどのくらいの人件費補助率を設定するかは、時々の政治事情や財政事情による。
年金・医療・介護・社会福祉を合わせた社会保障費用総額は年間100兆円を超える。このうち、子ども子育てに充てられるのは1%程度でしかない。非常に難しいことは重々承知しつつも、少子高齢社会の持続性を高めていくには、高齢者向け施策の膨張を大幅に抑制することにより、保育士への人件費拠出の増額を始めとした子ども子育て施策の大幅拡充のための財源を捻出していくべきだ。
<資料1>
(出所:厚生労働省資料)
<資料2>
(出所:厚生労働省資料)
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