昭和の時代

アナログの時代がなつかしい

大奥の正月行事、鏡開き

2017-12-28 09:56:02 | 日記
 11日には鏡開きが行われる。

 御鏡開きのお祝ひあり、表にて具足開きの式あるに同じ二度目の御飯の前におゆるこ
(おしるこ)を上つる。
器物は黒塗金蒔絵にて、鶴亀又は松竹梅の模様あり三椀例なれども概して一椀の他は召さず、
 八ッ時頃お側にて女中におゆるこを下さる。将軍付きの女中へは直きに下されず、餡に
餅を添え重箱に詰めこれを部屋部屋に贈るなり。

 大奥へは、御三家御三卿の他御家門の方々及び諸家へお住いの姫君からおすわり(鏡餅)
が献上される。紅餅を中に三段重ね、大きさ3尺四方、厚さ4寸程、白木の台にて下の両側に
白木の担ぎ棒がついている。
 ” 御賄所の下男斧にて打ち割りこれを女中の部屋部屋へ配る。”
 諸家より献じ越せしなれば餅の質、色、形等一様ならざることいふ迄もあらず、そが中に
田安、清水両家より贈るものはいつも質悪しく厚さの何となく薄く見ゆるとて、果ては累々たる
餅切れの中に木目荒く粘り気のなきを見れば、それこそ田安、清水よりの餅なるべけれと打ち笑う
が女﨟中の慣わしとなりしぞと。浮世を懸け離れて事もなく暮らす女官等には、塵計かりの事も目に
懸かりて笑いの種となる事あり、是れ等もその類にやと思われて可笑し。