歐亞茶房(ユーラシアのチャイハナ) <ЕВРАЗИЙСКАЯ ЧАЙХАНА> 

「チャイハナ」=中央ユーラシアの町や村の情報交換の場でもある茶店。それらの地域を含む旧ソ連圏各地の掲示板を翻訳。

モンゴル版ネオナチに対するブリヤート人の反応(4) 

2010-09-10 01:05:29 | ロシア関係
→(3)からの続き

論評アラド@ウランバートルⅡ(♂)
フフ・モンゴル=“蒼きモンゴル”の意。主要な民族主義団体の一つ。団体は他にも色々あり。)のモットーは以下の通り。

1.モンゴルの独立

2.国境線の護持

3.モンゴル民族の遺伝子バンクの保全

4.モンゴル系諸民族の統一

5.モンゴル人が己が土地の主たること

6.自然環境の保護

7.経済的な独立

8.シャーマニズムの護持

9.伝統文化の護持

10.祖国を愛すること

別の運動体、ダヤル・モンゴル(全モンゴル)によるデモ


 鉤十字あるいはハスの印(=マンジ)は、伝統的なモンゴルのシンボルだ。これは、急進的な政治運動の象徴と同じものじゃない。

国庫の押し印


モンゴルの古い紙幣


シャーマンの儀式に見られるハス(=卍)


チンギスハンの家臣、スブデイの靴底に刻まれたハス(=卍)の文様。


思うに、我々は思い出すべきなのだ。チンギスハンとその帝国、そしてその子、孫、曾孫と、全アジアと欧州に剣と砲火によって戦火をもたらした無数の兵たち。それと同様に、無窮の蒼天とヤサ(慣習法)の崇拝を。また、モンゴル人たちは、まさにこの神(蒼天)からもたらされた法をもって、モンゴル人たちを統治していたということを。

“無窮なる蒼天の意思により我之を統治す”というフレーズの入った歴代ハンの肖像画を印刷すべきだ。

ヤサ(慣習法)や偉大なる蒼天への信仰、それに帝国の法典に背く者は、文字通り地表から洗い清められていた。 帝国の法典を受容しその法に従う者は、民族に(ほとんど)関係なく帝国の延臣となり、戦士の一人となり、その能力に応じて上昇が可能だった。信仰はまったく問題にされなかった....。

でも、その代り、その者は君主と帝国に従うのみでなく、ヤサ(慣習法)の担い手ともなった。そして、十字軍の戦士たちがモンゴルの王、ヨアンプレスター・ジョンのことか?)との友好を求めたのも無理はない。彼らは、宗教的狂信者として親近感をもっていたのだ。なぜなら、(独立を望もうが望むまいが関係なく)全ての民族を無窮なる蒼天の絶対的な権力の下に治めるため、自らの進路にある全てのものを燃やし、数千キロもの道のりを地の果てまで突き進むことができるのは、狂信者だけだからだ。全モンゴルのハーンが地上に遣わした...。

(以下、蒼天=神の意思を体現した大ハンとモンゴル軍が世界の征服を進め、南宋の滅亡まで延々と話が続くものの、長いので省略)


論評アラド@ウランバートル
>論評アラド@ウランバートルⅡ
あなたはその手の党の中の人なのか?

何だってそんな書き込みをするんだ?

ヤサ(慣習法)とかチンギス・ハンとか、それに類するいかなる理由をもってしても、民族的、もしくは他の属性において自らを他の集団より優位に位置づけることは不可能なんだよ。

それと、あなたの十字軍やどこか狂信的な人々への崇拝(あなたの書き込みから、私はそう感じた)は疑わしい。そうした構想の中では、危険な病気と同じで、狂信こそ避けるべき非常事態ってことになる。

あなたが書いてることは、全てゴミだ。くだらん。


論評アラド@ウランバートル
あと、UBSかどこかのTVのチャンネルにこいつらナチが出てきて、はっきりと、ブリヤート人は既にロシア化したから純血じゃない。中国領内モンゴルのモンゴル人と同じだ、みたいなことを言っていた。これは危険な兆候だ。

やつらに見とれるのは狼に見とれるのと同じだ。食われてしまうぞ。

※モンゴルのTV局の名前。

→(5)に続く

モンゴル版ネオナチに対するブリヤート人の反応(3) 

2010-09-09 23:47:38 | ロシア関係
→(2)からの続き

論評アラド@ウランバートル(♂)
>論評アラド@ニューヨーク、ブルックリン
>>ボリヤド(ブリヤート)・モンゴル人だって、漢人と戦いつつ、ロシアに
>>向かって北上したんだ。
>何でまたロシアに?むしろ、ロシアがこっちに攻めて来たんだろ。それと、
>あなたの話題の中心になっているのは、ナチではなく(モンゴル・)ナショ
>ナリストだと思うんだけど。
ボリヤド(ブリヤート)・モンゴルが北上したんだと思ってた。もちろん、あんたが正しい。ロシアの方が我々の故地にやってきたんだ。いい加減な情報でソーリー!

※原文ママ。キリル文字で“Сорри!”と書いてある。

で、本題に戻ると、こうしたファシストはまったく見かけないし、こいつらが誰かをボコボコにしたとか、少なくとも殺したって話は聞いたことが無い。まあ、中華系企業の事務所の窓ガラスを割ったとか、そういう噂は聞くんだけど...。でも半殺しにしたとか殺したとか、そういうのは無いんだ!それを思えば、モンゴルのネオナチって、ロシアのそれに比べると大分おとなしいと思うんだけど

※というか、有色人種を無差別に殺しまくっているロシアのネオナチに比べれば、誰だって大人しい部類に入るだろうw。


論評アラド28号(♂)

ロシア人と漢人はうちらの同胞を殺してるんだ。良いことじゃないか。


論評アラド29号(♂)

連中と話したのを思い出すよ。奴らは本当に無智だ。例えば、ロシアでは連中自身が、その容貌故に殺される危険があるってことを分かってない。奴らの言い分では、運動は基本的に漢人に対して向けられたものなんだそうだが。

P.S.鉤十字(マンジ=卍=仏教のシンボルのことを言っていると思われる)はうちらからすれば“赤い星”よりもなじみがあるんだぞ。

やつらの活動について言えば、二、三年前に漢人経営のレストランとホテルを破壊したことがあった。モンゴルの法によれば、全ての看板はモンゴル語での表記が義務付けられており、英語での併記も可となっている。それにも拘わらず、漢人たちはその法を無視したのか、あるいは当局に賄賂を払ったのか、漢字を使った巨大な看板を出したんだ。一つはっきりしてるのは、それがモンゴル人たちの感情を逆撫でしたってことだろう。やつらはそういう店に行って、漢字の看板を取り払うよう求めた。で、それが拒否されると、その看板を破壊してしまったというわけだ。

この一件の後、うちらの町から漢字は姿を消してしまった。実に嫌な気分になったもんだよ。

漢人がいなければ、こうした連中も現れないのにな。


論評アラド30号(♀)
この間の夏に撮った写真

※ウランバートル市内で撮られた写真か?何故か英語で“人間は殺すな!漢人を殺せ!”と書かれている。


論評アラド@モスクワ(♂)

ある程度大きな人間集団の中であれば、スキン野郎みたいな格好をしたり、頭を剃り上げたり、鉤十字やヒトラー、ヒムラーその他の肖像画を崇拝したりするような奴なんて、いつだって見つかるもんだ。俺は確信しているが、アフリカの、最も色の黒い黒人の間にすらヒトラーや鉤十字の崇拝者はいるんだろう。ヒトラー当人が連中を黒い猿とみなし、オーブンで燃やせと命じるなんて露ほども想像せずにな。同じことは何とイスラエル(!!!!)についても言える。あそこのユダヤ人の中にも、ヒトラーの崇拝者みたいなのはいるらしいから。

俺が思うに、そいつらがネオナチにはまる理由はこんな感じだろう:

1) 過渡期の若者にありがちな極端さ(“誰も俺を理解してくれない。みんなと同じ人生は嫌だ、だったら、スターか何かになって若い内に死んだ方が良い...云々“)。

2)ある種のフェティシズムやオカルト。第三帝国のお洒落な制服や鉤十字、それにお洒落なスキンヘッド文化。そういうもの全てにおいて、フロイト的な病理と同性愛の匂いがするな。要するに、この手の倒錯者たちはヒヒみたいに自分の服装ばかり気にしてるってこと。

3)あとは、はっきり言って、その人種観や民族観の完全な狭量さだな。でもまあ、そういう奴らはどこにだって存在するわけで、そんなのがどこかにいたからといって、別に驚くことでもないと思うんだ。


論評アラド32号(♂)
外見的な属性が魅力的だったって可能性はあるな。制服とか、鉤十字の魔力とか。ヒトラーはこのシンボルを東方から借用した。多分、このシンボルには魔性の魅力があるんだろう....。


スレ主
> 論評アラド@モスクワ(♂)
>32号
制服の形がどうとか、若者の極端さとか、なにをくだらないことを言ってるんです?

そうした時期にある若い奴らで、頭の悪い間抜け野郎じゃないのは、ぜひ労働者街の真のスキンヘッド=反ファシストになってほしいもんだな。

※ 日本ではあまり知られていないが、ロシアにはネオナチと仲の悪い“反ファシスト”の集団も沢山いて、両者の武装抗争はメディアでもしばしば話題になっている。

あの手の服装とかファッションの形式は、全てナチ野郎がスキンヘッドから盗んだものなんだ。スキンヘッドとナチ野朗(ボーンヘッド)は異なる概念なんだよ。スキンヘッド運動が生じた歴史について、何か読んでみてください。あとRASHとは何か、検索してみて。

※反ファシスト・スキンヘッドの一つ


論評アラド@モスクワ(♂)
>スレ主
おい若いの、何か話をややこしくしてるぞ。 スキンヘッド、ボーンヘッド、その他諸々の馬鹿な連中がどういうものかなんて、昔から誰もが知ってることだろう。何か言いたいことがあるのなら、もっとはっきりした表現を使ったらどうだ?


論評アラド35号(♀)
この手の“運動”についての知識をひけらかすのが好きで、そういうのを分類したり、線引きしたり(スキンヘッドかボーンヘッドか?、RASHかRASHでないか?とか)してる人がいるみたいだけど、 本当のところ、こいつらってみんな馬鹿だと思う。


スレ主
>論評アラド@モスクワ(♂)
何が分からないって言うんです? もしあんたがファシストであれば、人種的偏見の持ち主だ。もしスキンなら、そうした人種的偏見に反対するだろう。

いずれにせよ、彼らの間には指導する者も指導される者もあるんだろうけど、唯一違いがあるとしたら、それはスキンは自分の頭で考えて生まれるもので、ファッショ野朗の方は他人の頭を借りて生まれてくるということでしょう。

写真を見ても分かるように、モンゴルにナチはいる。じゃあ、反ファシストは?


論評アラド37号(♂)
>32号
>ヒトラーはこのシンボルを東方から借用した。多分、このシンボルには魔
>性の魅力があるんだろう....。

鉤十字の向きを180度変えてみるだけでいい。うちらが向き合ってるのは太陽だ。鉤十字というのは、アーリア文化における太陽の象徴なんだよ。太陽の動きを具象化したものだってわけ。


スレ主
>35号(♀)
あなたは正しい!ぶっちゃけ、あいつらみんな本当に馬鹿だよな。


論評アラド@モスクワ(♂)
>スレ主
もしお前がそこまでスキンとボーンヘッドの区別に詳しいのであれば、恐らく、ファシストとナチをごっちゃにする必要は無いだろう。まずこれが一つ。

二つ目は、DQNどもがナチに入ってその手のことをやらかしている動機が、単に“過激なファッション”が好きだからというのは、別に秘密でもなんでもないってことだ。イデオロギーでもないし、他人のものにせよ自分のものにせよ、頭もまた関係ない。連中は単純に、鉤十字が好きだとか、そのファッションが好きだとか、そんな感じなんだよ。

で、このスレの最初にアップされてる写真に写ってる奴らの大半は、ちょうどその手の人間に思えるな。彼らがいかに自己愛に満ちた写真を撮っているか、あと、いかに思い入れたっぷりにポーズを決めてるか、そういうのをちょっと見るだけでも十分だろう。全て悪趣味で、馬鹿馬鹿しい。


論評アラド@モスクワ(♂)
それで、その手のコスプレのためには、お洒落な軍用品を売ってるような店や“非合法”のキオスクを回らないといけないだろう。自作だって、できるだろうな。店で売っている何百ものボタンをうっとりしながら眺め、選びつつ、“ここにケルト風の十字架を、ここに鉤十字を、ここにゴチック文字で何かいれようか”とか言ってるんだろうよ。全てがくだらん!

こういう温いナチズムって何なんだよ?ただのオナニーじゃねえか。

※通販は無いのか?w


スレ主
>
論評アラド@モスクワ(♂)
>もしお前がそこまでスキンとボーンヘッドの区別に詳しいのであれば、
>多分、ファシストとナチをごっちゃにする必要は無いだろう。
我々は偉大なる民族!で、他は恥ずべき民族とか言う人たちって点では、違いは少ないと思うんだけど....。で、このDQNどもは、あんたがいう所の“激しい馬鹿”だ....殺しに殺している。それも全然子供っぽくない方法で。

俺は、もうモンゴルびいきじゃなくなった。

もしあんたらんところでそういうことをやらかす連中がいたら、やらせといた方がいいだろう。そしたら奴らも成長して、運がよければ卒業するだろうさ。


論評アラド@モスクワ(♂)
何だ、あんたん所には何らかのデータでもあるというのか?モンゴルのナチが子供じみた殺し方をしてないっていう???彼らがモンゴルを静かにファッショ化しているという情報は、既にあったような気がするけどな。

もしお前がナチに詳しいのであれば、ナチによる連続殺人事件において最もうまい汁を吸っている連中のことを知っておくべきだ。やつらはお前のアップした写真の写ってるような連中と違って、その種のフェティシズムには全然感染してない。

奴らにとっては、もはや遊びじゃないんだ。


論評アラド43号(♂)
俺も漢人は理解できない。何だか別の惑星の人間みたいだ。
彼らの価値観や関心といったものは、完全に別物なんだよ。そして、彼らの性格には表裏がある。俺が接した漢人はそんなに多くないかもしれないけど、付き合いのあった人間についての感想はそんな感じ。


スレ主

>論評アラド@モスクワ(♂)
>何だ、あんたん所には何らかのデータでもあるというのか?モンゴルのナ
>チが子供じみた殺し方をしてないっていう???

この掲示板の書き込みをよく読みましたか?俺が言ってるのはまったくの一般論です。読み直してください。

>俺は、もうモンゴルびいきじゃなくなった。
まさか、こういう馬鹿げた火花が燃え上がって炎となる、なんてことは言わないですよね。


論評アラド@45号=35号(♀)
>43号
>俺も漢人は理解できない。何だか別の惑星の人間みたいだ。(以下略)

人にも色々いるわけで、そんなのは人を殺す理由にならないと思う。


論評アラド@モスクワ(♂)
>スレ主
もちろん、それはないだろう。迷彩服をひっかけたDQNどもが原因でそんなものが生じるはずはない。“炎”が生じたとしても、その理由となるのはまったく別なことだろうな。


スレ主
例のパンフレットについて言えば、彼らは十分にはっきりした目的をもって活動している。目的があるってことは、それを達成する過程で犠牲も生じうるってことになるけど。

ところで、パンフレットの翻訳には誰一人として応じてくれない....残念だ。


論評アラド@48号(♂)
>スレ主
>(前略)ところで、パンフレットの翻訳には誰一人として応じてくれない
>....残念だ。

誰も訳さないだろう。それは明らかだwww

こういうのはうちらの内輪の問題であって、よそ者が首を突っ込むことじゃないんだよ。

※モンゴル国籍のブリヤート人か?

鉤十字について言うと、あれはフリッツがうちらから盗んだものだ。ハス・タムガ(=鉤十字=マンジ)は、20世紀初めのブリヤート国家の国章にも使われていたし、後には極東共和国の国章にも使われていた。

※フリッツ=ロシア語圏でのドイツ人の俗称。なお、“極東共和国”はロシア革命後の一時期東シベリア~極東に存在した緩衝国家で、その首都は当初ウラン=ウデ(ブリヤーチヤの現首都)に置かれていた。


論評アラド@フランス(♀)
モンゴルのファシストは未だ誰も殺してない。中国人や韓国人の商店を壊したりはしたけどね。実際には、彼らは本物の選挙で実権を握るという、もっと大胆な目標を持ってると思う。歴史を振り返れば、ヒトラーだって合法的な選挙で権力を握ったんだから。彼らも同じことがしたいんでしょ。

まあ、誰かを殺しては牢屋に入れられてるような、モスクワの頭の悪いスキンとは違うってことで。


論評アラド@50号=43号(♂)
>45号=35号(♀)
>>28号
>>俺も漢人は理解できない。何だか別の惑星の人間みたいだ。(以下略)
>人にも色々いるわけで、そんなのは人を殺す理由にならないと思う。
その通りだ。もちろん、殺す理由になんてならない。


論評アラド@ウランバートル(♂)
>論評アラド@フランス(♀)
>モンゴルのファシストは未だ誰も殺してない。中国人や韓国人の商店を壊し
>たりはしたけどね。(中略)まあ、誰かを殺しては牢屋に入れられてるよう>な、モスクワの頭の悪いスキンとは違うってことで。

モンゴルのネオナチへの、素朴な誇り乙!www


論評アラド@52号(♂)
>48号
>鉤十字について言うと、あれはフリッツ※がうちらから盗んだものだ。
>ハス・タムガ(=マンジ=鉤十字)は、20世紀初めのブリヤート国家の
>国章にも使われていたし、後には極東共和国の国章にも使われていた。

その鉤十字ってどこにあるんだよ?見当たらないけど。臨時政府の紙幣にはたしかに載ってるな。

※画像もアップしてるようだが、表示失敗。


俺が思うに、鉤十字(=マンジ)は名誉回復されるべきだと思う。うちらの民族的シンボルという話だけではなく、そうすることでスキン共の足元を掘り崩すこともできるだろうから。

その場合、奴らは壁に何を書きたくるんだろう?鎌とハンマーか? 


論評アラド@53号(♂)
>52号
鉤十字が旗に描いてるの、見たことあるけどw。 “シェネ・アジャル”って新聞だったと思う...記憶違いでなければ、1917年の発行。


論評アラド@54号(♀)
 (モンゴル語の?)授業で聞いた限りでは、(写真がアップされていた2枚のパンフレットの内の後者)“モンゴル・オンデストニー・ネグデル”は、“モンゴル民族統合”って訳されてた。チンギスハンを背景に映ってたファシストの女の子は、すごくお洒落w。


論評アラド@フランス(♀)
>論評アラド@ウランバートル(♂)
>モンゴルのネオナチへの、素朴な誇り乙!www

俗っぽい暢気さ、乙!

もし連中が権力を握ったら、笑い事じゃすまないと思うけど。

→(4)に続く

モンゴル版ネオナチに対するブリヤート人の反応(2)

2010-09-05 02:39:15 | ロシア関係

 →(1)からの続き

でも、モンゴル人の側の最大の不安要因は、やはり清朝時代から続いてきた、中国本土での人口膨張とそれに伴うモンゴル高原への漢人農民の北上という、歴史的な趨勢ではないでしょうか。

北アジアに限らず、遊牧生活は馬や羊等の放牧に広大な牧地を必要とするため、遊牧地帯の人口密度は元より低いわけです。そうした土地に外部から定住農民が入植した場合、遊牧民の側は生活に必要な牧地を失うだけでなく、数の上でも少数派になってしまいます。そして、牧地が足りない以上、彼らも定住を余儀なくされがちですが、その際に参考とされるのは多数派である定住農民の生活様式です。かくして、文化的な同化も進むことになる。

現在中国の領土である南(内)モンゴルで、ここ二百年もの間、何度と無く繰り返されてきたことです。 件の記事にあった、
 
>「内モンゴル地域は完全に漢化された。モンゴル民族の特徴は失われた」
>との政治宣伝が盛んに行われた。


という一節も、“完全に漢化”にというのは確かに言いすぎでしょうが、この箇所を“ほぼ漢化”に変えれば、ほとんど事実ではないですかね。

ちなみに、モンゴル国の北側、現在ロシア連邦の一部であるブリヤーチヤ共和国で起こったことも、南(内)モンゴルのそれと大して変わりません。

↓ブリヤーチヤ共和国の位置

出展:wiki

この地域は17~18世紀に帝政ロシアに組み込まれましたが、そこで遊牧生活を送っていたボリヤド(露語:ブリヤート)・モンゴル人たちは、大量のロシア人が入植したことで人口の上では少数派となり、また文化的なロシア化も進みました。都市部に住むブリヤート人の中には、ロシア語が母語という人も結構多いような気がします。

南(内)モンゴルとの違いは移民の人口圧でしょう。ロシア自体の人口が少ないので、いかに“大量の移民”といっても、中国の場合に比べれば、その数はたかが知れているわけで。

で、いよいよ本題に入ると、例のガーディアン紙の記事が評判になるちょうど一年位前に、ブリヤート人のポータルサイトwww.buryatia.orgの掲示板でも、この“モンゴルのネオナチ”のことが話題になっていました。

最初の方でも触れたように、ブリヤート人というのは、ロシアではネオナチによるヘイト・クライムの被害に遭いやすい存在であるだけに、“同族”の国であるモンゴルにネオナチまがいの集団がいることに対しては、驚きや当惑が示されています。まあ、当然でしょうね。

その一方で、ブリヤーチヤも南(内)モンゴル同様、長年のロシア支配の下、その伝統文化が消え去りつつあるのに加え、ソ連時代には、共産党中央によって、

・ 当初は“ブリヤート・モンゴル”であった民族名から意図的に“モンゴル”の名がはずされた。

・ 標準ブリヤート語は、モンゴルのモンゴル語から最も遠い方言を基盤に整備された。

・ モンゴルとの文化的な一体性を訴える者はことごとく“汎モンゴル主義者”の烙印を押され、粛清された。

等々、ブリヤート人をモンゴル人から切り離すためにありとあらゆる政策が採られた過去があるためか、モンゴル版ネオナチの唱える“モンゴル民族主義的”な主張の一部が支持されたり、また漢化の危険に晒されているモンゴル国に同情的な空気も濃厚だったりして、何とも微妙な雰囲気ですね。

スレの参加者に、米国、フランス、モンゴル等国外在住のブリヤート人が目立つのも、実に印象的です。

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「モンゴルのナチ」
原題:Монгольские нацисты
http://www.buryatia.org/modules.php?name=Forums&file=viewtopic&t=18878&sid=66f0672b953461f4ff0c6d400e7ba56a

いきなりこの掲示板にお邪魔して本当に申し訳ないんだけど、是非ともこれの翻訳(ロシア語訳?)を手伝っていただけないでしょうか。




これって何?

ナチ?

ファシスト?

それともまた別の何か?

翻訳してくださる方、前もって御礼を申し上げておきます。


論評アラド@ウランバートル(♂)
ナチだな。

※ブリヤート語で“人民”の意。


論評アラド@モスクワ(♀)
 ええ、ナチ。私、モンゴルにナチがいるなんて知らなかった。


論評アラド3号(♂)
 いやあ...これ見た時は驚いたよ、俺も。


論評アラド@ウランバートル(♂)
 ちょうど今、オラーンバータル(ウランバートル=モンゴルの首都)にいるんだけど、こいつらは一度も見たことないな。鉤十字とかMUN(モンゴル民族連盟)の落書きはよく見かけるんだけどさ。聞いた話だと、連中の活動はひたすら漢人に向けられたもので、他の民族には寛容らしい。もちろん、だからといって、奴らの行動は少しも擁護できるものじゃないけども。

ところで、このスレはどこか他の一般的な板に移した方がいい、というか移すべきだ。“ボリヤド(ブリヤート)語を話そう”版でやるような話題じゃないだろ.....くだらん。


論評アラド5号(♂)
まあ、この手の若い奴らは漢人が嫌いってことだよな。基本的に。


スレ主(♂)
>論評アラド@ウランバートル
>聞いた話だと、連中の活動はひたすら漢人に向けられたもので、他の民
>族には寛容らしい。もちろん、だからといって奴らの行動は少しも擁護
>できるものじゃないけど。

つまり、モンゴルでは漢人との間に激しい対立状況が存在してるってこと?

>ところで、このスレはどこか他の一般的な板に移した方がいい、というか
>移すべきだ。“ボリヤド(ブリヤート)語で語ろう”版でやるような話題じゃ
>ないだろ.....くだらん。

どこでスレ立てすればいいか、分かんなかったんですよ。諸々ある板の一つに投稿したら、ここにまわされた訳で。


論評アラド@ウランバートル(♂)
モンゴル人と漢人の敵対関係は、まさに歴史的に形成されたものなんだ。漢人を無数に虐殺したハブル・ハーンのことを思い出してくれ。オイラド(カルムイク)人は漢人から逃れてヴォルガ河の沿岸まで移動したし、ボリヤド(ブリヤート)・モンゴル人だって、漢人と戦いつつ、ロシアに向かって北上してる。

※ チンギス・カンの曽祖父。それと、この人は何か勘違いしているが、オイラド(カルムイク)人がヴォルガ河の下流域に移住したのはオイラド内の部族間抗争が理由であって、漢民族はあまり関係無い。むしろ、移住したオイラド(カルムイク)人の一部なんて、帝政ロシアの支配を嫌って清朝支配下の新疆に“帰還”したりしているし。

また、今のブリヤート人の祖先は、元々バイカル湖の周辺、今のブリヤーチヤ共和国の領域に住んでいた。これについては、後の方でツッコミが入るので、その辺りを参照。


で、モンゴル人は今に至るまで漢人を嫌ってるんだな。これは多分、遺伝子に組み込まれた憎悪なんだろう。一見非常に知的で、穏健に見えるモンゴル人でも、こと漢人のことになると、すぐに激しい反発と憎悪をみせるもんだ。そんな感じだよ。

こういうのは、自然な反応かもしれない。ちょうどキタイ(契丹)人や満洲人と同じように、漢人に呑み込まれるのではないか?という脅威に対してのな。


スレ主(♂)
 一つ分からないのは、奴らが何でファシストのシンボルを使ってるかってことなんだけど?女の子の格好はSSみたいだし、野郎どもの格好はネオ・ファシストと言われる連中のそれっぽい。


論評アラド9号(♂)
中国で、俺も漢人のスキンヘッド見たことがある。すごい変な感じの.....ナチだったかも。格好もこんなだった....迷彩服とか、鉤十字とか....。


スレ主(♂)
まあ、ナチのスキン野郎はどこにでも転がってんだよ。クソみたいにな(失礼)。

で、みなさん、どなたかこのパンフレットを訳してもらえませんでしょうか。お願いします....。個人的にでもいいので。


論評アラド@モスクワ(♀)
 こういうナチが反漢民族というのもおかしなものだけど。それとも、彼らは非人道的な犯罪行為に反発しているのかな。

※ロシア各地で起きている、ネオナチによるモンゴル系民族に対する襲撃のことか?


スレ主(♂)
>11号
そっちじゃ、非人道的な犯罪行為が話題になってるの?


論評アラド@ニューヨーク、ブルックリン(♂)
>論評アラド@ウランバートル(♂)
>ボリヤド(ブリヤート)・モンゴル人だって、漢人と戦いつつ、ロシアに向
>かって北上したんだ。

何でまたロシアに?

むしろ、ロシアがうちらの故地に攻めて来たんだろ。

それと、あなたの話題の中心になっているのは、ナチではなく(モンゴル・)ナショナリストのことだと思うんだけど。


論評アラド@ニューヨーク、ブルックリン(♂)
>スレ主
画像をアップし直してもらえませんか。写真の上の方が見えないもので。


論評アラド15号(♂)
 “論評アラド@ニューヨーク、ブルックリン”は、きっと着飾ってナチ式敬礼がしたくてたまらないんだろうな。


論評アラド@フランス(♀)

フランスのある雑誌でモンゴルのナチについての記事を読んだんだけど、彼らはレストランを持っていて、その中にはヒトラーやヒムラーみたいなナチ指導者の肖像画がそこら中にかかってるんだって。でもって、ファシストの制服を着て漢人を捕まえたりしてる。韓国人も憎悪してる。ウランバートルには観光客にせよ、また仕事で来ているにせよ、外国人は沢山いるんだけど、彼らの中にはファシストに脅されたとか、侮辱されたと不平を言ってる人もいるみたい。

ファシストたちは、モンゴル人の女の子が外国人と付き合ってると疑ったら、その子を拉致して丸坊主にして、顔に刺青を入れることもあるとか。モンゴルは観光や投資にとって魅惑的な国から、野蛮なファシストの国になる可能性があるって書いてあった。あと、彼らの指導者はフラル(モンゴル国会)に進出して、実権を握ることを夢見てるんだって。

隣国にそういう人たちが住んでるなんて、怖すぎる....。


論評アラド17号(♀)
>論評アラド@フランス(♀)
>韓国人を憎悪してる。

でも彼らはその韓国人が好きなんでしょ。馬鹿馬鹿しいw

※ ファッションや音楽など、韓国発の文化(より正確には、それに日本や中国の沿岸部、台湾なども併せた東アジア発の現代文化)はモンゴルでは結構お洒落なものとして受けいれられている。


論評アラド18号(♂)
>論評アラド@フランス(♀)
漢人と他の外国人を一緒にするのはやめようじゃないか。欧州のお婆ちゃんにとって、漢人はかわいい羊ちゃんみたいなものなんだろう。でも、モンゴル人にとっての漢人は、不倶戴天の敵だ。幾世紀にも渡る対立の痕跡が残ってる。それはもはや無意識のレベルに達してるんだ。

俺たちが彼らと一緒に暮らさないのは、互いのメンタリティがあまりにも異なるからだ。彼らの“文化”は、完全に別ものなんだよ。


スレ主(♂)
>論評アラド@ニューヨーク、ブルックリン
何か、画像は普通に表示されるみたいだけど。

>論評アラド@フランス(♀)
>彼らはレストランを持っていて、その中にはヒトラーやヒムラーみたいな
>ナチ指導者の肖像画がそこら中にかかってるんだって。

アジア人の国でファシスト野郎が出てくるなんて、考えてもみなかった。笑えるじゃないですか、みなさん。

笑えるし、馬鹿げてる。


論評アラド20号(♂)
 単なる馬鹿だろ。こいつらって。


論評アラド21号(♂)
>スレ主
>アジア人の国でファシスト野郎が出てきうるなんて、考えてもみなかっ
>た。笑えるじゃないですか、みなさん。笑えるし、馬鹿げてる。

いやいや....一番笑えるのは、ロシアにファシストがいるってことだろう。


論評アラド22号=20号(♂)
>21号
まったく、その通りだ。大笑いだな。ロシア人は戦いに戦った。その結果として、ファシストがモスクワを行進しているという....。


スレ主(♂)
>21号
>いやいや....一番笑えるのは、ロシアにファシストがいるってことだろう。

そうだな...爺さんを殺したやつらの肖像画が、その孫の部屋の壁を飾ってることになるんだから。


論評アラド@ニューヨーク、ブルックリン(♂)
>15号
>“論評アラド@ニューヨーク、ブルックリン”は、きっと着飾ってナチ式
>敬礼がしたくてたまらないんだろうさ。

どういう意味ですかね?俺にとって、人種的な憎悪なんて、階級的な憎悪と同じくらい不快なんですけど....。

でも、この情報は興味深いですね。ブリヤート人についてはどうなんですか?彼らは、自らのことを人種的に純粋だとみなしてるんですか?


論評アラド25号(♂)

とんでもない悪党どもだな!俺の大叔父は大祖国戦争(=独ソ戦)で戦死しているし、この人でなしどもとの激戦で戦死した親戚は他にも沢山いる。ハルハの連中がこいつらを八つ裂きにしないとは、驚きだ....。

※ 現在のモンゴル国の主流をなす部族。同国の公用語である現代モンゴル語は、このハルハ部族の方言を基礎にしている。なお、モンゴル国内にもブリヤート人は住んでいるが、その数は少ない。

アジアで、少なくともモンゴルでこんな奴らが現れるなんて、想像もつかなかったよ。

P.S.ファッショ野郎にしてみたら、アジア人(=黄色人種)は黒人よりかは多少マシらしいぜ。奴らは黒人を動物とみなしているようだ。


論評アラド26号(♂)
>論評アラド@ニューヨーク、ブルックリン
>でも、この情報は興味深いですね。ブリヤート人についてはどうなんです
>か?彼らは、自らのことを人種的に純粋だとみなしているんですか?

自分で行って、確かめてみろよw。


→(3)に続く


モンゴル版ネオナチに対するブリヤート人の反応(1)

2010-09-03 15:30:50 | ロシア関係

前にバルナウール韓国人留学生惨殺事件についてのエントリーでも触れたように、最近のロシアでは、モスクワから遠く離れたシベリアの地方都市にすらネオナチ組織が存在し、非白人的な容貌の持ち主はロシア国民であろうが外国人であろうが関係なく、しばしば襲撃の犠牲となっています。

その中でも、モンゴル人や、ロシア国内の少数民族であるブリヤート人やカルムイク人といったモンゴル系の民族は、文字通りの“モンゴロイド”風の見てくれで目立ちやすいためか、漢人や中央アジアの諸民族と並んで標的になりやすいようで...。

例えば、2008年の冬頃、モスクワの日本大使館が在留邦人向けに発した安全情報の中でも、サンクト・ペテルブルクの地下鉄内で発生した、ブリヤート人に対する暴行事件が挙げられています。

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在サンクトペテルブルク総領事館管轄地域
www.ru.emb-japan.go.jp/APP/anz_sankt.xls ...

地下鉄ツルゲーネフスカヤ駅付近を走行中の車内で11日、ブリヤート人乗客が5人のスキンヘッド集団に暴行を受けた。

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もちろん、日本人も例外ではありません。あまり被害の話を聞かないのは、そうした人々に比べて、単純に在露邦人の数そのものが少ないからでしょう。

実に理不尽な話です。理不尽な話なのですが、驚いたことに、最近では何とそのモンゴルにも“モンゴル人のネオナチ”がいるらしい。 モンゴル人のネオナチ...何か、ナチ的な人種理論からしたら“ロシア人のネオナチ”以上に違和感のある響きですが、ロシアのそれとは違って、彼らが主に目の敵にしているのは他の人種ではなく、同じ黄色人種の漢民族だったりするようで。

その辺りの背景については、英国“ガーディアン”紙2010年8月2日付けのこの記事↓に詳しいのですが、

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“Mongolian neo-Nazis: Anti-Chinese sentiment fuels rise of ultra-nationalism(モンゴルのネオナチ:反中感情が促す超民族主義の興隆)”
http://www.guardian.co.uk/world/2010/aug/02/mongolia-far-right
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 これをそのまま和訳+要約したような記事が“サーチナ”の方にもありました。こちらを読んだ方が早いかも。

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モンゴルで排他的・民族主義が隆盛…主な攻撃対象は中国人
2010/08/04(水)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0804&f=national_0804_073.shtml   

モンゴルでは近年来、ネオ・ナチズムを標榜する排他的な民族主義団体が多く設立され、その主張に共感する国民も増えている。外国人敵視の特徴があるが、主要な攻撃目標は中国人という。中国新聞社が報じた。   

これまでにも、極右団体のダヤル・モンゴル(汎モンゴル)のメンバーが、「中国人と性的交渉を持った」との理由でモンゴル人女性を「丸刈り」にしたり、「フフ・モンゴル(青きモンゴル)」の幹部が、「中国留学の経験がある」との理由だけで、モンゴル人男性を殺害したとして有罪判決を受けた事例がある。   

「ツァガーン・ハス(白いかぎ十字)」の指導者は「ヒトラーを尊敬している。民族の認識を教えてくれたから」と述べた。同団体は、「かぎ十字」はアジアで古くから用いられたマークで、ナチス式の挙手の礼もアジア由来のものと主張し、ナチスの特徴とアジア人としての自己認識が矛盾しないよう「理論武装」しているという。   

「ツァガーン・ハス」の23歳のメンバーによると「われわれは、民族の純潔を守らねばならない。中国人との混血が始まれば、われわれは飲み込まれてしまう」、「金持ちの外国人が、モンゴル人女性に食指を動かしている」などと主張。幹部メンバーの1人は「われわれは『公務執行団体』だ。ホテルやレストランを臨検し、モンゴル人女性が外国人相手の売春を行っていないか調べる」などと述べた。   

モンゴル国民の間では、ナチズムを標榜する団体への共感が高まっているという。一方で、若者が留学などで国外に出る機会が増えれば、極端な民族主義は徐々に勢力を失うとの見方もある。
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とりあえず、ネット上に散らばっている彼らの写真を見てまず最初に感じたのは、







北~東アジアの人間がドイツ式制服(あるいはネオナチ風ファッション)で身を固めても、

1. 単なるコスプレにしか見えない

2.さらに、スキンヘッド+サングラスだと誰もが“サンプラザ中野”になりがち

という,厳しい現実でした。



サングラスを取った、“サンプラザ中野”氏。意外と良い人っぽい。

ネオナチだけど….。

でもまあ、この人らはたまたま政治的レトリックとファッションの趣味が最悪だったり、行動があまりにアレだったが故に、こうやって世界のメディアでも話題になっているわけですが、その主張自体は、グローバル化による人口の流動化に伴って、世界各地で盛んになっている民族主義運動のそれと大して変わらないかもしれません。

特に、

中国経済の成長を背景に続々とその数を増し、着実に稼ぐ中国商人
                                      vs.
 金を持ってる中国人に対する嫉妬+移民の増加により自らの生活世界に変化が生じることへの不安から、民族主義に走る現地人

という構図は、中国周辺の小国では共通して見られるように思えます。

我らがクルグズスタンもモンゴル同様、海外貿易に占める中国の割合はダントツに高く、商売や留学等のためこの地で暮らす中国人の人口は急速に増えているのですが、記事の中で“「ツァガーン・ハス」の23歳のメンバー”が言っているような不安は、クルグズ人の間でも既に大分前から議論の種となっています。

4月の革命の際、首都ビシュケクで暴動が起こると、暴徒により真っ先に焼き討ちに遭ったのが中華系のスーパーだったという事実は、まさに現地人の複雑な感情の表れではないでしょうか。

という風なことを書くと、ほら、やっぱり中国人が問題なんだ。現地人への倣岸な態度と阿漕な商法が災いしたに違いない。みたいなことを言う人が出てきそうなのですが、彼らに“郷に入っても郷に従わない”傾向があるのは事実とはいえ、クルグズスタン在住の中国人留学生、商人たちは都市部にチャイナ・タウンなど作るでもなく、極めて地味に暮らしていました。中華系スーパーが炎上した後に、トルコ系のスーパーなども次々と襲われたことを思えば、中国人であれトルコ人であれ、やはり“よそ者”の経済的な存在感それ自体が狙われる原因ではなかったかと思うのです。

これについては、南部のウズベク人問題と絡めて、後ほどまた詳しくまとめる予定です。

それにしても、このサーチナの記事のまとめ方は、

>一方で、若者が留学などで国外に出る機会が増えれば、極端な民族主義は徐
>々に勢力を失うとの見方もある。


みたいな感じで歴史的な文脈を無視し、問題をモンゴル人の側の狭量さに押し付けようとしているきらいがありますね。

それについては、一応こういう↓フォローはつけてありますが,

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◆解説◆   

中国、モンゴルの両政府は、安全保障や経済発展を念頭に、親密さを高めている。一方で、モンゴルの一般大衆の間では、中国・中国人に対する不信感や警戒感が根強い。中国があまりにも大きな存在で、経済・社会面でモンゴル国に極めて大きな影響を及ぼすことになったことが理由のひとつ。

また清朝末期から中華民国期にかけて、中国(漢人)側の搾取(さくしゅ)や略奪の行為が多かったことが、現在まで影響している。 たとえば辛亥革命から中華民国期にかけて、「革命軍」と自称する中国の軍隊が、モンゴル人に対して略奪を行うことが極めて多かった。そのため、モンゴル語では「ガミン」が盗賊を指す言葉として定着した。中国語の「革命(グーミン)」が語源だ。外モンゴル(モンゴル語では北モンゴル、現在のモンゴル国)が中国の支配を離脱してソ連の傘下に入ったのは「中国の横暴に耐えかねた」との側面が強かったとされる。   

中ソ対立期に、モンゴル国(当時はモンゴル人民共和国)では、「内モンゴル地域は完全に漢化された。モンゴル民族の特徴は失われた」との政治宣伝が盛んに行われた。自国民と内モンゴル内のモンゴル民族の連帯感を断ち切るためだったが、現在のモンゴル国民が不用意に過去の宣伝にもとづく発言をして、内モンゴルの「同胞」との間で感情のもつれが発生することがある。
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要するに、サーチナの言い分だと、モンゴルの反中感情は、中華民国時代初期における軍閥による略奪や中ソ冷戦期にモンゴル(←ソ連側に属していた)国内で行われた反中プロパガンダが原因ということになるらしい。

→(2)に続く

 

 


「対日戦勝記念日」制定に対するロシア人の反応(8)

2010-08-15 23:51:13 | ロシア関係
→(7)からの続き

ところで、上述の訳したスレで出てきた“張鼓峰事件”については、

この↓サイトが詳しいですが、

満ソ国境紛争1/乾岔子島事件、張鼓峰事件等 概説2
http://yokohama.cool.ne.jp/esearch/kindai/kindai-kokkyo12.html


要するに、当時の満洲国とソ連の国境付近に帰属のはっきりしない丘があり、そこが戦略的に重要な場所であったためにソ連が陣地を作ろうとして、日本軍と取り合いになったという話です。

数的にも優勢で、戦車と航空兵力を有するソ連軍に対し、貧弱な装備の日本軍が保持した丘を守りきった状態で停戦となりました。ソ連崩壊後に公開された公文書によれば、ソ連側の死傷者の数は日本のそれを上回っていたらしい

張鼓峰事件なんて、こちらでは歴史の教科書にちょこっと出てくるだけで、今の日本人はほとんどの人は知らないのではないかと思われますが、あちらでは、ノモンハン事件と並んで“軍国主義的な日本によるソ連侵略を阻止した歴史的勝利”として喧伝されたようですね。ノモンハンの方はともかく、こちらは勝ってないんだけど.....。

なお、この張鼓峰事件も題材となっていた“チャストゥーシカ”というのは、日常生活や時事に纏わる滑稽話を短い4行詩にまとめあげ、それに早いテンポの曲を付けて唄う俗謡の形で、19世紀半ばから存在するらしい。

日本で言えば“都都逸”みたいなもの....いや、今だと“ラップ”か?w

件の“極東チャストゥーシカ”も、歌詞だけ見ると何か軍歌みたいなのを想像するかもしれませんが、

原曲はこんなに↓明るい曲です。
http://www.sovmusic.ru/english/download.php?fname=dalnevos


問題のシゲミツの名が出てくる箇所は、五曲目の第三連ですね。第四連の最後に来る語“вы(ヴィー=あなた)”と脚韻を踏ませるためか、“Сигемицы(スィゲミーツィ)”と発音されているので、ちょっと聞き取りにくいですが....。

騙そうったって無駄だよ、シゲミツさん
(ニ・ヒトリーチェ・スィゲミーツィ)

あんたじゃ無理だ!
(メルカ・プラーヴァイチェ・ヴィー)


が、全部で3回繰り返されます。

↓他のチャストゥーシカの例


↓少女の唄うチャストゥーシカ



↓プーチン+メドヴェーヂェフの物真似でチャストゥーシカ



ちなみに、この“極東チャストゥーシカ”はその内容から分かる通りに自然発生したものではなく、官製です。作曲はA.アレクサーンドロフ旧ソ連=元ロシア国歌の作曲者といえば分かるでしょうか?

共産党はそれほどの大物を動員し、気合を入れてこのプロパガンダ俗謡を作ったということですよ。スターリンがいかに日独相手の二正面作戦を恐れていたかの証左ではないでしょうか。

あんまり関係ないですが、この民謡・俗謡にプロパガンダ的な内容を織り込むという手法は今日の中国共産党にも受け継がれているようで......

この間ウルムチで買った、新疆カザフ人の民謡の歌詞を集めた本を読んでいたら、自分らの夏営地の美しさを謳いあげたものがあり、

おらが牧場は緑豊か、空気はきれい

湖と空はどこまでも蒼く、光り輝き


偉大なる領袖、毛沢東

と,最後に唐突に毛沢東礼賛が出てきてw、何だこれは?と思った記憶があります。

やはり、中共はソ連共産党の劣化コピーかもしれない….。

→(9)に続く