植生Salon

植生Salonでは、植物や緑、自然の面白さを探究するとともに、それを多くの方々と分かち合ってゆきます。

ぶんぶん通信

2009-11-24 | コミュニケーション
先日,鎌仲ひとみ監督作品「ぶんぶん通信」の上映会がありました.

鎌仲監督は,「六ヶ所村ラプソディー」などのドキュメンタリー映画の制作で知られています.

ぶんぶん通信は,来年春公開予定の新作「ミツバチの羽音と地球の回転」の取材レポです.

今回は環境先進国スウェーデン,山口県上関町の原発建設予定地が主な取材地になっています.

そのなかの話題で,国際的環境団体「ナチュラル・ステップ」の提示する,
地球環境を維持し将来的な経済発展を維持するための,
4つの羅針盤が紹介されました.

1.化石燃料をこれ以上掘り出さない.
2.残存する自然を物理的に破壊しない.
3.人工的な物質をつくらない,排出しない.
4.資源を節約したいと願う人々のニーズを妨げる状況をつくりださない.

環境問題のように,複雑な対象を考え行動していると,個々の問題に1つ1つ対応しているうちに,本末転倒な状態になってしまいやすい.
しかし,このナチュラル・ステップの羅針盤にたちかえれば,本来の目標を見失わずにすむ.

と紹介されていました.
とてもシンプルで,わかりやすい羅針盤だと思います.
現実から逃げずに考えられた根本の目標.


もう一つの話題.
スウェーデンでは,電気や自動車の動力源を,人々がいろいろなものから選んで購入きるようになっています.

原発ではなく風力発電された電気を選ぶとか,自動車の燃料として電気,あるいはバイオガスを選ぶとか.

日本では,そのような選択肢はいまだありませんよね.
石油を買わざるをえないシステムが維持されています.

この点ではまず,さっきの4つの羅針盤のうちの,
4.「資源を節約したいと願う人々のニーズを妨げる状況をつくりださない」から,日本の社会システムは外れていることになります.


日本は民主的な手段をとりながらも,独裁的なシステムを構築してきてしまいました.

今の日本人だって,好きこのんで化石燃料や原子力エネルギーを使っているわけじゃない.
それしかない,それしか買えない状況をつくりだされ,それを現実として信じてしまっているだけ.
ただ,「無関心」というのはよくないですよね.
その結果,温暖化が進むように,原発で生活が破壊される上関町祝島の人たちのように,様々な場面,スケールで人間が危機に瀕してしまいます.

もっと世界の国から学ばないといけませんね.好都合な真実を.

因幡伯耆出雲

2009-11-22 | コミュニケーション

伯耆大山,ブナ林の紅葉.
先月の末,人生初,鳥取,島根に足を踏み入れました.

因幡での学会ついでのちょこっと調査.
今回の旅は,shimano先生とその愛弟子さんとの3人.

この日は,shimano先生を因幡に置き去りにして,
伯耆の国へお弟子さんとデート(いいえ,調査です),の予定だったんですが.
朝先生も当たり前のように車に乗り込むので,
あれ?一緒にいくんでしたっけ??と聞くと.

「とりあえず松江駅まで乗せていってください」

え?松江?島根ですよね.これまた遠い.

「おもいたって,出雲大社に行くことにしました」
はぁ...どのくらいの距離ですかね,けっこう遠いんじゃ.
大山で調査,登山の予定なんすけど...
と思いつつ,「出雲大社ですか~僕も行ってみたいですねぇ
ということで,松江駅までのつもりが,出雲大社までおともすることになりました.

shimanoさんは古事記とかのうんちくもおありで,各地の神社がお好きなようです.
僕も知識はないけど,そのへん興味はあるので.

というわけで行っちゃいました.出雲大社.
今出雲は神あり月だー!!とかはしゃいでしまったんですが,
それは考えたら旧暦10月の話でした.

なかなかいい絵だったので思わずパシャリ!
やっぱり雰囲気いいな~.
shimanoさんは「神の気を感じる」とおっしゃってました.

うんちくを聞くまで知らなかったんですが,大国主の尊は縁結びの神なんですね.
ど~りで,そんな顔をした人がたくさんいました.自分も含め?(どんな顔じゃい)

そんなこんなで,出雲蕎麦をたべ,委員会へ急行するshimanoさんを駅へおとし,
こちらも大山に急行したわけです.ええ,調査をあきらめたわけではありません.
先生も委員会出席をあきらめたわけではありません.

おかげで調査は,日没を気にしながらのどたばたになりましたが,
大山で手に入るサンプルはゲット(アクシバ,タムシバ,ツルアリドオシ).
紅葉が夕日に映えて,綺麗でした.

shimanoさんとお弟子さんの,kumiちゃん.
そっか~,先生は来年ゴールインのkumiちゃんにプレゼントしたかったのかな?
愛ですね~.
今年の一文字は,やっぱり「愛」なんでしょうか.

春はまたひとつさみしくなりますね,先生.

あらためて,旅っていいもんですね.


ちょっと

2009-11-20 | 自然

前々からある話なんですが.
そろそろこのブログでもコメントさせていただきます.

森林にCO2吸収を期待するってやつ.
ナンセンスです.
哲学者の内山節さんも,「森林に関するいかががわしい話」とおっしゃってました.

そもそも今問題になってるCO2濃度上昇は,現在の地球上の循環系にのってなかった化石CO2を大放出してることに起因するわけで.

それを,数百年という時間スケールではほぼプラマイゼロで循環させてる生態系(森林を含む)に,その問題の軽減をもとめようなんて考えが冷静に考えればおかしい.

それよりも,生物多様性という言葉で表現される,森林も含めた豊かな自然というのは,もっと別のサービスを人に対してしてくれているわけで.そっちのほうを評価しなければいけません.

CO2吸収という視点だけで自然をとらえるのは,自然にとって得意なことでもないことを求め,本当に得意な部分を奪ってしまうという.

人事にたとえれば,ある部下の本領を無視して,得意でもない仕事を与えている上
司のようなものなんです.これでは部下も会社もかわいそうです.

CO2吸収という御旗を変に利用しようとしてはいけません.

人として本当に温暖化のことを考えるなら,自然エネルギーと省エネを軸とするシステムに変えていくしかないです.蛇口がめいっぱい開きっぱなしで,なんだかんだスポンジにたよったって,どんどん流しの容量いっぱいに近づくだけです.残念ながら栓がぬけるわけではないので.

田中優さん

2009-11-17 | コミュニケーション

今月の頭,田中優さんの講演会がありました.

田中優さんは,脱原発,反戦,温暖化防止などをかかげ,
未来バンクやapバンクを盛り上げたりしている方です.

ミスチルが好きなので,当初はあーあのapバンクの!!
というミーハーな感動しかなかったんですが.

今回ご縁あって講演会企画のお手伝いをさせてもらうことになり,
まず借りた過去の講演会DVDをみると,以前住んでいた東京のアパートにほど近い,カフェスローが会場だったのでまずびっくり.(これもミーハーな乗り)
そのときのタイトルは,「原子力エネルギーと別れ豊かに暮らす仕組み作り」

お話を聞いたりするなかで,田中優さんについて言うならば.
とても肩の力がぬけていて,今後より永い人の幸せを実現するために越えるべきハードルと,その越えかた,いや,たおしかた,あるいはくぐりかたかな,を知っている方.本当に人のことを考えてる.

面白いのが,講演会前夜に,企画スタッフで優さんを囲む会みたいなのをひらいたんです.
そのときの話で,学生時代に,自分より腕っ節が強い奴にねらわれそうになったとき,正面から挑まずに,いざとなったら自分は足ははやいから,自分の車のところまで逃げて,あとは車に乗ってひき逃げしてしまえばいい,と作戦を考えていたとのこと.

はは,したたかなバラガキの資質があるんですねー.
好きです,そういう人.
僕にはないから(笑)


まじめな話題で,
講演を聞いて,ははー,と思ったのは.

①「地球温暖化はライフスタイルでは解決できない」
 社会スタイルをかえないといけないとうことです.
 日本の家庭で出してるCO2はほんの13%.
明日のエコでは間に合わないとか言ってる政府公報にそのままその言葉を返してやりたいと思っていたので,これは痛快でした.
一億総懺悔的な流れは冗談じゃないぞと思ってたんです.
でも,社会スタイルを変えるには個々人の意識・行動も必要なわけで.

②「オール電化住宅はエコにならない」
 人類に負の遺産と,毒をもたらす原発を正当化するためのほうべんだし.
 実は電気を無駄に使うシステム.
 IHは電磁波がちょうど至近距離で腹部にあたるからよろしく無いようですし.

それから,
「アメリカの軍事費を支えているのは私たちの貯金だ」
は,びっくりでした.そこのとこ,真剣に考えてなかった.
大した額じゃないけど,郵貯どうするか.

それからそれから,
講演のなかで紹介された,FUNKIST のバナナトレインという歌.
先進国の人間の生活が,世界の貧困とつながってしまっていることを懺悔するような歌.
これは泣けます.こんど一人で聞いて思いっきり泣きたい.

かなりローカルに人のための自然保護を掲げる自分.
とりあえず視野だけは広がってきている.