介護職の給料引上げ試算 ~ 年間1兆円で全産業平均に並ぶ

2014-04-27 21:27:46 | 日記
今日の毎日新聞ネット記事では、介護職の賃金水準などについて報じている。


<記事抜粋>
・全国労働組合総連合のアンケート調査(昨年10月)では、手当を除く正規職の平均賃金は20万7795円。厚生労働省調査の全産業平均(29万5700円)を約9万円下回る。
・長らく介護は主婦による家事労働とみなされてきた。職業としての確立が遅れ、低賃金から抜け出せない。
・介護労働安定センターによると、介護職の離職率は17.0%(2011~12年)で、全産業平均(14.8%)を上回る。
・2月の有効求人倍率は2.19倍。全産業平均(1.05倍)の2倍。


この記事の数字とは違うが、厚生労働省調査・平成24年賃金構造基本統計調査によると、下の資料にある通りだ。経験年数や平均年齢に違いがあるので単純な比較はできないが、(1)一般労働者については、介護分野の賃金水準は産業全体と比較して低い傾向にあり、(2)一般労働者であるホームヘルパーや福祉施設介護員の賃金は、医療福祉分野における他の職種の者と比較して低い傾向にある、といった特徴が見て取れる。

他の業種との賃金格差を縮め、介護の雇用安定と人材確保を促すため、介護職員の給料を月額平均1.5万円引き上げる『介護職員処遇改善交付金』が平成21年10月~平成24年3月の時限措置として施行された。その後の平成24年度介護報酬改定で、この交付金と同様の仕組みで介護職員処遇改善加算が創設された。今後、これを更に拡充していく必要があるだろう。

『介護職員処遇改善交付金』の予算額は、2.5年で3975億円。これは、全国平均で介護職員(常勤換算)1人当たり月1.5万円に相当する額として設定された。当時の厚労省の説明では、1.5万円とは、あくまでも交付率を決定するために用いた指標であり、事業の規模や職員体制によっては全ての事業者に介護職員1人当たり月額1.5万円の助成が行われるわけではないとのこと。

精確性を追求せずに、あくまでも目安程度の概算で見積もると、介護職員1人当たりの給料を月1.5万円引き上げる予算額は、年間で1590億円(=3975億円÷2.5年)となる。これを応用すれば、次のような試算となる。

・介護職員1人当たり月3万円引き上げるのに必要な予算額:年間3180億円
・介護職員1人当たり月6万円引き上げるのに必要な予算額:年間6360億円
・介護職員1人当たり月9万円引き上げるのに必要な予算額:年間9540億円

即ち例えば、介護職員の給料を全産業平均並みにまで引き上げるには、1兆円程度の予算が必要だということになる。介護サービス需要は今後ますます増加していくことが必至であるので、この試算値はいつまでも通用するものではない。介護人材難を憂うのであれば、介護保険財政の中でこれを賄うべく、介護保険財政支出に係る配分を工夫していく必要がある。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

最新の画像もっと見る

コメントを投稿