植生Salon

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生物多様性地域懇談会を終えて(長文)

2011-01-26 | 自然
先日、長野県生物多様性地域懇談会を行いました。

20名ほどの参加があり、意見を出し合い、
県の担当の方にとりあえず”持ち帰って”いただきました。

みなさん言いたいことを言えたのは良かったと思います。

懇談会内容をざっとまとめました。

懇談会主題
◆里地・里山における生物多様性保全について
1.植樹活動の問題
 ・どうして他の地域の個体を持ち込み、植樹することはいけないのかということを、他人に説明するマニュアルがほしい
 ・庭や公園、都市緑地などでの植樹はそう神経質にならなくてもいいのでは、問題なのは、もともと雑木林のある里山における地域作りなどとしての植樹活動だ
 ・安易なマニュアル化は画一化を促し危険な面もある
 ・どうして生物多様性の保全が必要なのか?
 ・生物多様性は人間が生きてゆくためにそもそも必要なもの
 ・多様な生物がいたほうがロマンがある
 ・人のためばかりでなく、生き物そのものの営みを慈しむ考えが必要
 ・生き物の面白さ、大切さの理解が培われるような教育が必要
 ・全ての植樹がわるいわけではない
  場合場合をしっかり分けて考えないといけない、画一的ではだめ
 ・行政は、市民活動と教育研究機関を結び、
  活動を向上、活発化させるつなぎ役になってほしい

2.自治体や市民による里山整備活動の評価(審査とモニタリング)質の向上の仕組みづくりの必要性
 ・行政は、元気づくり支援金などの助成をするまえに、
  申請された活動内容を生物多様性保全の観点からしっかりと審査、指導しなければならない
 ・生物多様性保全には、各行政所管の、横断的な取り組みが不可欠

3.人工林の間伐
 ・環境課、林務課が連携して森林税の使途などを考えてほしい
 ・人工林管理には、ただ木を伐って植えるだけでなく、
  視野を広く持った”山をつくる”という考え方がほしい
 ・皆伐することは草原が増えていいという話もある、
  とか言っていたが、減少が懸念されている人工草地と、
  皆伐後の草地の話がごちゃごちゃになっている。
  場合場合をしっかり認識してから取り組んでもらいたい。

4.自治体、地域における人材の育成 
 ・事業費や物ばかりに助成するのではなく、人件費としての助成を増やすべきだ
 ・模範的に管理された雑木林、人工林などを実際に見学できる機会をつくってほしい

◆赤石山脈、木曽山脈の植生への、ニホンジカの食害対策について
 ・猟友会との連携はとれているのか?
 ・捕殺後の処理について、山中でも解体できるよう法規を変える必要がある
 ・銃のあつかいに関する法規を変える必要がある
 ・まだ分布拡大が進んでいない地域において、拡大前に先手をうつべきだ
 ・シカ防護柵は,大規模なものよりも小規模なものを数多く設置するべきだ
 ・捕殺を可能な限り拡大しても効果はあるのか?

◆大規模開発計画への対応
 ・開発は、生物多様性第1の危機のなかで最も大きな危機であり、当然無視することはできない
 ・開発ありきの、免罪符的環境アセスはやめるべき
 ・初期の意志決定に影響力を持つ戦略的環境アセスの適用を進めるべき
 ・大規模開発に対する長野県の対応を、みんな注目している
 ・様々な開発にストップをかけるには生物多様性の重要性をわかってもらわなければならない
 ・理解を促すことも必要だが、日本はCOP10議長国にもなった、すでに国際的、国家的に生物多様性の保全は義務になっている。”国の自然資源を守る””地域の資源を守る”という国、各自治体の威信でもって法制化し、強気に動くことも必要。欧米ではすでにそのようなことが常識になっている

◆その他、全体の懇談
・水田がもつ生物多様性保持機能を重要視すべき
 ・平成の開国を掲げるTPP参加は日本の農村を壊滅させる=生物多様性が大きく失われる
 ・対症療法のみでなく、根本療法に取り組むには、各行政所管が一体となった戦略をたてることが不可欠である

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