さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

「風天小畜」(卦辞)

2024-09-22 | さわやか易の目次
「小畜は亨る。密雲、雨ふらず。我が西郊(せいこう)よりす。」
序卦伝に、「比は比(したし)むなり。比めば必ず畜うる所有り、故に之を受くるに小畜を以てす。」とあった。小畜は、蓄えるという意味と、小が大を留めるという意味がある。この卦辞では、小が大を留めるという意味を使っている。
 
この卦辞は、易を作った文王の時代を表しているので、その時代がどのような時代であったかを知らないと理解出来ない。ざっと、説明すると、殷の末期の時代である。暴君の紂王が暴虐無道の限りを尽くしており、誰もそれを止めることが出来なかった。西の郊外にいる文王は諸侯の一人に過ぎなかったが、他の諸侯たちは人望のある文王を頼り、期待していた。その期待は密雲のように沸き起こっているけれど、なかなか雨がふらない。非道な時代を終わらせてくれる恵みの雨を待ち望んでいるが、なかなか降ってこないことを例えて言っている。
権力では劣る者が、権力者を諫めようとする姿が、この「風天小畜」の姿である。
 
卦の形は、下(内)に剛強を表す乾(天)があり、上(外)に巽順の巽(風)がある。人間で言えば、内剛外柔の理想的人物である。この内剛外柔の人物にして、始めて権力者をお諫めすることが出来るのである。力では及ばないが、物腰の柔軟性と知力で大なる者を導くのである。
 
私は「風天小畜」を思う時に、相撲部屋の女将さんを連想する。体力自慢の大男たちの集まる相撲部屋で、弟子たちの面倒をよく見ているのが女将さんである。大男たちが、困ったことがあれば、女将さんに相談する。喧嘩騒ぎがあっても、そこに女将さんが現れると、自然に収まり冷静さを取り戻す。そんな光景を想像するのである。勿論、女将さんが「風天小畜」の主爻である六四になる。

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