植生Salon

植生Salonでは、植物や緑、自然の面白さを探究するとともに、それを多くの方々と分かち合ってゆきます。

日本一美しい村 (リニア中央新幹線とその大きな代償)

2011-05-08 | 自然
風景がひとの心に与える影響は大きい.

きょう,大鹿村に向かう途中であらためて認識した.
小渋川をさかのぼると,遠く谷の奥に赤石岳(標高3120m)がみえた.

きれい.

脳のなかで何かが分泌されたようだった.


伊那谷自然友の会ジオツアーを開催.

この村の多くのひとは,急峻な山腹にできたテラス状の地形にくらしている.
地滑りによって形成された地形らしい.

民家の周囲には,農地などが広がる.

山腹のこの人のある風景と,小渋川,赤石岳が大鹿の美しさのほとんどをつくっている.


ここに,大山脈を貫くトンネルが口を開ける事と,
それにまつわるエトセトラは,人の暮らしに何をもたらすのか.

地滑りに起因するここでの人の住みかは,湧水と土壌が豊かだ.
その近辺に,トンネルが掘られたら,水がそこからぬけてしまう.湧水がかれる.


この大開発により,犠牲になるものはとてつもなく大きい.

その開発は,日本人にとって,本当にそれだけの価値のあるものなのか?

よく考えねばならない.

大鹿は,この開発に巻き込まれる多くの人里の,ひとつの象徴にすぎない.
すぐそこに,人の暮らしの危機がせまっている.

考えるべきだ.